【レビュー】アーセナル・コマンド・ネクスト 〜殴り愛♡宇宙〜【乙女ゲー】

 というわけで、あの『アーセナル・コマンド 〜愛・戦士〜』『アーセナル・コマンド 〜胸の鼓動は愛〜』の続編ゲーム『アーセナル・コマンド・ネクスト 〜殴り愛♡宇宙〜』のレビューです。


 ※多少のネタバレを含みますのでご注意ください。



【システム】


 前作が全員味方サイドだったのと違って、今作は複数勢力入り乱れになっています。

 ただ、このゲームは所属勢力分岐とルート分岐が別になっているゲームですね。

 つまり……なんと同じ側に属さなくても攻略は可能です!


 それぞれ【ハシバミの枝】陣営と【フィッチャーの鳥】陣営、かつ個別ルートに分岐するので攻略対象全員に『敵対ルートからの個別ルート』『共闘ルートからの個別ルート』が用意されていて、一粒で二度三度美味しいゲームになってます。

 更に『ノーマルエンド』『グッドエンド』『バッドエンド』が別れているので……どれだけライターさんが酷使されたのか、ちょっと心配になってしまいますね(苦笑)


 まあその分、別ルートで攻略した男の子と別ルートで殺し合うことにもなるんですが……乙女ゲー作ってるって自覚あるのかなこの会社さん。


 あと、前作と違って逆ハーは目指さない方がいいです。

 前作は「ここが私の居場所なんだ」みたいないい感じに終わりますが……今作は攻略対象が血みどろに殺し合い、頑張って幸せになってほしかった主人公ちゃんが大変なことになるところを見せられることになります。見たいならいいですけど(笑)


 お話は「皆で団結してこの戦争を乗り越えよう」という前作に比べて、前に戦争をやってるせいで男連中のどいつもこいつも何か気が滅入ってます。そこに主人公ちゃんの若さゆえの光がスーッと刺さる。

 いやそれでは取繕えない程度には戦争の悲惨さを出してますが、そこはまあ相変わらずのこの会社というか……

 流石は攻略対象の情報よりも先にロボットの情報をサイトに乗せて、攻略対象の一枚絵よりも先にロボットの一枚絵を出して、設定資料集でロボットデザインの方がページが多い会社です。

 乙女ゲーを作ってるって(ry


 また更に途中から行動に時間制限が設けられるようになり、警告はされますがわざとこの制限を超えてしまうと……

 攻略対象のいろんなボイスが聞きたい!という人にはオススメですが、そうでない人は避けた方が無難です。

 声優さんって凄いなぁ……って気持ちになりますのでそういう意味だと中々いいのですが……何故そこで一番好感度が高い相手を選ぶのか。いや主人公ちゃんへの好感度が高いからでしょうけど。

 乙女ゲーを作(ry


 主人公は顔あり名前固定です。攻略対象から好きな名前を呼んでもらいたい人にとっては残念かもしれませんが……その分、ある真実が明かされたときの破壊力が高いので我慢する価値はあるかもしれません(笑)



【ストーリー】


 アニメ化の影響で弾けてやりたいことをできるようになったからか、前作以上に戦争の悲惨さや心の傷、エゴ、劣等感などに関する描写が多いです。

 辛い戦争に段々と追い詰められていくけど、持ち前の明るさとタフさと乙女心と攻略対象との交流で乗り切っていく前作主人公と違って、読んでいて辛くなる描写が多々あります。登場人物たちのその心の傷を愛せるか、にすべてがかかっていると言っても過言ではないです。

 それとも制作会社は、あれだけ辛い世界でもある程度希望ある終わり方をした前作の続きを作られるのが嫌だったのかな……なんて思うほど。

 だけれども、前作とまた違った一癖や二癖ある傷のある男たちとの交流は、それもまた新しいアーセナル・コマンドシリーズなのかなと思います。



【前作からの変更点】


 何故か恋愛SLGからハイスピードロボットACTになった……のような異常な変更点はないので安心。

 「育成ステータスが足りないと戦闘パート中に一定の選択肢が出ない」などのSLG+ADV要素が高い部分は前作と同じ。

 ただし前作と違って陣営ごとにメンバーが定められてしまうために、自由行動で接触できる相手は限られてしまっています。


 ただ今作で安心なのは、「ステが足りなくて攻略対象が主人公を庇って死ぬ!」のようなことがないこと。

 基本的に皆歴戦orエース級なので、前作主人公のメイジーちゃんのように頑張る必要はありません……いや嘘です。普通に主人公ちゃん本人が殺されたりするので戦闘訓練はかなり必須です。しかもかなりシビア。

