第三幕閉幕/プロット・ライン・ターン


 内包されることによって、それは内包する。

 内に在ることによって、それは、外にも現れる。


 外界で灯る炎が光を通して脳に宿るように。

 脳に宿った光は、外界に燃ゆる炎を指し示す。


 観測とは、つまり、見ることを通して生まれることだ。


 生まれたと、そう見ることだ。

 そう見られれば、生まれることだ。


 或いは瞳とは、産道なのか。臍の緒なのか。


 それが彼らを産み落とす。



 呼ばぬことだ。

 語らぬことだ。


 呼ぶ声は、それを、指し示す。



 元よりここに逃げ場はない。


 生きようとも。

 死そうとも。


 全ては結末への、燃料にすぎない。



 世界の先を願う声は、忘れている。


 誰かも先を願うことを。

 誰もが先を願うことを。


 故にその答えは、ただ喰らい合う他ない。

 喰らい合い、堕ちていく他ない。


 混沌とした三つの道は対立し、そのどれもが、至らぬ中で失墜する。


 いずれにも確たる道は、どれもに与えられる滅びのみ。


 滅びだけは、選ぶまでもなく訪れる。

 識るまでもなくそこにある。

 全てに漂う空虚は、語るまでもなく呑み込んでいく。


 喰らうために。

 呑み込むために。


 それは、世に、生まれたのだから。

 それは、世に、あるのだから。


 ただ空虚とは――吸い寄せるために、集めるために、生み出すためにそこに在る。



 いざ、絶命の剣は放たれる。


 唯一無二の法理を――唯一無二の機能性を表すそのために。


 祈りprayに塗れた世界の中で、異なるその二つは、とっくに答えそのものanswerだった。







  ……しかしその前に少しだけ、彼ら彼女らの話をするとしよう。


 執行猶予が与えられた乙女ゲー成分は、脱獄のときを待ち詫びる。









Act Ⅲ『狩人狩りの聖者、或いは逆夢』――閉幕。




←To be continued...














Next to:Act Ⅳ『昔日の日々、或いは彼らの断章』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る