やきもち焼き

「あ、問題ないんだ? 結構痛かったんだけど」

「嘘吐くなバカ。……何が問題なんだ?」

「バレた? ……あ、いいよ。光琴ちゃん俺のことは気にしないで話して」

「うん……。えっと……、前々から思ってたけど二人とも凄く仲いいよね?」

 私が質問すると、絢都くんはにっこりと微笑み、空太は激しく首を横に振った。

「いやいや全然仲良くねぇよ。しょっちゅう大喧嘩してるし」

「喧嘩じゃなくて俺が一方的に攻撃されてるだけでしょ」

「怖ぇ、自分に都合よく記憶を書き換えてやがる。光琴、こいつは俺より短気で、笑顔でもブチ切れてることがあるから気をつけろよ」

「うん……」

「勝手にバラすなよ、爽やかキャラでやってんだから」

「うるせぇ全然爽やかじゃねぇよ」

 中学二年生からの付き合いだって言ってた割には、絢都くんのことを色々知っている。絢都くんも私の知らない空太を知ってるんだろうか、って考えていたら嫉妬心が燃え上がるのを感じた。

「どうした……? 体調でも悪いのか?」

「ううん違う。えっとね……、」

「ああ!」

「さっきから二人の会話に全然入れなくて私だけ蚊帳の外にいるように感じて寂しくて……。それに、私と喋ってる時より絢都くんと喋ってる時の方が楽しそうだし」

「何言ってんだ、お前といる時の方が楽しいに決まってるだろ! ……なぁまさかとは思うけどこれって、」

「うん。鈍感くんでもさすがに気づいたんだ? 光琴ちゃんは友達の俺にガチ嫉妬してる」

「光琴」

 何、と怒った声で言おうと思っていたのに温かい手で頭を撫でられて何も喋れなくなった。

「寂しい思いさせてごめんな。安心しろよ。俺がこの世で最も好きなのは今俺の目の前にいる橋本光琴、お前だけだから」

「そうそう。俺はただの友達だしいつでも遠慮なく会話に割り込んできて全然構わないから」

 じゃあもう席戻るね、と絢都くんは爽やかに微笑みながら立ち去った。絶対、私がこれ以上やきもちを焼かないように気を遣ってくれたんだと思う。嫉妬深くてごめんなさい。後で謝らなきゃ。

「ごめん……。それからありがとう」

「全く、俺の可愛い彼女はやきもち焼きだから困るな」

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