第12話

見知らぬマンション。

見知らぬドア。

開くドア。

いつもの…よりかは薄めのメイクにラフな格好をした菜緒さん。



『あ、あのどうしたんですか?とりあえずあがって下さい』


「あ、いやここで良いんだ。少し話があったから」



まず何から言えば良いか。

異動か告白か?

いやそもそも告白でok貰えるかも分からないから異動が先か。


「あのね。急なんだけど。

色々評価されたみたいで、本社に異動になったんだ。」


「異動は数ヶ月後だけど、出来る限り菜緒さんに色々教える。菜緒さんは前みたいにミスを怖がらない。もう自慢の後輩だ。」


「今は異動先でもやっていける自信がある。頑張れる。菜緒さんのおかげだ。」


「菜緒さんと出会って、本当に色々な事を教えられた。

菜緒さん、菜緒さんは何があっても俺の側に居てくれて、本当に大切な人だ。」


「付き合って欲しい。」




『宮本さん。ちょっと、あがって下さい…座って』



ん?何か思っていたのと違う反応。

なんならちょっと、怒ってる?

リビングに通されて座らされる。



『あのね?先輩。勿論異動はショックで今すぐ泣きたいぐらいで、告白は凄く嬉しいですよ?』


『ただ、ただ。先輩酔ってます?お酒の匂いしますし。後なんで「異動だ!付き合おう!」なんですか?』


『数ヶ月先とはいえ、すぐに遠距離恋愛じゃないですか!』


『たまに先輩、(抜けた所あるな)とは思ってましたけど、まさかこんな時にそこが出てくるとは思ってませんでしたよ!?』



あ、あぁ、あぁぁあ

「はい。本当にすみませんでした!」




そこから数十分は丁寧に1つ1つ叱られた。

久し振りに人に叱られた。

まさかこの歳になって年下に叱られるとは思わなんだ。



『先輩のせいで感情が目茶苦茶です…』


「あ、あの、ちなみにその中に告白での嬉しさと『うるさいですよ』

「すみません」


睨まれた。母親にも睨まれた事ないのに。



『もういいです。私も飲みます!買いに行きますよ!』



外に連れ出されコンビニでお酒を買い戻ってきた時には23時頃。


そして案の定彼女が潰れたのが1時頃。



『ほんとにいっちゃうんですか。寂しいんです』


「ごめんね」


『異動は分かりま…した。でも、告白は忘れます。だか……らやり直してくだしゃい』


「うん。ごめんね」



『ばか。』




朝。

隣で寝る彼女は忘れてくれただろうか?

もう一度。告白するならなんて言葉を掛けようか。

いや、変に長くするよりはシンプルで真っ直ぐに。


起こすとすぐに目が開いた。

『おはよう…ございます…』


「うん。おはよう。」


「好きだ。大好きだ。付き合って欲しい。」



パッと笑顔になり。

バッと抱きついてくる。


『私も!私も大好きです!』

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君だから今度は大丈夫と思えた @SMNH

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