第19話

2035/11/18(日) 朝十時三十分 封鎖区画EE1378南側地下十一階 副課長・七班男性陣


 デカブツが不利を悟ったのかようやく動いた、だが私たちも手をこまねいて待っていたわけではない。


 長良ながらとラウが火器を再装備するついでに、予備弾倉に交換していたのである。


 この差は、とても大きかった。


 多数の触手を生やして、デカいアクリル筒と思われるものを叩き割ったのである。


 入っていた溶液がこぼれて周囲の機材や機械を破壊していく、強酸性の液体らしかった。


 そしてまだワイヤーで釣られているので、ワイヤーの根元を触手で破壊しようとした時だった。


「今なら狙いたい放題だ、触手を潰せ!」と私が指示を飛ばした。


佐須雅さすが折神おりがみはデカブツの目を狙え!」といいながら、私以下三名で触手を潰していくのであった。


 デカブツはられたまま藻掻もがき苦しんでいたが、触手をほとんど潰されたため体を揺するしか手が無くなったらしかった。


 そのまま撃たれること十数分、今度はだらりと垂れ下がってピクリとも動かなくなった。


「見鬼! 生命反応なし」と長良副長が宣言した。



「一班、二班は無事か?」と私が生き返った通信器に向って呼びかけた。


「一班、問題なし黒服は逮捕済み」という四月朔日わたぬき一班班長から返答が入った。


「二班も無事です、黒服は逮捕済みです、専従捜査班に引き取りを依頼しました」と二班班長衣笠きぬがさからも連絡が入る。


「解析班一班を地下十一階に回してくれ、相当量の証拠が出た。対象は、殲滅済みだ。黒服も、生き残りは不明だ。強酸性の液体に流されて、死んでる可能性のほうが高い」と私が解析班を要請した。


「一班了解、そちらに向かいます。黒服は二班と捜査専従班に任せます」といって来たのであった。


 こちらはこれ以上先に進むには、この強酸性と思われる液体を何とかしなければいけないのでこれ以上先には進めないのであった。


「一班はこの場所の確保を頼む、我々は一旦八課棟へ帰還する」と私がいった。


 よって七班男性陣は、私の護衛として八課棟に帰ったのであった。




2035/11/18(日) 朝十一時三十分 検非違使神戸分署仮八課棟課長室 副課長・長良


「今日はご苦労だった、久しぶりに現場で仕事ができた」と私がいった。


「肝が何度か冷えましたぜ」と長良がいった。


「報告書はいつも通り提出してくれ。以上だ」といった。


 長良が敬礼して課長室を後にした。




2035/11/18(日) 朝十一時三十五分 検非違使神戸分署仮八課棟七班班室 長良・七班男性陣


 部屋に戻って俺の第一声が「今日もいつも通り報告書を提出してくれ、大分書くことがあるからな」であった。


 事実今回の仕事は大分書くことが満載なのである。


 いつもよりも大分多い文量になると思われた。


「それが終わったら武器の手入れな」と追加するのも忘れない。


 報告書をかき上げるには、三十分カッチリとかかったのであった。


 そしてその報告書を副課長に届けてから、装備の手入れがありそれも終わると昼一時を過ぎていた。


 それぞれバラバラに弁当を買いに行ったり、店屋物を食いに行ったりしたのである。




2035/11/18(日) 昼一時三十五分 検非違使神戸分署仮八課棟七班班室 長良・七班男性陣


「いつもは始末書の山とかあるが、コレが普通なんだよな?」とラウさんがいった。


「そりゃまあ、無難に片付いたらこんなもんだぜ?」と俺は赤髪を整えながらいった。


「俺も今回はヒヤヒヤしましたが、無事仕事が終えられてほっとしているところですよ」と折神さんがいう。


「今回は同じ事件で折神さんが撃たれてしまいましたからね、ドッキリしました」と佐須雅さんがいった。


「そうそうあることじゃねえけどな、で残りの黒服はどうなったんだろうな? まだ逃げているのかね?」と俺がいった。


「後は警察か公安の仕事ですかね」と暗に佐須雅さんが自分と折神さんの仕事だといった。




2035/11/18(日) 昼一時四十五分 検非違使神戸分署仮八課棟廊下 ラウ


 俺はワンさんに電話をしていた。


黒龍ヘイロン自体には、穴は空きませんでしたが、検非違使との合同捜査のおかげで計画に風穴を開けられました、こんなんでいいんですかい?」と俺はいった。


 王さんが『それでいいアル、先生に無理押し付けてすまなかたアル』といった。


「ならいいんですが」と俺は答え電話を切った。


THE END

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妖魔の境界 御鏡 鏡 @mikagamikagami

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