少年の法

バブみ道日丿宮組

お題:理想的な列車 制限時間:15分

少年の法

 列車戦場をどうにかして綺麗にすべきか。駅員は毎度のことながら考える。

 暗殺の場として好都合、誘拐の場としても隠せると犯罪の砦とも言える列車運行。

 もちろん警察も馬鹿ではない。

 セキュリティをきちんとしろと配備するも、全てを守ることなど理想以上の理想。街でのゴロツキどもを捕まえたほうがまだ治安はよくなるだろう。

 なんせ列車を戦場としてつかうやからはマフィアやヤクザだ。関わらなければ関わらないだけで被害は事実貴族にしか及ばない。

 だからこそ、列車屋は先頭車両を貴族用、後車両を一般用とし、さらに中間地点を物資倉庫などの人が寄り付かない列車とした。

 このために一般人に被害はでなくなった。

 一般人に価値がないからというわけではないが、やはり揉め事をもってるのは貴族たちばかりだ。警察が手を出せない貴族もその中に含まれる。

 そうして警察も手を出さなくなった。

 守るのは一般人のみ。

 血まみれの列車は先頭車両のみと、出発前と出発後は色も匂いも変わる。

 

 だが、それも市からの使者によって謙虚された。


 暗黙のルールとしてみてた警察官は全員が処刑という重い処罰を。列車関係者には貴族が味わった痛みを寿命がつきるまで繰り返させたという。

 そのやってきた使者はただの少年。

 そういってしまえば、世界はどんだけ平和だったろう。

 見た目は少年ではあるがその中身はどの人間よりも老いてる。いわゆる脳を移植されて生き残ってた生物である。そのことを知るのは市の上流海流のみである。

 なお、少年はその待遇ゆえかもちろん、マフィアにもヤクザにも駅員にも狙われた。だが死ぬことはなかった。

 少年はいう。

「既に死んでるものはしなない」

 切られた腕はくっつけると繋がり、抜かれた瞳は入れると動き出す。

 少年はあえて悪の行動を受け入れる。なにせ痛みを感じることはない。ただ興味だけしかなかった。人が何を思ってそう行うのかと。

 そして同じことをやり返す。

 当然返ってくる言葉は、悪魔、人間じゃない、悲鳴、激しい嗚咽。

 そうして列車は、どこにでもある普通の一般列車。指定席、自由席がまじった市と同じものとなった。


 任務を達成した少年は、たくさんの亡骸が入ったコンテナを市へと送り、悪の根絶に利用せよと命じた。

 一つ一つのDNAが解析され、身体を構築し直され人間として再加工される。何を与えれば思考が変わるのかと試し、壊す。

 少年はそれをデータベースに入れ、新たな悪へと向かう。


 市にいるのは、人間はでない。

 人間の形をした人間。


 いや、人間とはいったいなんなのかと呼べるただの物体だけしか生活していないのにみ関わらず、平和と幸せに包まれてる。

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少年の法 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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