第8話・当たり前に起きている出来事が、当たり前じゃないこと。

愛おしむ心を、どんな行動で表現できるだろう?


その問いを考えて実行に移す1日は、愛が溢れる機会が増えていくことを事前に感じていった。


今日も3時33分に目覚め、朝6時からの講座の準備をする。まずは昨日のメンバーの投稿をチェックしながら5時台に配信するニュースレターの準備からだ。


今のその時の感情を大切にしたいから、ニュースレターもLIVEで配信する。昔から続けているこのスタンスが、今期は特に味わい深いものだと感じていた。


「今期から8つのクレドを起点にした問いを答え合うスタイルとしてオンラインカフェをオープンしたけど、早速の皆さんのシェアや問いが素晴らしいな。既に1日目から愛に溢れたコミュニケーションの連続で感動やわ。」


Facebookグループのメンバーの投稿を見ているだけで、朝から自然と微笑ましくなる。


「さて、ニュースレターも配信したことだし、6時からの講座までにコーヒーでも入れるか。」


兵庫県伊丹市にある本屋さんのブックランドフレンズ。以前から親しくさせていただいているこの店には、本屋だけどオリジナルコーヒーが売っている。それが「創造的珈琲」というものだ。


その豆自体も仕入れている俺は、手動ミル引きでコーヒーを入れながら、朝の講座に備えていた。香りを楽しみながら味わう朝のコーヒータイムは、最高のインスピレーションを生み出してくれるものだ。


「それでは、時間になったので始めていきましょうか。まずはいつも通り、昨日の振り返りから行っていきましょう!」


今日は日曜日。参加者はいつもよりも少なめだ。その分、シェアは深めていけるので、今日はいつも以上に濃いシェアタイムができそうだ。


昨日の振り返りだけでも皆様のシェアが素晴らしく、気がつけば20分ほどがあっという間に過ぎていった。


「では、そろそろ今日のテーマに入りましょうか。昨日に引き続き第1クレド「愛」全てを愛おしく、全てを愛おしむ。これを軸にして今日は『感情の質問』に、みんなで答えていきたいと思います!」


人間の生きる目的の一つは、快適感情を手にすること。夢や目標が見つからない人は特に『快適感情が得られる行動を行ってみる』という一歩から踏み出すのもお勧めである。人間は良い結果を得ることが重要ではなく、結果の先で良い感情が生まれているかどうかのほうが重要だからだ。


問いを立てて、ブレイクアウトルームに振り分けていく。今日は2つのグループでのシェアタイムになった。


シェアタイムになっている約5分間は、個人的に筆で文字を書いていた。お気に入りの「完美王」という筆ペンを使って、ノートに皆様に投げかけた問いを自分でも答えていった。


「はい、おかえりなさーい。ありがとうございます。では、どなたか代表の方でいいので、グループで行ったシェアを共有いただける方はいらっしゃいますでしょうか?」


その投げかけに反応してくださったのが、さんちゃんだった。


「さんちゃん、では、シェアをお願いしまーす!」


「はい、わかりました。皆様の愛に溢れるシェアに朝から感動しています。」


さんちゃんのグループシェアを通して、お一人お一人が感じられたことが、更なる気づきを促してくれた。人それぞれに人生があり、人それぞれの感性の表現が、また人それぞれの人生のスパイスに変わっていく。


「さんちゃん、ありがとうございます!素晴らしいシェアに感動していました。では、せっかくなのでこの流れで今日は、最後にさんちゃんに問いを作っていただけたらと思いますが、大丈夫でしょうか?」


「了解しました。実は、直感的に、この問いにみんなで答えあっていけたらいいなと思うものが浮かんでいました。それが、『あなたにとって、愛からの行動、愛からの選択とは何ですか?』という問いです。」


「素晴らしい問いをありがとうございます!では、このさんちゃんの問いを、またみんなで答えあっていきましょうか!」


質問の質が、引き出される答えの質にも変わっていく。オンラインカフェでは実践を大切にしているので、参加者の皆様の中から毎日1人に「問いを作る」という機会を設けている。それをみんなで答えあっていくことで、自分のスキルアップしながら他者への貢献もできるという一石二鳥以上の効果が生まれるのだ。


「ちなみにさんちゃん、この問いが生まれた背景にある想いやエピソードなどはあったりしますか?」


直感とは、脈絡のない天から降りてくるようなイメージがあるが、実際はこれまでの経験から蓄積されたものが何かに反応して表面化することがほとんどである。だからこそ、その閃きの源泉を意識してみることで、自分が大事にしている価値観や感性を言語化しやすくなる。


「そうですね。実はこの問いが生まれたのは、夏場でわたしが仕事に向かうときに工事をしている人をみたことがきっかけなんです。熱い中で汗水垂らしながら一生懸命工事をして道を整備している。それを見て、ありがたいなぁって思ったんですね。だからこそ、愛からの行動として、工事現場の方に対して直接何かできるわけでもないのですが、いつもありがとうございます。倒れないでね。水分補給してね。と、心の中で一生懸命頑張っている工事現場の皆さんに対して言葉がけをして出勤するようにしていたんです。それもあって、ふと思いついたので皆様と一緒にこの問いを答えあって行けたら素敵なんじゃないかなと思いました。」


「さんちゃん、そんなストーリーがあったんですね。素晴らしい!」


こうして、最後にさんちゃんが投げかけてくれた問いが、より深くその場にいるメンバーに浸透していった。問いもさることながら、問いが生まれている背景も知れることで、グッと問いに対する意識が深まっていく。


質問の質は、質問の内容だけではなく、その質問が生まれた背景を共有をすることでも自然と引き上がっていくものだ。


「では、時間になりましたので今日もこの辺りで終わっていきましょう。そして今日は特典でおつけしていた『伊藤勇司の公開コンサル』が7時30分ー8時30分の1時間で実施されますので、また興味がある方はお気軽にご利用くださいね。」


こうして、日曜日の朝も参加者のメンバーと共に、豊かなシェアタイムとなった。


「その人の当たり前は、誰かの特別になり得る。」


このことを、その後の公開コンサルで実感することになるのは、次のお話となっていった。

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