少年過劇団ブルーローズ

潤町みりん

第1話 少年過劇団の始まり、世の終わり。

警察の怒号や悲鳴が鳴り響き、弾丸が飛び交う廃工場。追い詰められた主人公であったが、それを華麗に、まるで舞を舞っているかのように美しく避ける。そんなアクションの舞台が僕は大好きだった。そして、将来この舞台に絶対立ってやると誓った。

そして、その誓いから10年後。齢16のこの僕、白園蒼は今ブタ箱にぶちこまれようとている。どうしてこうなったと思う自分も少しはいる。しかし、僕はそんなミジンコのように小さな小さな後悔よりもむしろ、やってやったという太陽より大きく熱い達成感に満ち溢れていた。僕が犯した、いいや達成した罪は簡単に言ってしまえば、バラバラ殺人である。駅周辺でたまたま見かけた酔いつぶれたおっさんをまずは、タクシーで山の方まで運び、その後持っていたマフラーで絞殺した。あとはそのおっさんをトルソーにしてやり、それぞれのパーツを六角形を描くように町に配布した。ここで、終わりでも良かった。しかし、ある重大な問題に僕は気がついた。芸術点が足りない。僕史上最大のミスに僕は、大きな失望を感じた。精液と尿を足して、そこに蜂蜜をぶちまけたものを飲んだ時のような喉に引っ掛かる不快感を感じ、思わず吐いてしまった。その後僕は全てのパーツに青薔薇を刺してなんとか、美しく仕上げた。その後、僕が死体を運んでいるのを見たという供述が警察の元に届き、僕は警察によって留置所にぶちこまれ、今に至る。警察に捕まるまではいつばれるかという、スリルで毎日が充実していた。しかし、留置所に入ってからはつまらない日々の繰り返しで飽きてきたし、何より美しくない。こんな能無しな奴らと同じ留置所に入れられたら薔薇のように美しい、この僕が汚されてしまう。早く出たいと、思いながら過ごしていたある日。なんと、僕の釈放が決まったのだ。どうやら証拠不十分で不起訴になったらしい。僕は嬉しさのあまり、子供みたいにジャンプしてしまった。そしてここから出るとき、ふと面白いことを思い付いた。僕が幼い頃描いた夢を達成し、今の僕みたいな薔薇みたいな少年たちと手を組むという小さな野望を叶える。この二つを成せる最強の方法。

「犯罪を犯した少年たちを集めて歌劇団を作れば面白いんじゃないか!」

天才的で悪魔的なこの発想に僕は心を踊らせた。そして、これが後の世に大きな惨劇を起こし、この世で一番恐ろしい子供たちと呼ばれるまでになった過劇団の幕開けであった。

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少年過劇団ブルーローズ 潤町みりん @hanazono3939

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