やってみたいアルバイト

 まあ図書館司書である。

 図書館司書のアルバイト、ぜひやってみたい。理由は「結構忙しそう」だからである。借りに来る人への対応も、本の整理も、書庫に取りに行ったりも、破損本の修復も、本の発注も廃棄も、やってみたいことである。レファレンス対応なんか、ものすごく時間のかかる、根気強い作業だ。あんまり頼りない調べ方をしたら、馬鹿にされて悔しい思いもするだろう。


 なんだかんだ女性ばかりの職場にはなりそうである。でも、結構わりとややこしいお客さんが多くて、男の人の対応が必要となることは多いと思う。

 そういえば、むかし科学館の面接を受けたとき、非常勤なのだけれども、ややこしいお客さんへの対応ってできますか? と遠回しに聞かれたことがある。

 公的機関では、意外とややこしいお客さんの存在は難問のようだ。


 ストーカー化するおじさんというのがある。

 ストーカー化したおじさんはやばい。谷六にある雑貨店「ひなた」を建てるときのエッセイ本があるのだが、その本の一番印象的なところは、ひなたを造るときに、最初は親切だなと思っていたおじさんがストーカー化して、帰るときに家の前で待ち伏せされていて、友達に迎えに来てもらったり、そのおじさんがいなくなるまで、電気を消して、ずっと店の中で息を潜めていたり。恐怖をしながら店を開くことになったところだ。

 ストーカーおじさんは、正直、いつ働いているんだというくらい、自在にストーキングをする。夜中でも余裕でやってくる。

 そういえば、たかつガーデンで文フリの作業していたら、文学学校のおじさんが会議室まで入ってきたことがあった。俺が「なんですか?」と言うと、「なにしてるんかなって」と言って去っていった。何度か会った人なのに、俺はいつも初めて会ったように振る舞うのでショックを受けたのかもしれない

 昔からだが、なぜか俺は文学学校のおじさんと相性がよく、大抵は追い出したり、対抗することができる。口調がきついのか、それとも声がよく通るのか。たぶん声がでかいのだと思う。ちなみに俺もおじさんである。


 しかし、なんのためにあのおじさんは入ってきたのだろうか。

 そんなおじさんは、図書館にだって登場するだろう。

 そういうときは俺は出番があるだろうけれども、普段の業務で役立つことはできるだろうか。

 図書館の研究は、ちょくちょくしている。図書館小説も書きたいが、これ! っていうのがない。「税金で買った本」をKindleで大人買いして研究するしかないのだろうか。

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氷上のスダチ 猿川西瓜 @cube3d

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