第三幕 彼方より君へ

第68話 天たる街、或いは宙間闘技場


 衛星軌道都市サテライト保護高地都市ハイランドが何故開戦に至ったのかについて、ハッキリとした原因や分かりやすい理由は――戦争というもの全般に言えることだが――ない。


 だがその中でも、主要な要因だろう……と言われるものが四つほどある。


 一つ目が、地球を覆った大寒波による食料価格の高騰に対する反感の爆発だ。

 地球上ならさして希少ではない窒素も、そも大気を持たない――或いはそれも貴重な資源である――宇宙においては量が限られており、つまり、化学肥料の原料は不足していた。

 水耕栽培にも限度があり、また、地球と異なり人口の増加に制限のない衛星軌道都市サテライトにおいてはその食料自給率の問題は実に多大だった。


 そして、この食料の売買に関してであるが……携わる企業によって、ある価格の絡繰りがある。

 その価格の相場に関して、上昇については地球での相場の値上がりと同時に衛星軌道都市サテライトでも値上げが行われる。

 だが、価格の下落に関しては、当該する食料から値下げが行われる。つまり、それが衛星軌道都市サテライトに到着して初めて価格が下げられるようになっていた。

 無論ながら、その到着までにまた地球での価格が上昇した場合は、応じてその値段も引き上げられる。


 この輸出入に関わる企業――ガイナス・コーポレーション――が、保護高地都市ハイランドに本拠地を有する企業であったというのが、一つ、市民の反感を煽る原因となった。

 無論であるが、本国と衛星軌道都市サテライト支部とでは、企業的な指揮系統も管理体制も異なっているものではあったのだが……そんな事実は、より分かりやすいに押し流された。



 二点目が、そもそもの衛星軌道都市サテライトの成立に関する問題。


 B7Rの飛来に由来した潮汐力の変化が齎したのは、地球圏での対流の加速である。

 強化された潮の満ち引きにより海岸線が削れ、多くの低地は満潮時に海水の進出を受けるようになる。

 言うまでもなく大気の流れも加速し、また潮流の加速にも合わせて――暖流と寒流――本来発生し得ない土地にてもハリケーンが発生し、或いはその破壊力は強まった。

 更に問題であったのが、マグマ対流の変化だ。これにより、多くの活火山や死火山が噴火し、それに由来する天候不順により餓死者も急増した。


 地質学的に造山帯と呼ばれる地域――ユーラシア大陸東海岸部から北米・南米大陸の西海岸部にかけての環太平洋火山帯や、インド亜大陸とアフリカ大陸とユーラシア大陸の境界が為すアルプス・ヒマラヤ造山帯――は、とりわけその影響が酷く現れた。

 大陸の衝突、つまりは地下マグマの対流に由来するプレートテクトニクスが活発化し、地震や火山活動も深刻化。

 大規模な死者が生まれたのは言うまでもなく、これを加味して、人類の生息圏というのは極端に減少した。


 そして対流の影響を受け難かったのは、安定陸塊と呼ばれる――カナダ楯状地、バルト楯状地、シベリア卓状地、ブラジル楯状地、アフリカ楯状地、アラビア楯状地、オーストラリア楯状地、インド楯状地などの限られた地域。

 地球圏に統一的な世界連邦が生まれていたが故に、この土地に対する居住について、著しい制限が加えられることになった。

 社会主義的政府ではなく、あくまでも民主・自由主義的な政府である世界連邦において居住の強制移動などは行われはしなかったものの――……代わりに、土地の所有に関して高い税がかけられるようになった。


 その結果として、土地を有するものは一部の資産家や巨大企業管理下の構成員、或いは地球圏での内乱を想定した軍人などが大半を占めることとなる。

 棄民政策ではないにせよ、人が宇宙などへと追いやられる――そんな形にはなってしまっていたのだ。

 また、統一的な政府が存在しているからこそ、他国という概念が存在しないからこそ、その内にて企業は強く力を蓄えることとなった。

 ときには世界を纏めることにその力を大きく割かれてしまった――統一政府よりも。


 そんな、企業主体に対する反抗。

 そのような側面もあったというのは、記すべきことではあろう。



 そして三点目が、衛星軌道都市サテライト内での株地と呼ばれる独自の土地システムの売買に関する問題。

 人類の住処が限られてしまっており、数の――即ち資本主義経済の原動力となる人間の――成長が見込めず、現状維持ないしは斜陽にある保護高地都市ハイランドと異なり、海や空との金属資源を元にした貿易によって衛星軌道都市サテライトは経済成長の中にあった。

