「好きな自分で生きていく」無邪気な大人が集う場所〜サンライズカフェ〜

命煌社

第1話・「気持ちいい」は、危険なサイン。

令和4年2月1日に本格オープンするサンライズカフェ。


俺はその準備を進めながら、ホームセンターに来ていた。


「入り口に呼び出しチャイムをつけたいな。コンビニ音とかないかなぁ・・・。レコード盤を置く棚も欲しいんだよな。あっ、それと焼き芋したい!焼き芋器もないかなぁ・・・。あ、それとそれと、自分でドリップしたコーヒーを入れるときに使う、あの口が細くて長い、なんていう名前か分かんない、ヤカンじゃないアレも欲しいね・・・。」


これまでホームセンターで買い物をすることはほとんどなかったが、カフェを営業することを決めると、途端になんでも揃うこの場所に改めて感動を覚えていく。


「あ、そうそう、山頂は寒いんだよな。下界と温度が5度くらい差があるから、店に泊まるときにあったかくしておきたいんだよな。毛布とか、ないかな・・・。あ、あるやん、あるやん!!ホームセンター、ほんま神!!」


令和4年1月18日。満月の明日は、サンライズカフェを朝6時からプレオープンさせる。そのために俺は前日から山頂の店に泊まることにしている。冬の山頂は北風も強く、寒さに輪をかけて極寒だ。油断すると室内もすぐに冷えていくことを経験しているからこそ、一夜を過ごすための防寒対策として毛布を購入した。


「やっぱり、ぐっすり寝て、元気いっぱいでみんなの前に現れたいしね。」


石油ストーブを焚いて室内をあったかくし、換気も良い状態で寝る準備をする。買ってきた毛布の中に入ると、なんとも言えない至福な気持ちとなった。


「めっちゃ、あったかい!これ、肌触りも寝心地も、あったかさも抜群やわ!」


俺は布団の中でほっこりしながら、深夜に流れるRADIOを聴くことにした。番組は「超⭐️開運RADIO」というものだ。明日からのプレオープンに向けてとても縁起が良い番組名だと感心する。


「今回のゲスト、めっちゃおもろいやん!ほんで、兄弟で出演してるって宇宙兄弟みたいやな!!兄弟揃って、世界中で仕事してるって素敵やなぁ〜。パーソナリティーの方も熱く語っているのがめっちゃ伝わってくるわ。また、サンライズカフェにも来てくれたら嬉しいなぁ・・・。」

 

1時間番組のRADIOを聴き終えたあと、改めて明日6時のプレオープンのための準備と最終チェックをした。


「よし、あとは寝て起きるだけ。毛布気持ちいいし、今日はちゃんと寝れそうだな。そうだ、まだ眠たくないから、プロジェクターでアマゾンプライムの映画流しながら寝よ。見ているうちに眠たくなるだろう。」


兼ねてから見ようと思っていたボリウッド映画を流す俺。しかし、毛布が想像以上に心地よくて、1時間もしないうちに寝落ちしていた。


そして、次の日の朝。いよいよ、プレオープン。だが、初日から想定していなかったトラブルが発生した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る