第24話▼クロネコヤマトと不可解な荷台②
だが、いつまで経っても慣れないこともあった。
まずは『荷台がすぐ脱臼する問題』
私の使っていた自転車は普通の電動アシスト自転車そのもので、その後ろに後付けの荷台を連結させる代物だった。
上手く説明できないが、取り外しが楽になるような連結器具が後部についている。
その連結器具が、とにかく外れやすい。
なんたって太いU字型のパイプに、マリオが当たったら死ぬような『トゲ』が一個だけポツンと点いているだけだから。
自転車側にはそのトゲ、荷台側にはトゲに覆いかぶせるようなカップが取り付けられているだけ……
ちょっとでもカップがトゲから浮いたらたちまち外れてしまい、荷台が路上に置き去りとなってしまう。
私はその現象を『脱臼』と呼んでいた。
膝が間接から外れるのって、こういう感じなんだろうなと思ったからだ。
「ああっ、また脱臼してる!」
脱臼はよく起こる。トゲにカップが被さっているだけなのだから、ちょっとした縦揺れの振動でも油断はできない。
車道から歩道に乗り上げるときは特に注意だ。ペダルが軽くなったらすぐに後ろを振り返るようになった。
荷台には四隅に車輪がついている。脱臼したとしても横転することはないし、荷物が傷つくこともない。
だけど脱臼した関節をもとに戻す作業は大変だ。なんたって荷物満載の荷台なのだから、腕づくで引っ張っても一筋縄ではいかない。
再びトゲにカップを被せるのに、どうしても1,2分はかかってしまう。
この作業がメインストリートの交差点で起こると、冷や汗が出てくる。
営業所から団地エリアへ向かうにはどうしても渡らなければならない交差点があり、そこは6車線と4車線の道路がぶつかる結構大きな交差点なのだ。
実はこの交差点も要注意の脱臼ポイント。
路面が古いからか、いたるところにヒビや段差が入っているので、スピードを出して渡ると脱臼の可能性は大。
もちろん脱臼を直している際にも信号はお構いなしに変わるので、一度道路の真ん中で立ち往生して車の邪魔をしていたこともあった。
修理を直して渡り終える頃には、私の顔はたこ焼きのようにアツアツの真っ赤っか。
クロネコさん。どうしてもうちょっとマシな荷台を使わせてくれなかったんですか……?
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