 それが故――と言おうか。

 衛星軌道都市サテライト内部での貧富格差というのが、生まれ始めていた。


 より条件の良い場所、より安定性のある場所……そんな土地ほどに多くの値段がつけられ、買収が進む。

 住まう場所の限られた真空――しかし新たなる開発は可能――結果として企業は株同然に、その土地を担保として分け与え売買するようになっていた。

 それが齎す、経済的な勾配。反感。格差。

 衛星軌道都市サテライト連合も決して、その実、一つに纏まっていたとは言い難いものであったのだ。


 四点目が、衛星軌道都市サテライト内での地政学的な要因。

 詳しくは後述するが、衛星軌道都市サテライトにも月面に在するもの・宙間に在するもの・B7Rに在するもの三種類に分かれ、それは決して善き隣人とはいえなかった。


 ……そんな、衛星軌道都市サテライト内での分断や不和。格差。隔たり。

 これが、深刻だった。

 周囲が真空に覆われた宇宙空間において、その居住区内での暴動というのは住民全ての生死に直結するのだから。

 或いは同じ宙間地域での紛争というのも同様に、いずれも大きな痛みと死を伴うものだ。


 故に掲げられた――大いなる一つの宇宙の子らアステリアル、という標語。


 如何に彼らの間で蔑称を持ちこそすれ、その意識の中では、いずれもが地を這うものテレストリアルと区別されている。

 真空の宇宙で限られた生き方を強いられる者と、過酷な実態はさておき――酸素や水に資金を要することもなく、食料というのも生産だけでなく採取も可能というの人間――……。

 その間には、根源的なより強い隔たりがあったのだ。


 この衛星軌道都市サテライト間の分断に関して、保護高地都市ハイランド連盟からの政治的な工作があった――と衛星軌道都市サテライト首脳陣は、開戦に先立ち述べている。

 その分断の是正。一体化。互いのしがらみを白紙に戻すリセットボタン。

 保護高地都市ハイランド連盟というのは、まさに、格好の標的であった。

 

 そうして、互いの隔たり故に――人類史上最大規模の殲滅を生むことになる戦争は、開始された。



 ◇ ◆ ◇



 数日前のことだ。


 カフェテラスから道を行き交う人々や車両を眺める。

 半透明の耐気圧ドームの下、整えられた灰色の石畳の道は、ある種の爬虫類の鱗の彫刻めいて横たわっていた。

 昼下り。

 車道を行くバイクや自動車はいずれも静音性を売りにしているためか、殆どがモーター音に置き換わり、蠢く台数とは裏腹に都市部は微睡みの内にいるかの如く静かだ。

 市街の中心部のこの噴水広場目掛けて、大通りは放射状に集中してくる。天からそれを見下ろせば、或いはさながら蜘蛛の巣にでも見えるかもしれなかった。

 星暦せいれきに塗り替わる前の、かつての時代を再現した街並み。


 ――空中浮游都市ステーションストロンバーグ。


 あの新型機奪取の騒動を忘れたように、ここは、今日も平和だ。

 それが、心地よかった。

 目の前のテーブルで湯気を立てるコーヒーを啜る。口に残るガトーショコラの甘さを流すように、芳醇な香りが鼻を抜けていく。

 チョコレートを流すときの、コーヒーの独特の甘苦さ。

 これは他のものでは味わえない。唯一無二の特権だ。

 先ほど食べたほのかに甘いブルーベリーのシフォンケーキも、焼きたてのスコーンも、二種類の栗を使った二層構造のモンブランも、酸味と甘味が協調するラズベリーのパイも実に美味だったが――コーヒーに合うという意味ではやはりショコラ系統のケーキが最も良い。

