(2)

彼女なんて、なってくれと言えばすぐ出来ると思っていた。



それから俺は性行為をするための彼女を探すべく、人通りが多そうなところを歩いて気に入った容姿の16人程の女性に「彼女になってほしい」と声を掛けたが、返ってくるのは「気持ち悪い」だの「死ね」だのばかりだった。



気付けば5日が経っていた。



後2日。

俺に彼女なんて出来るのだろうか。

足元から伸びる影が気持ちを焦らしてくるような気がした。

俺はその影をぼんやりと見つめながらある事が脳裏に過った。



彼女ではなくとも異性と性行為をすればいいんじゃないか。



どうしてこんな簡単なことが浮かばなかったんだ。

誰でも良い。

異性なら誰でもいい、行為さえしてしまえば俺は死ぬことから逃れられるのだから。


その日の俺は、人通りの多いところへ行っては同じ言葉を繰り返す。



「誰か俺と性行為をしてくれませんかー!!!!!!!」


「誰か!!1回でいいんです!!!性行為をさせてくれませんかー!!!!!!」



そう叫ぶ俺に向けられるのは冷ややかな視線ばかりで、誰も近寄ってはこなかった。



色んな場所に行ってはそう繰り返し叫んでみたものの相手は見つかることもなく、期限である1週間まで残り1日となってしまった。


どうして。

何で俺がこんな目に合わなくちゃいけないんだ。

後1日。俺が生きていられるのも残り僅かだ。


叫び散らかして好奇な目で見られるより自分のやりたい事をやって死んでいくのもアリなんじゃないか。



俺は近くの広場にあった背の高い大きな木に駆け寄って、よじ登り始めた。

照りのある樹液を見つければ俺は綺麗に舐め取った。


至福。至福だ。

性行為なんてもうどうだっていい。


今この瞬間が一番幸せに感じた。

俺はそのまま一晩、そこにしがみ付いていた。



次の日。

俺は苦しくて目が覚めた。

目の前に広がっているのは一点の雲も留めない青だった。

苦しい。

呼吸が乱れる。


助けてくれ!!死にたくない!!死にたくない!!!


叫び声が自分の中に響いて頭も割れそうだ。




「パパー!この蝉さん死んでるー!!」




まだ、まだ俺は死にたくない.......。


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1週間以内に性行為をしないと死ぬ病気 Mari @mari3200mari

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