第三章【Existence Vessel】-魂の器- 

プロローグ(第三章)


「いけ! ギャラクシーエンペラーレクイエム!!!」


 センスのかけらもない名称をつけられた“紺色のゴーレム”が、召喚主である魔法使いの命令で右腕に持った剣を振り下ろす。威勢の良い掛け声と裏腹な、そのヘナヘナな剣を労せずに受け流す“赤と真珠色のゴーレム”。

 7メートル程の構造物ゴーレムとは言え、人型である以上行動に伴う重心移動は最も重要な事。その部分に神経が行き届いていないと、グダグダな攻撃になってしまう。


「マジかアイツ。よくもまあ、あんな恥ずかしい名前を叫べるもんやな」

「タクマよ、俺達も一歩間違えば似た様なものだぞ」

 ……とは言え厨二病でももうちょっとマシな名前をつけそうではあるが。



 盗賊団ラフィンストーンと、隣街の領主が逮捕されてから一週間。アメリカ領に向かうはずが“セイラの一言”で予定を変更せざるを得なくなった。


 しかしそれにしても……


「キョウちゃん、左に警戒して!」


 今は何故か……


「セイラ殿、拙者がふぉろ~いたしまする!」


 なぜなんだ……?


「お兄さま! 集中してくださいませ!」


 どうして俺はパーティー組んでゴーレムトーナメントなんかに出場しているんだ!?



「……はあ、勘弁してくれ」





次回! 第三章【Existence Vessel】-魂の器- ①カレル

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