⑥【転生の真実-2】


「俺は何故生き返っているんだ?」


「まあ、当然の疑問よね。だけどその前に”さっきまで”どこで何をやっていたのか教えてくれる?」


 あまり話したくはないが、問題の解決に必要な情報と割り切った。割り切るしかなかった。それにこちらが腹を割って話さないと、セイラも肝心な事は隠してしまうだろう。



「ふ~ん、なるほどね。それで、アンタがだらしなくてそのリョウコって人を救えなかったんだ」


 こいつは……心をえぐるような事を平気で言いやがる。


「涼子は助かったのか?」

「わかる訳ないじゃん。そこに転生したのはアンタなんだし。それに……」



「助かったとしても、今頃はどこかの男に股開いてんじゃないの?」



「――てめぇ!」

 その瞬間俺は本気で殺気を放っていたと思う。ベッドの周りにある花瓶や椅子、本、誰かが持ってきてくれたであろう果物と、一緒に置いてあった果物ナイフ。近くにあったありとあらゆる物。それらが一斉にセイラに向かって飛んだ! 理屈は解らないが、詠唱も何もなしに魔術を発動出来ているみたいだ。


 ――だがセイラはまったく、何ひとつ身を守ろうとしなかった。


 足に椅子が当たる。果物ナイフが頬をかすめて壁に刺さる。花瓶が頭に当り血が流れる。何か甘んじて罰を受けているようでもあった。


 何を飛ばしたかなんて覚えていない。俗に言う”キレた”ってやつだ。しかし、包帯で吊っている左肩から血が滲み、頭から流れる血ををのままに立ち続けるセイラを見た時、少し冷静さを取り戻した。煽ってきた理由は解らないが、何か意味があって発した一言なのだろう。


 なにより、左手首に光るラップブレスレットが、そんな事を望んでいないような気がした。



「……すまん」

「なんで謝るのよ? 私はアンタをバカにしているんだよ?」

「それでも、だ。怒りは話を全部聞いてからでもいい」


 数十秒か数分か、沈黙が続いた後にセイラが重い口を開く。


「罰……なのよ」

「なんのだ?」

「魂に刻まれた罪」

「わけわからねぇよ」

「でしょうね。私も聞いただけの話だから」

「カドミにか?」

「ええ。その辺りは想像通りだと思うよ」


 セイラは最初からカドミと繋がりがあり、いつからかは解らないが、俺とタクマを監視していた。という事だ。

 地下牢で”初めて”会った時にタクマの存在を知っていたり、この街に来る直前にカドミの名前を出したり等、繋がりはすぐに推測できる。むしろ、そう仕向けていた様に思う。その部分はバレても全然問題ないという事なのだろう。


 しかし、そんな程度の些末事が全て吹き飛ぶ言葉がセイラの口から出た。



「この世界にね、転生“させられた”人間は全て……」










……」






次回! 第四章【true this Way】 -人の在り方- Down Side:不都合 ⑦記憶の重み-1

俺のタグに刻まれていたのは…… 是非ご覧ください!






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