 だから乙女ゲ(ry


 ただ、戦闘訓練をしなくても結構戦闘中は庇ってくれてイベントがあったり、戦闘訓練していると誰かしら話しかけてくれて色々とやり取りがあるので……そのあたりは確かに乙女ゲーなのかもしれません。会話パートは中々に豊富で、時には数人交えて小気味いいやり取りなんかしてくれますよ!

 まあ、前作以上に生き残ることに必死になりますが(皆あまりにも強すぎるw やめろ殺すなw)


 また、このゲームが異色でもなんだかんだ乙女ゲーとしてやっていけてる部分は健在。


 変に色気付いた選択肢を選ばなくても「頑張りを評価してくれる」「顔合わせが多くて徐々に意識し始める」……のような「自然と惹かれていく」という形で『無理に男に合わせて自分を偽る必要のない』恋愛関係に発展するSLGの部分と、

 明確に相手ごとに選択肢を定めて恋愛として意識させられる(それでもどの選択肢でも好感度は下がらずに異なった視点に理解を示してくれたり、共感してくれたり、喜んでくれたりする)ADVの部分があるのは前作同様。

 「男性相手に自分を変に偽らなくていい」「無理に相手に合わせる必要はない」という点は、このゲームのかなり誠実なところですね。

 ……流石は、客層に全く合わせずに唐突にロボットバトルアクションで一作目をリブートさせた自分を偽らない会社だけある(笑)


 またチャプターごと特定の大きな物語(歴史)の転機となる『クロスポイント』というところがあり、そこで自陣営・他陣営を問わずに接触が可能なので普段接触できない相手の好感度を一気に稼ぐこともできますのでご安心。

 それぞれの陣営によって事件の見え方も変わってきますので、どちらも試すと面白いかもしれません。

 あと、日常で話しかけといてそういうところで別の人の好感度を稼ぐなんて八方美人プレイもできます(笑)


 なお、強くてニューゲームはできずとも『ステータス固定でゲーム』というシステムもあり、何周もする場合にはこれが楽ではないかと思われます。



【主人公】

●シンデレラちゃん


←健気         ★[8] 強気→

←かわいい  ★[3]      綺麗→

←女らしい     ★[5]   男らしい→



 小動物系噛みつき少女主人公ことシンデレラ・グレイマンちゃん。

 前作のメイジーちゃんが明るく朗らかでハッキリと物を言うし変なとこドライだけど根が妙にネガティブなおもしれー陰の者とすると、全方位にハリネズミみたいな風紀委員系の主人公です。

 いい意味でも悪い意味でもすごい若いなあって感じで、物言いもズケズケしてるわ言葉もあんまり選ばないわすぐ噛みつくわで「何だこの主人公……」と思わせられたんですが、毒親パパに言葉で虐待されるあたりからはただ彼女の幸せを願ってしまいました。

 最終的にその性格がいい方に噛み合って、かなりの侠気を見せる女の子。ルートにもよるんですが……。

 メイジーちゃんが少女漫画的な啖呵の切り方とすると、シンデレラちゃんはなんか英雄系とか少年漫画主人公とかそっち系の啖呵の切り方ですね。


 年齢は大体中学生ぐらい(設定的にはハイスクール一年生)ですが、それでも平均より相当に小柄なのにかなりナイスバディーです。

 そのせいで攻略対象たちに「まさか……だからこの子に手を出そうとしてるの……?」と一瞬疑って構えてしまうほど。

 正直それって乙女ゲー主人公としてどうなんだろうなあって感じだけど、まあもうこの会社だから……この会社だから……アクションゲーになるよりはもう……。


 でもそのせいで(特にあるルートによっては)悲惨な目に遭ってしまうので嫌わずにいて上げてください。

 聞いてるのかインモラル神父。オメーだよ。レーティング上げやがって。あとクソ毒親父。


 逆ハールートも悲惨ですが、誰の好感度も足りてないルートはもっと悲惨です。

 聞いてるのかインモラル(ry


 ……いや、そこそこ恋愛ADVとかSLGされてる方はご存知だと思いますけど、前例はあるんですけどね。ロリ系なのに結構スタイルがよくて……みたいなのでもヒットしてるゲームは。R18でロリ系で大きめの主人公のゲームとかもあることはありますし……。

