⑯【……君誰?】


「え? ……君誰??」


「いやだな~キョウジさん。オレですよ、ルキフェルです~。ルキフェル・ホワイトフィールドですよ~」


 エクエス、レオン&タクマ、そして俺でセイラ探索に出発しようとしている時の事だった。急に後ろから話しかけられたのだが……


「………………いや、マジで誰?」


 目の前にいる顔かたちの整った青年をじっと見てみる。うん、見覚えは……あるな。あるけど印象が薄いというか……


「キョウジ、よく見てみぃ。ちょっと前に闘ったやろ」

「……って、オマエ……ギャラクシープリンスの紫か!?」

「そうですよ~。ガチで闘ったライバルじゃないですか~」


 白い歯をキラッと光らせながらドヤってみせる。ライバルって……めちゃくちゃ弱かったじゃんか。言われてみれば髪色が紫だけど、今日は服装が普通だからわからなかったわ。というか……


「なんで紫なのに名字がホワイトなんだよ!」

「ああ、気にしないでください~。キョウジさんと同じ、キラキラネームってやつです~!」

「それは違う、絶対に違う! 黒歴史思い出すからやめとけ!」

「いや~あのあとギャラプリ解散してしまいまして~。今はオレとディーンで組んで……」


「すまん、色で言ってくれ!」

 いや、話を遮ってマジすまん。色で言われないとわからないわ。


「赤ですよ~。名前はディーン・ブラックウェル」

「そっちは黒かよ……」

「それで、どんな御用でしょうか? 今は時間があまりないのですが?」

 タイミングよくエクエスさんが話を進めてくれる。冷静な人、助かる。


「実は一か月ほど前にですね~……」

「あ~、すまん、結論だけ言ってくれ。経過はいいから」

 すまん……すまんが時間がないんだ。なんか俺、さっきから”すまん”しか言ってねえ。自分で思っているよりも余裕がないのか……


「あ、はい。セイラ姉さんは無事です~。以上!」


「…………」


「はい……? 今なんと?」


「セイラ姉さんは無事です~。以上!」

 白い歯をキラッキラッと光らせながらドヤってみせる。


「なんでだよ、なんでオマエがそんな事知っているんだ? おい、ちゃんと話せ。 経緯を話せ。端折はしょるな! 手を抜くな!」

「キョウジ兄さん落ち着くっス!」

「そやでキョウジ。結論だけ言えゆうたのオマエやで~」

 

 ……そうでございました。


「では、経緯の説明をお願いできますか? ルキフェルさん」

 常に冷静なエクエスさん。またまた助かる。



「一か月ほど前の事です~。青と金が治療の帰りに病院から出てくるセイラ姉さんを見かけまして。挨拶しようとしたら、姉さんがいきなり数人の男に囲まれまれたらしいのです~。流石にヤバイと思って、助けに行こうとしたのですが、その囲んだ男達の真ん中に、キョウジさんとこのお侍がいたそうで~」


「山南っスね。あ、その時は沖田でスか」


「そこでいきなり戦闘が始まってしまって~。最初は互角だったらしいのですが、たまたま病院から走って出てきた子供の兄弟がその場に飛び込んでしまい~。姉さんは子供をかばって背中から斬られたそうです~」


「その二人、青と金でしたか。見ていただけですか? なぜ……助けようとしなかったのですか?」


 エクエスさんが少し怒り気味になっている。強い正義感の裏返しとも言えるのだが。しかし、それは仕方ないんだ。だって彼らは……


「エクエスさん。そこは責めないでやってくれ」

「ありがとうございます~。青と金の二人は、試合でお侍に向けられた殺気がトラウマになっていたらしく、一歩も動けなかったと~」

「多分それが原因で、二人はギャラプリを辞めたって事なんじゃないかな?」

「そうです~キョウジさん。完全におびえてしまって~。ただその話を聞いた以上は見過ごす訳にはいかなかったので、何とか助けられないかと見張っていたのです~」

「なるほど。パトリシアさんの騒動があったおかげで山南はそちらに向かわなければならなくなり護送が手薄になった。そこであなた達が救出に動いた。と?」


 ……パティが俺とタクマを救おうと必死で動いてくれていたのが、セイラも救う事になっていたという事か。





次回! 第四章【true this Way】 -人の在り方- On your Side:味方 ⑰ドヤ

キ是非ご覧ください!




ご覧いただきありがとうございます。


「この作風嫌いじゃないよ!」という方は、是非 評価とフォローをお願いします!


続けて読んでいただけたら涙流して喜びます(/ω\)








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る