第22話〇世界一幸せな年越しそば①
2016年の年の瀬。
私がシェアハウスに住みだして丸1年が経過しようとしていた。
去年の暮は家出同然で滋賀県の実家から移り住み、引っ越しの手伝いをしてくれた親に向かって「死ね!」と言い放って一人寂しくモソモソと年越しそばをすすったものだ。
一応私にも人の心があるので、あの時の出来事は人生でも指折りの後味の悪い出来事として記憶に残っている。
当時は未だ両親に謝罪はおろか、まともな会話すら交わしてはいなかったが、二度と同じような思いを味わわせてはいけないと思って極力連絡を絶っていたし、私自身も二度とあのような思いをしていない。
また、顔見知りが誰一人いないシェアハウス内で、親しい者同士のパーティーが開かれている中、独りモソモソと年越しそばをすするなんて経験も、二度としたくはない……絶対に、したくはない!
なので今年は何としてでも一人年越しを阻止しようと密かに画策していた。
大丈夫。今年は顔見知りがたくさんいる。
『言語交流会』という週に2,3度は集まって仲間内でお互いの国の言葉を教え合う食事会も主催していることだし、
マメに色んな人と旅行に行ったりもしたので、誰かに突然声をかけられたりパーティーに誘われることも無きにしも非ずだ。
だけど……それだけで確実にボッチにならないとは限らない。
年末なだけに、親しい人がみんな何かしらの用事が入って、ボッチ不可避な状況になるかもしれない。
確実にボッチにならないためにはどうしたらいいか……私は考えを巡らした。
そこで行き着いた結論は、「誰かに取られちゃう前に、私がパーティーを主催すればいいじゃない」
※本日はここまで
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