 そこらへんの主人公ちゃんも色々と酷い目に遭っちゃってるから、まあ、なきにしもあらずなんだけど……この容姿と性格と展開の組み合わせはまあちょっと冒険してる感はあります。ひょっとしたらこのゲームで打ち切りにさせるために……いや、その割にテキストやシステムに熱意はあるんだよなあ……。



【攻略対象】

●ヘンリー・アイアンリング


 ややヤンキー系のかませライバルポジションの青年です。

 物言いは強いわりにシンデレラちゃんに一歩及ばず……みたいなところが多くて、何かと突っかかってきます。

 ただ、ストレートな物言いをしてくれるし彼も若さ故の勢いがあるので。

 お互いの背中を庇い合いながら喧嘩ップルみたいになる二人は微笑ましくてとてもいいです。

 このゲーム、シンデレラちゃんがやたらと年上趣味を拗らせているせいかこんなやり取りをしてくれるのは彼ぐらいしかいない。それでも大学生と中学生ぐらい違うのに(笑)


 なお、敵対陣営ルートよりも味方陣営ルートの方が……


 訓練してると「センスがあるシンデレラちゃんが文句を言う」→「ヘンリーくんがなんか言い返す」→「シンデレラちゃんがカッとなる」のやり取りが多いです。

 最初はまあ険悪そうなのに、それでも「前に〇〇って貴方が言いましたよね!」「なんで一々覚えてるんだよオマエは!」みたいな感じでこれもまあ微笑ましいです。

 味方陣営だと、わりと喧嘩が多かったのに撃墜されちゃったシンデレラちゃんを案じる彼が必見。敵対陣営だと、運悪く二人とも撃墜されて流れ着いて……みたいなところから交流を深めて、喧嘩しまくるロミジュリ始まるのでそれも楽しいです。


 お互いに腕を組んで顔を背け合うスチルはめちゃくちゃいいですね。これぞシンデレラちゃんとヘンリーくん、みたいな!



●ヘイゼル・ホーリーホック


 乙女心と身体(というか命)を一番殺す男。8位詐欺。魅惑のハスキーボイス。

 ナンパな年上の男と生真面目少女、という組み合わせに惹かれる方は是非。お小言めっちゃ言われてる(笑)

 味方にすると頼りがいがあり、敵にすると死ぬほど恐ろしいとはこの人。多分、一番シンデレラちゃんを殺すであろう人物です。

 戦闘訓練なんか色々を頑張りすぎていると自然と声をかけてくれるところは必見。余裕のある年上男性という形でかなりいいです。最初はヘンリーくん狙いだったのにこちらを選んでしまうほど(笑)


 特筆するのは……やはりその強さでしょうか。

 容赦なく殺し、遠慮なく殺す。どんなにステータスを頑張ってもハインツ氏を守れないあたり、彼と敵対することはほぼ死を意味します。

 味方ルート→敵ルートだと特にその恐ろしさが知れる……一体何回こっちを殺せば気が済むんだコイツ(笑)


 というかアニメ特典の撃墜数ランクで示されてますが、前作アレだけメイジーちゃんが頑張って(味方の尊い犠牲とかさあ!)戦ってやっと倒した巨大ロボをホイホイと落としてる化け物です。

