2.ドライブレコーダー
2020/1/16 PM 22:30
(雪道を走る映像が映る。街灯が点々と並んでおり、全体的に暗い道の中で雪がパラパラと降り続けている)
(車のライトで道が照らされながら走り続ける)
『っあ』
(男性が何かに気付いた様な声を上げる)
(車が停止する)
(車の扉が開く音)
(無音)
(車の扉が閉まる音)
『お客さん、どちらまで行かれますか?』
『■■■町■■■番地までお願いします』
(背後から女性の小さな声)
『はい、畏まりました』
(車が発進する音)
(再び車が雪道を走る映像が続く)
『いやぁ~今日も寒いですね。傘とか持ってないですけど、大丈夫でしたか?』
(無音)
『……寒いのは、慣れています』
『そうでしたか!』
(車は雪道を走り続ける)
『でもあんな所に一人で立ってるなんて、流石に大変でしたでしょう?』
『そうでもないです』
『何かあったんですか?』
(車は暗い山道に入る)
『帰り道が……分からなくて』
『そんなことあるんですか?』
『どこに行けばいいか、分からなくて』
『へぇ~』
(車は山道の曲道を進んで行く)
『大変ですね』
『はい……本当に』
(背後から女性のすすり泣く声)
『これ、使ってください。毎日大変でしょうから』
(物音)
『ありがとう……ございます』
『7号車、聞こえますか?』
(ノイズに混じった男性の声)
『7号車、聞こえます』
(男性が返事をする)
『私……帰り道が分からなくて……』
『お客さん、ちょっと待っててくださいね』
『7号車、聞こえますか?』
(映像にノイズが入る)
『7号車、聞こえてますよ』
『どこに行くことも出来なくて……』
『7号車、聞こえますか?』
『聞こえてますって、こちらこそ聞こえますか?』
(車が停車する)
『誰も……私を見てくれなくて……』
『大丈夫ですよお客さん、心配しないで下さい』
『7号車、聞こえますか?』
(映像にノイズが入る)
『聞こえてるって言ってるでしょう!』
『私が誰か……分かりますか?』
『大丈夫ですよお客さん、ちょっと待っててくださいね』
『7号車、聞こえますか?』
(激しい衝突音)
(車が転落する様子が確認できる)
(ノイズだらけの映像が映る)
(車は煙を発しており、クラクションが一定間隔で鳴っている)
(車のライトは雪に包まれた真っ暗な森を照らす)
『7号車、聞こえますか?』
(再生終了)
2020/1/16 ドライブレコーダー END
(雪道を走る映像が映る。街灯が点々と並んでおり、全体的に暗い道の中で雪がパラパラと降り続けている)
(車のライトで道が照らされながら走り続ける)
『っあ』
(男性が何かに気付いた様な声を上げる)
(車が停止する)
(車の扉が開く音)
(無音)
(車の扉が閉まる音)
『お客さん、どちらまで行かれますか?』
(無音)
404 柄針 @tukahari
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。404の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます