第7話・あなたの愛おしむ心は、どんな行動で表現できますか?

朝起きた瞬間に、昨日の余韻を感じる自分がいる。


書くことは、覚くこと。書くことで自分に目覚めていく。


それを昨日の朝にみんなで実践した後に、俺は天橋立で雑誌取材を受けていた。内容は女性誌に寄せられた読者からの質問に、専門家として答えていく取材だ。


自分が経験してきたことを、ブログに書き、メルマガに書き、本に書いていく。そんなことを13年間繰り返してきているが、今ではその日に起きたことを、その日に小説として書くようにもなっているのが改めて感慨深い。


こうして自分が体験したことを言葉で記録していくことが、取材という形でさらに自分が深まるようなアウトプットができる機会を生み出してくれている。まさに、書くことで、書いたものが影響をもたらし、その影響がさらに書く機会を与えてくれる覚醒の連鎖反応。


取材も終始楽しい時間で、また新たな展開が生まれる予感もした。


その後は天橋立神社に向かい、恵方参りをする。ここには八大龍王が祀られていることを知り、サンライズカフェが大事にしている8つのクレドは八大龍王をイメージして生み出したものだったので感慨深い気持ちになった。


立春大吉の素晴らしい日に八大龍王が祀られている天橋立神社で参拝できる喜び。それを噛み締めながら、8つのクレドから生まれる喜びのエネルギーが天まで届くくらいに、世界中で親しまれている未来をイメージして、天橋立神社で心をこめて参拝した。


その余韻が、今日の朝も残っていたことに感動しながら、今日から始まるサンライズカフェの本コースの準備を始める。


「今日から本コースだ。また皆さんと一緒に朝から心のままに語り合える時間が楽しみ。昨日の立春を経て、皆さんと一緒にどんな未来が生み出せるかな。」


そうこう考えいたら、朝6時のオープンまで残り3分となっていた。


「では、今日から本コースとして、昨日までは事前準備のオリエンテーションとして30分で開催してきましたが、今日からは1時間で行なっていきますのでよろしくお願いします!まずは、昨日の振り返りをしていきましょう!」


昨日やったことを、すぐに思い出して復習する。人間は忘れる生き物であり、良い記憶も悪い記憶も基本的にはすぐに忘れていくものだ。だが、そんな中で「何度も短いスパンで意識すると」記憶は一生忘れない長期記憶に移行する。


人間の記憶について研究していた、ヘルマン・エビングハウスが提唱した『エビングハウスの忘却曲線』というものがある。


人は何かを学んだ時に、20分後には42%忘れ、1時間後には56%忘れ、9時間後には64%忘れ、1日後には67%忘れ、2日後には72%忘れ、6日後には75%忘れ、31日後には79%忘れる。というのがエビングハウスの忘却曲線の内容だ。


つまり今日学んだり、知ったことは、明日には7割近く忘れているということだ。


その忘れゆく記憶を定着させるためには「できるだけすぐに思い出す」ということが大切。すぐに、何度も、小刻みに思い出していく。それを続けると一生忘れない記憶として人間に定着する。だからこそ、学習効果や効率を高めるシンプルなコツは、やったことを何度もすぐに思い出す習慣を持つことが重要である。


そうして昨日の復習をした後に、今日のテーマに入っていった。


「では、今日からは8つのクレドを元にしたワークショップも実施していきます。その内容に入る前に、8つのクレドを読み上げていただける方はいらっしゃいますか?」


参加者にそう問いかけると、勢いよく手を挙げてくださる男性がいた。


「ぼくがやります!」


漲るエネルギー感で立候補してくださったのは、マイキーだった。


「では、マイキーに8つのクレドを復唱していただきましょう!」


「ありがとうございます!では、読み上げますね!」


淀みなく自信に満ちた声で8つのクレドを読み上げるマイキー。その姿を見ているだけで不思議と胸が熱くなる。人が思いっきり自己表現している姿を見るだけで、自分の魂が喜ぶことを感じていた。


「マイキー、ありがとうございます!素晴らしい復唱でした!では、このエネルギー感を大切にしながら、今日のテーマになっている愛の第1クレドに関する問いをみんなで答えあっていきましょう!その前に、質問における3つのルールを解説していきますね。」


質問のルールを解説した後は、ブレイクアウトルームに振り分けていく。ここからは3つのグループに分けて語り合っていく時間だ。


「では、5分ほど時間を取りますので、今日のテーマの問いを考えていきましょう!よーい、スタート!!」


あらかじめ用意していた問いを共有し、それをみんなで考えていく。そのプロセスで生まれていく言葉を、またすぐにアウトプットして自分に定着させていく。このシンプルなサイクルを回すことが、結果的に心のセルフケアにもなるものだ。


「皆さん、素晴らしいシェアをありがとうございました!では、これは毎回最後にやりたいことですが、毎日1人代表で、最後にオリジナルの問いを作っていただきながら、それをまたみんなで答え合うことをやりたいと思っています。今日は、ななちゃんにお願いしてもいいでしょうか?」


「わたしですか?わかりました!ではですね・・・、こんな問いが思いつきました。『あなたが、最も自分らしくいられる事は何ですか?』です!」


「素晴らしい問いですね!では、これは3回繰り返して改めて言葉に出して皆様に共有いただけますか?」


良い言葉は、何度もすぐに復唱する。特に自分から生まれた言葉は、表現しないとすぐに忘れるもの。だからこそ、思いついたすぐ後に素晴らしい問いを3回本人に復唱頂き、その問いにまたみんなで答え合う時間を作っていった。


「みなさん、いかがでしたか?どなたか問いに答えてみた感想を共有していただける方はいらっしゃいますでしょうか?」


そう投げかけると、すぐにゆうかさんからレスポンスがきた。


「わたし、喋らせていただきます!皆様のシェアを聞いているだけで、愛に溢れて感動的な時間でした。素晴らしい時間を朝からありがとうございます!」


人間の脳にとっては、朝はゴールデンタイムと言われているほどに重要な時間である。睡眠でリセットされているクリアな脳に、朝一番に愛に溢れた情報を届けてあげる。そうすることで1日の質も変わり、一生が変わる可能性も秘めているのだ。


本コース初日の時間は、第一クレド「愛」が象徴するように、全てを愛おしく、全てを愛おしむ時間となっていった。

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