 ショットガンで狙撃とか、バリア無効とか、ワープみたいに潜伏出現とか……正直このゲームの死因の九割は敵対中のヘイゼルのせいなんじゃないだろうか。

 第8位ってなんだろう……順位詐欺すぎる化け物。


 そんな仕事人に何故彼がなってしまったのか……について語られるとき、前作をやっていると少し嬉しいことがあります。

 ルートに入ると意外にも独占欲が強くて、「他の女に軟派なのはなあ……」と思ってる人もご安心。いい声で無茶苦茶耳元で愛を囁いてくれます……その声はズルい……。


 こんなナンパ野郎ですが、彼もまた前大戦に焦げ付いていて……そういう男が全てを吹っ切って手を伸ばしに来るのは堪らないですね本当に。



●マクシミリアン・ウルヴス・グレイコート


 声優さんを見て「おや?」と思いましたが、前作のとある人です。

 メイジーちゃんの婚約者説が囁かれていましたが……蓋を開けてみたらそういうことでした。納得。

 この人は敵にすると恐ろしく、味方にすると頼りなかったり情けなかったりという印象。

 敵対ルートだとあんなにも凄腕でできる男風だったのに、味方ルートだと問題が出るわ出るわ……。

 特にインモラル神父を引き入れちゃったのは大問題でしょう(笑) いや、あんまりにもヘイゼルさんが強すぎるのがいけないんですが。


 その分苦労人なので、支えてあげたい……という人には向いているかもしれません。

 頼りにならないと言いましたが、実際のところ肝心なとこでポカが目立つだけで基本的に優秀で有能です。一緒に戦略を考えてくれたりこちらの生存に必要な策を考えてくれたり、その点では頼れる大人。


 どこか兄目線とか、歳の離れた親戚目線で接してくるマクシミリアンさん。ルートに入ってもちょこちょこ煮えきらなくて、どうにも躊躇いがちな人ですが――そこにまあシンデレラちゃんの勝ち気が上手く噛み合ってくれるのでとてもいいですね。

 胸倉を掴んで唇を奪ってやるぞ、と。

 そういう「保護や庇護はしてくれるけど異性として意識してくれない年上の男性」を乙女の沽券にかけても落としたい、という方は是非。



●ラッド・マウス


 暗黒腹黒イケメンモンスター。だいたいこの人が黒幕。


 多くのルートでラスボスを務めるだけあって、本当に悪い男です(笑)

 承認欲求に飢えている年下の女の子を都合よく使ってるんじゃないですよ、この腹黒イケメン(笑)


 基本的に出撃するときはタンデムで来てこの人単体というのはないんですが……のときは必見。専用機を引っさげて一人で戦場にでてきます。

 しかもこの人、実はロボットの適性がないようなので……その時はとても珍しいことに口では少し嫌味っぽいことを言いますが、お前は一体どれだけシンデレラちゃんが大事だったのか(笑) そんなにロボットに乗るだけの執念を発揮するなんてお可愛いこと(笑) 守りたかったんだね(笑)


 一見素っ気なさそうだったり、利用している感が出てたりしますが……言葉の裏を読むと相当愛が重いです。暗黒イケメンに重い愛を向けられたい人は是非。


 こういう何者にも揺るがない自分、みたいなのを持ってる済まし顔の男が主人公ちゃんのためにそこらへんをかなぐり捨てたり路線変えたりするのは何とも特別扱いがすごくて……いいですね(笑)

 オラッ、お前も愛を囁くんだよ。暗黒フィクサー顔してる場合じゃないぞ。



●フェレナンド・オネスト


 好き!(直球)


 お調子者系の朗らか軍人。

 敵対陣営でも殺しに来ない、味方陣営でもなんだかんだ生き残ってくれるというこのゲームにおける癒やし要素。どいつもこいつも殺意が高すぎる。

 お調子者の面がある年上をなんやかんや言いながらフォローするシンデレラちゃんはかわいいですし、あと敵対陣営になって戦場で出くわしたときの男らしさは是非……結構ギャップがすごいです。軍人さんなんですよね、やっぱり。


 戦闘では頼りないんだけど、メンタルケアという意味ではどちらのルートでもかなり頼りになります。

 特にクソ毒親父に打ちひしがれているときは……年上として接してくれて、その落ち着いたトーンでいつもとのギャップが尚更! 好き!(直球)


 そんな感じで朗らかでお調子者なんだけど、フェレナンドくんにも軍人さんになるだけの正義感とかはあって……その真剣さのギャップがいいのと……あとはやっぱりその真っ直ぐさですね。

 このゲームの男連中、どうにもこうにも色々と抱え過ぎてるところがあるから……そんな中でストレートに主人公ちゃんを案じて、ストレートに正義感を発揮する彼はかなりの清涼剤です。

 凄いんですよ。皆ごちゃごちゃ考えてる中で、「そんなんで……シンデレラちゃんを失っていい理由にはならねえんスよ!」って。

 あと弱かった人が主人公ちゃんのために頑張って成長してくれる、みたいなのには私が弱いです。努力する男の子いいですよね……しかも主人公ちゃんへの好意に終盤まで無自覚。そういう雰囲気になると逆に慌てる彼はかなりいいです。珍しくシンデレラちゃんが相手をイジり倒します。赤面するフェレナンドくんかわいいよフェレナンド。



●ロビン・ダンスフィード


 オラオラ系のオレ様元軍人。

 撃墜数ランク第4位という凄腕で、生半可なステータスだと相手になりません。

 ただ、あまり積極的にシンデレラちゃんを殺す気はないようなので……ヘイゼル、お前が(シンデレラちゃん殺傷数)ナンバーワンだ。


 【ハシバミの枝】陣営と【フィッチャーの鳥】陣営でのアシュレイさんへの接触トリガーになる2大要因のうちの一人ですね。もう一人は言うまでもないステルススナイパーお前だよ(笑)


 この人はどちらかと言うと主人公ちゃんを戦闘に出させたがらないので、それを認めさせるためにステータスを盛らなきゃいけないという特殊仕様。

 それだけ嫌がっているのに訓練してたら面倒見てくれるあたり、他人に対する態度と本音が違いすぎます(笑) 面倒見いいツンデレ俺様でニヤニヤしてしまう(笑)

 「オレは壊し屋だ――」「だから、何をブッ壊して何を守るかはオレが決める」なんて言いながら庇いに来てくれるのは流石ですしね。

 一見強気ですが、中々繊細なところがあるし世話焼きなところがあるので結構甲斐甲斐しくて面白い男です。


 お育ちがいいのか頭がいいのか……愛を囁くときは結構語彙力豊富で、そこからのいつも通りのストレートな物言いの破壊力がまたすごい(笑)


 顎クイが登場人物で一番似合う男。スチルも壁ドンとか顎クイとか多めですね!



●ローランド・オーマイン


 双子兄弟執事系の黒髪メカクレクール青年。

 グレイコート氏の執事みたいに動いてる、陰ながら支え系のパーフェクト青年です。

 その実力はなんと船の艦長から砲の照準から機体の整備から開発の助けからメンタルケアから……もうコイツ一人でいいんじゃないかな。上には上のラッド・マウス大佐がいますが。


 ただ、アーコマの操縦だけは双子の兄に負けているらしく……戦場についていくのは兄のハインツさんばかりなんですよね。


 この人のルートは少し変化球で、ハインツさんの好感度から引き継がれます。

 というかハインツさんが何をやっても生き残らないんだ……それも全てヘイゼル(ry


 ハインツさんを殺してしまった陣営にいるところからの交流、或いは初めはハインツさんに惹かれていたけど失ったシンデレラちゃんと双子の兄を失った弟との……という変化球のシナリオはいいですね。いや、双子ものだとある意味王道なのかもしれませんが(笑)


 なんで執事をしてるのか、グレイコートさんのお家はいいとこだからと思いきや……まさかのまさか、執事道を勝手に掲げているとは。どういうことなの……?


 敵対ルートでの、兄の死に繋がった主人公ちゃんとのやり取りは必見。

 そういうどうしようもない怒りを抱えてしまった男が、主人公ちゃんとの関係の中で葛藤しながら答えを出すのがいいんですよね……そのクールな顔を板挟みに歪めるんだ! イケメンの苦しむ顔も美味しい(笑)



●アーネスト・ヒルデブランド・ギャスコニー


 インモラルクソ神父。だいたいレーティングが上がった理由。前作よりも暗くなってるわ何やらの理由。


 行動は最悪なのに、声と顔と身体と実力がいいせいでコイツ……。

 本当にねっとりとした声がズルい。変な扉が開かれてしまいそうなインモラルっぷり。表情から何からズルくて、本編中でのやらかしのわりにファンが多い理由も納得。

 前作のエイダンさんが『早めにルート決定者(早めに死ぬから)』だとしたら、今作の早めにルート決定者はコイツ。

 かなり分岐が早いので、こいつの好感度を稼いでしまうと……というか他の好感度が低かったりすると大変です。まあ、わざとやらない限りはそんなこともないので安心なんですが。


 敵対陣営ルートだと、まともな味方がいない状態や他の好感度が十分でない状態でこいつに撃墜されると……。

 だからレーティングを上げるな。このインモラル(ry

 制作会社は乙女ゲー(ry


 味方陣営だと、ある街での村焼きバレ(ネタバレ配慮)に居合わせてしまったときに「おれの秘密を知ったなら、おたくの秘密も教えて貰わないとなァ――……」との言葉と共に暗転してアレ。他に十分な好感度を稼いでないとシンデレラちゃんが酷い目に遭います。

 更に味方だとそういう関係性を続けさせられ、おまけにその現場をあの毒親父に見付かってしまうと「母さんと一緒だな」との言葉と共にシンデレラちゃんのメンタルズタボロパート。また、会話から察するにその後のシンデレラちゃんは……。

 レ●プから始まる恋に近親●姦をセットにするなインモラル神父! 流石にそれはライン超えたぞ!

 なんで味方陣営のときの方がろくでもないんだこのインモラル神父!


 この制作会社は乙女(ry


 この男に限っては『ノーマルエンド』と『バッドエンド』のみという徹底っぷり。ある意味制作陣に愛されてるのか……?


 ただ、酷い男に酷いことをされた酷い話……というよりは、ストックホルム症候群なのかな? 段々と主人公ちゃんと彼は奇妙な関わり方をしていきます。

 でも思えば矛盾がないんですよね。

 この男のルートに入るということは他の攻略対象の好感度があまり足りていなくて、だいたい訓練してれば誰かしら上がるのにそれがないってことは……「訓練もあまりせずに」「お休みも一人ぼっち」みたいな状態で……。

 そうなるとこの戦いに巻き込まれてしまった主人公ちゃんが、自分の置かれた現実の重さと不慣れな環境と父親との葛藤を前に何をする気持ちも起きなくて、辛くて孤立してるところにこの男が入り込んだということで……本当に悪い男だな、このインモラル神父。


 ただ、そういう意味では自分本意みたいなのがないのはこの神父は流石です。流石のインモラル野郎。

 受け止められない現実を前にした少女に、立ち向かえなくなってしまった少女に、「それでもいいんだよ」と堕落と安心の手を差し伸べているというか……いや男側が搾取してる感とか上手くやってる感がなくて、むしろ堕ちていくのは主人公ちゃんの望みなんじゃない感があって……。

 そして暗転する前にされる色々な囁きは、めちゃくちゃ破壊力が高いです。いや本当に。悔しいけど。

 上手く心の隙間に入り込んできやがる……まさに堕落させる悪魔に仕える神父みたいで……コイツ……!


 かなりインモラルで酷いキャラクターですが……ある意味での優しさ、なんてものは確かにあるのかもしれません。

 まあ逆ハールートよりも酷い状態になるのを優しさと言うのならば、ですが!



●アシュレイ・アイアンストーブ


 好き!!!!!(ド直球)


 銀髪未亡人笑顔系の幸薄年上男性。


 好き!!!!!(ド直球)


 【ハシバミの枝】陣営と【フィッチャーの鳥】陣営どちらでも接触できる人で、ロビンやヘイゼルに撃墜されたシンデレラちゃんを拾ってくれたあとにそのまま加盟してくれます。

 とは言ってもルート分岐事態はあって、【フィッチャーの鳥】陣営だと彼らの所業に耐えかねて離脱……になってしまってそれが事実上の彼の敵対陣営ルートです。

 なおこのときアシュレイ先生についていくことも選べて……そうすると今までの敵味方が反転するので、中々に攻略対象たちが面白い反応をしてくれます。

 というか制作陣ドSでしょ。味方陣営から敵対陣営に行かれたときのヘンリーくんの反応はひどいし、その分の分岐作ったりセリフ書かせたりかなりのドSですよこれ。


 なんて制作陣と違って、どのルートでも優しい人。

 基本的にシンデレラちゃんのことを第一として動いてくれますし……敵対しても絶対殺したり撃墜したりはしませんからね。おまけに第6位だけあって強いので、本当にいい人です。

 まあ、メンタル弱そうなのに地味に図太いというか、怖いところがあります。そこは流石は第6位なんでしょう。


 前の大戦に傷付いて打ちひしがれているのにそれでも人に手を差し伸べることから逃げていない、みたいな深い優しさもあって……味方から結構酷い言われようをしていたのに、それでも恨んでないアシュレイさんは聖人かな?

 その状態で主人公ちゃんにもあんなに献身的にしてくれるとか……休んでアシュレイさん。休んで。現実にお疲れモードなのに無理に戦場に出て来なくてもいいから。

 そんな感じで実力とかこっちを意識してくれないのも合わさって「大人」って感じのアシュレイさんを落とすのが楽しいんですよ。やって!(懇願)


 アシュレイ先生、頑として主人公ちゃんな女としての触れ合いをしてこないんですよね。未亡人笑顔のまま見守ってるみたいな……この男……!


