第2話・プレオープンしない、プレオープン初日。

「プルルルルルルルルルルル、、、プルルルルルルルルルルル、、、・・・」


携帯音が何度も鳴り響いているのに気づく。


「あっ、もう朝か・・・。って、なんで朝から携帯音が鳴ってるんだろう・・・」


着信音で目覚めた俺は、ふと鳴り止まない携帯見て驚いた。


「えっ!?もう6時6分やん!!!プレオープンが6時からやのに、時間すぎてもうてる!!お客さんからの電話か!!!」


今日から山頂でオープンするサンライズカフェは、実はオンラインで提供するものだ。ZOOMを活用したオンライン空間で朝のカフェタイムを演出する・・・、はずだったが。初日から、寝坊をしてしまった。


「うわっ、やっべ!昨日夜遅くまでやりすぎたな・・・。アマゾンプライム観てるうちに寝てもうてたし・・・。すぐにZOOMを準備せなあかん!!」


寝起きドッキリのように、起きた瞬間にZOOMを立ち上げて行動を始める俺。3分後には開店を待ち侘びていた皆様と続々と合流する。


「いやぁ・・・、すいません。完全に寝坊してしまいました・・・苦笑」


こうしてプレオープン初日に寝坊しながらも、皆様は暖かく迎えてくださった。素晴らしいお客様しかいないことに、改めて感動を覚える瞬間だ。


「では、開店が遅れてしまいましたが、早速始めていきたいと思います!本日はご来店ありがとうございます!ここは生駒山頂にある小さなカフェ。朝6時ー7時のみオンラインでオープンするのが、サンライズカフェです。今日のプレオープンは皆様と約1時間、楽しいひと時を過ごせたらと思います!」

 

瞬発的に起きた中、まどろんだ状態で言葉を綴っていく。頭で考えている余裕もないが、集まった皆様はオンライン越しにもニコニコ話を聞いてくださっている。


「それでは早速ですが、このオンラインカフェでは『好きな自分で、生きていく。』をコンセプトに、大人になっても無邪気な心を忘れないために、皆様と朝のコーヒータイムに、ざっくばらんに語り合う時間を大切にしたいと考えています。」


起きたばかりの寝ぼけ眼でありながらも、サンライズカフェの趣旨を伝えていくと想いが溢れてきて、意識がどんどんハッキリしていくのを実感する。

 

「日本には、学ぶ機会は沢山あります。でも、自分を語る機会はめっぽう少ない。自分をしっかりと語るから、自分らしさが際立ちます。自分の望みを言葉にするから、望む未来がやってくる。そんな単純なこともやりずらいのが、今の世の中ではないでしょうか。親や先生や社会に受け入れられる自分じゃないといけない。そう思って自己表現を躊躇っていくことが、自分で自分を傷つけることにも繋がります。ここでは、自由に自分が考えていることを解き放っていきましょう。人生で一番重要な情報は、外から得る情報ではありません。自分の内側にある情報。そう、ハートが感じている心の声をしっかりと自分が捉えて、その情報こそを現実世界に自分の言葉で表現することが大事です。」

 

俺はそうしゃべりながら、どんどん目が冴えていくのを感じていた。もしかしたら、覚醒するとはこういう感覚なのかもしれない。寝坊した中でトークを始めたからこそ感じた感覚。それは、自分を語ることで意識がクリアになって、体内から活力が漲る感覚が生まれているということ。


本質的な自己覚醒は、外からの刺激によって起きるものではなく、内なる自分を語り続けていくことで目覚めていくものかもしれない。


そのことを強く感じながら、サンライズカフェに訪れてくださる皆様の、自己覚醒のお手伝いもできる喜びを静かに噛み締めていった。


「朝日を味わい見ながら、自分に目覚めていくオンラインカフェ。それが、サンライズカフェです。ぜひ、この場所では皆様にどんどん語って頂く機会を作っていきますので、まずは自己紹介も兼ねて、近況で今感じていることを一緒に自由に語り合っていきましょう!」

 

こうして、オンラインカフェにご来店いただいた皆様との横の繋がりも育めるように、それぞれ喋れる人は、ざっくばらんに自己紹介をして頂く流れを作っていく。


その間に俺は、オンラインカフェで大事にする龍神理念を語る準備を始めていった。

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