第25話▼配達のお仕事の苦労やあれこれ②

【どんなエレベーターの作りやねん】

あのエリアの団地だけなのだろうか?

とにかくエレベーターの配置が変わっている。

たとえば団地を正面から見て右端に設置されているエレベーターと左端に設置されているエレベーターとでは、止まる階が違っていたりする。

片方が奇数階、もう一方が偶数階なんて振り分け方がされているのは、まだいい。

片方が「1・4・7階」、別のエレベーターが「2・3・9階」、残るもう一本が「5・8階」なんてものも存在したりする。

ずっとそこに住み続けている住人にとっては良いだろう。

自分が使うのはどのエレベーターか覚えておけばいいし、止まる階を搾ることで一機当たりの利用者の数とエレベーターを待つ時間を減らす効果があるかもしれない。

だけど配達員にとってはとにかく厄介な仕組みだ。

『この団地のエレベーターは何機あって、どのエレベーターが何階に止まるか』を記憶しておかなくてはならない。

もし覚えられなかったら、団地内で迷子になってしまう。

余計なロスタイム=休憩時間がなくなるorクレームなので、団地で迷子は避けたいところ。

記憶するのに一か月弱はかかるから、なかなかの手間だ。


【AmazonとZOZOTOWN は文字通りのお荷物】

前述したとおり、荷台の荷物は手前から配られていくように配置している。

なので本来なら配っている途中に荷台の中の荷物を組み替えるような作業は不要となる。

その作業を強いてくるのが、当時は主にアマゾンとZOZOTOWNだった。

当クロネコヤマトの営業所では、アマゾンとZOZOTOWNの配達も請け負っていた。

両社とも日本有数の規模を誇る通販会社である。

時には荷台の荷物の半分近くが上記二社の荷物で占められることもあった。

ちなみに両社とも、一定の額を支払うと配送料が無料となる。

その場合は時間指定を行わないお客さんも多い。

ゆえにとにかくウンザリさせられるぐらい不在が多くなる。

特に私が勤めていた時間は昼間だったので、アマゾンなどの荷物の場合は運んでも大体半分は持ち帰らなくてはならなかった。

不在となった荷物は時間帯を変更して再配送することとなる。

なので一度その荷物を自転車の荷台に詰め直さなくてはならない。

その場合、荷台の一区画を強引に空けてそこへとぶち込むことになる。

この作業がとにかく手間で時間を消耗する。

自分の休憩時間が削られていく音がゴリゴリと耳元で聞こえてくるほどストレスに感じたこともあった。

アマゾンを利用するのはまだいい。便利だから。

せめて時間指定をしろと毒づきたくなってくることもしばしばだ。

不在者伝票を切るのにも時間がかかる。

チャイムを3回は押して、それでもダメなら伝票を書いてポストへと放り込む。

その一連の流れだけでも2分は必要だ。

仮に一つの団地で5件の不在が発生したら、10分のロスタイムが生まれる。

その時間帯で受け持つ団地の数が5件だったとしたら、50分もの時間が無駄になる。

もちろん休憩はなくなるし、最悪クレームに繋がってしまう。

なので慣れた人はチャイムを一度押して、脈がないと判断したら2度目のチャイムを鳴らしつつ即座に伝票を用意するような人もいた。

そんな創意工夫を凝らし、プレッシャーに耐える私たちをあざ笑うかのようにアマゾンなどの荷物を次々と託される。

ウンザリしていたところ、さらなる追い打ちと言わんばかりに、時間指定通りに持ってきたのに不在という事態が起こると、

「お前、自分で時間指定したんやろ!?」と唾を吐きたくなってくる。

何年か前にサガワの配達員が、不在の荷物を持ち帰る際にその荷物を蹴っていた映像が問題となったことがあった。

正直なところ、その気持ちはよくわかる。


最近、宅配業者が通販サイトからの荷物の取り扱いを見直す動きが起こっている。

そのニュースを目にしたとき、私は密かにガッツポーズしたものである。

今は消費者の立場に回っているが。

みなさんはぜひ、時間指定を忘れないように。

そして指定した時間には必ず家にいるようにしてください。

もしくは宅配ボックスなどの設置をお願いします。

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