 そういう庇われる自分とか、彼から助けられてばかりの自分から一歩を踏み出す――というのが彼のルートの主題なのかな?

 ……まあ実はそれまでのやり取りで、言わないだけで彼も主人公ちゃんへの中々の想いを持っていてくれるんですがね(笑)


 それにしても、空気を熱してレーザーを曲げるとか局地的な蜃気楼で分身するとか何だよ(哲学)



 今作に限ってはアクションゲーム化はありえないでしょう。それほどまでに出てくるキャラクターたちの戦闘能力が隔絶しています。

 撃墜数上位ランクの化け物っぷりをまざまざと見せつけられるゲー厶で、メイジーちゃんよくコイツらを抑えてランク1位になったなあと思います。というか、逆にあんなに戦闘が淡々としてたあたりがヤバいのかな?


 そんな撃墜数上位ランクも、前作の第7位(何でもコピーメイドさん)と第5位(ゲー厶間違えてそうな筋肉ステゴロ)と第2位(ライバル令嬢)と第3位(可愛い妹系)に続いて、だいぶ明かされましたね。

 それにしても「出るのでは?」と言われていた撃墜数ランク第9位のハンスさんは今作でも出番なし……まあ前作であの大規模作戦で何もセリフなかったですからね。

 「マーガレットちゃんの死にショックを受けすぎて喋れなかったのでは?」「マーガレットちゃんの婚約者なのでは?」説が出てますけど、いやあそれはどうなんでしょうね。

 案外次回作の攻略対象として温存されているのかもしれません。


 性格も色々と言われてますけど、二つ名が「ジ・アイアン」と言われるからにはやっぱりクール系なんでしょうか?

 無口クール系なら……完全に兵士らしい兵士をしてるのか、暗殺者系なのかそれとも意外とクールオレ様系なのか……ちょっと天然ボケだと可愛いんですが(笑) 趣味です(笑)


 で、その生き残りになった戦いですけど……メイジーちゃん視点では「味方から離されて大変な戦いをすることになった」というスレッジハンマー作戦でしたが、今作で内容が明かされてびっくりしましたね。

 というか最初は「貴方には人々の希望となれる素質があるのでこのわたくしが活かして差し上げますわ!」とか言ってちょこちょこ変な絡み方をしてきてた勘違いライバル系令嬢のマーガレットちゃんが、「当たり前の明日を送る……それこそが人々の希望となるのです! 生きなさい! 恋をしなさい、メイジー・ブランシェット!」って背中を押してくれたシーンは元々かなりのいいシーンだったんですが……

 まさかあんな戦いをくぐり抜けたあとにそう言ってくれるなんて……

 本当にライバル令嬢だけど、それ以上に先輩みたいな女の子でしたね。いい子だったなぁ……それなのに自分は碌に会ったこともない婚約者がいるからと恋の一つもしないで……と思うと泣けてきます。二人が仲良くなるのも、そのあたりでお互いに言い合ってからでしたし。


 ……あ、今作のライバル令嬢は思いっきり悪役なのでご安心ください(笑) シンデレラちゃんとわかり合う余地がない(笑)



 それにしても、第9位はどんなアセンなんだろう……。

 メイジーちゃんが中二バランス型、マーガレットちゃんが軽二近接特化型、リーゼちゃんが浮遊支援&ドローン&ミサイル&ジャマー型、ロビンさんが重二火力特化型の過積載アセンで、グライフさんが高機動重二(!?)。アシュレイさんは中二TE型アセン、メイドさんは何でもできる、ヘイゼルが四脚砂で、神父が逆関節エネルギー武器アセンだと……うーん、いっそ武器腕なのか。

 でもアイアンって感じがしないなあ……案外シンプルにメイジーちゃんあたりと同系統なのかもしれませんね。


 …………。


 ……いや違うんですよ。乙女ゲーの話をしたいんですよ。でも新規ムービー撮り下ろししてきたあのロボットゲーのせいでこうなっちゃったんですよ。難易度的にも非人道的乙女ゲーのせいで。


 本当にこのメーカーは乙女ゲーが何たるかよく考えてほしいですね!





 ――――レビューサイトより抜粋





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