 勿論、プリンも好きだ。だがこの店は手作りケーキが美味しいお店なので、これが正解なのだと内心で胸を張る。


「……低燃費よね、貴方」


 白テーブルの真向かいに座るカットソー姿のマーシュが、紅茶のカップを片手にふと口を開いた。

 以前、立ち話の代わりに立ち寄ったこの店で、彼女もここのケーキの味を好んでいたので誘ったのだが……今日は口にしてはいなかった。ダイエットだろうか。

 芸能に関わる女性は大変だな、と思う。自分はむしろカロリーを積極的に取らなければ痩せていってしまう程度には軍隊に鍛えられているのだが。

 さて、低燃費。

 ああ――……と、思い返す。

 せっかくの休暇なのだから、それこそ旅行か何かにでも行けばいいと言われていた。それだろうか。


「休暇を取りはしたが、不足の事態が起こらないとは限らない。……呼び出しに応じられる場所にいた方が、合理的と判断した」

「そこも含めて、低燃費と言ったの」

「そうか。……そうか?」


 確かに我ながら安っぽい男だとは認めるところだが、今のものについては何か燃費に関わるだろうかと内心で首を捻る。

 軍人らしさというのは、低燃費なのだろうか。

 摂取カロリーという意味では、軍人になって随分筋肉質にもなった為に、むしろ高カロリーを必要とし燃費が悪いとも言えるだろう。

 まあ、それが故に、たまの休日にはこうしてケーキを思う存分食べることができる。筋肉を減らしはしなければそれでいいので、そういう意味では低燃費かもしれない。


「……それで。楽しいの?」

「ああ――……」


 言われた通り、確かに旅に出たくなることはある。旅というのは、人類の遥かな故郷であり本能だ。だが、別にそれだけが全てではあるまい。

 例えば、可愛らしい猫の民間投稿動画を見るとか。

 何も考えずに二輪車を走らせて風を感じるとか。

 ただ街並みを見て、ただ人々を見る――とか。

 それだけで十分に心が休まり、潤うものではある。

 休暇が心身のリフレッシュのためのものというなら、これが、まさしくそれに当たるだろう。


 手作りの木籠を手に歩く老女は、そこに詰められた焼き菓子は、孫に届けられるものだろうか。それとも、長年の友人と旧交を温めるためだろうか。

 車載AIのホログラムと朗らかに言葉を交わしつつ街並みを見回しながら運転する瀟洒なスーツの男性は、遅めの昼食の場所を探しているのだろうか。仕事が忙しかったのだろうか。彼が熱心にするそれは、どんな仕事なのだろうか。楽しいのだろうか。達成感はどうだろうか。

 或いはまるで社会の黒子のように風景に溶け込みながら、トラックから荷物を積み下ろす初老の男性と彼を助ける白くのっぺりとした民生ロボットは、そのロボットの背中に貼られた可愛らしいステッカーは、彼の家族がそうしたのだろうか。それとも、仲間たちだろうか。二人は善き同僚なのだろうか。


 ああ――……。


 皆、生きている。誰でもないその人の人生を。

 どこか遠く、そして眩しいものだ。

 寂しさすら感じるほどの柔らかな暖かさを覚える。彼らの営みは――ただ誰に言われるまでもなく、ごく当たり前に、ありふれて、そこで生きようとしている。

 そんな人々のその姿は。

 それだけで、ただ美しい。

 それを守らんと軍人に志願したことに――後悔が、一欠片も存在しないように。


「輪に入るつもりは、ないの?」

「――」


 ぽつりと告げられたマーシュの言葉に、コーヒーカップを傾けようとした手が止まる。


「……入ってないように、君には見えたか」

「ええ。貴方、分かり合おうとしていないから……いいえ、違うわ。初めから、そこに居場所を求めていないのかしら? 人の輪に近付けば近付くだけ、貴方は、遠ざかっている……でしょう?」

「そんな風に、見えるのか」


 にわかに黙考する。

 それから、白テーブルの横を何台か緩やかに車が通過するのを見送ってから、口を開いた。

 排気音が少なく、静かだ。


「君が言うなら、もしかしたらそうかもしれないな」

「……主体性のないヒト。それとも主体性がありすぎるせいでそうなっているのかしら?」

「ゼンモンドーか……?」

「恋バナよ、紳士さんジェントル


 どのあたりがだろうかと、内心で首を捻る。

 恋愛話というわりに長い睫毛を伏せるようなマーシュの表情はあまりにも静かで落ち着いていて、特に心を踊らせているようには見えない。

 となれば、これも彼女なりの何かの諧謔かいぎゃくだろうかと結論付けた。

 それから、少し考えて――……


「……社会の輪には、入っているつもりだ。社会人として、市民として、義務を果たしている……納税も勤労も怠っていない。何も問題なく」

「そ。ご立派ね、紳士さんジェントル。でも、世界の輪には入っていない。……でしょう、グリム?」

「……」

「貴方は――異邦人。どこまでも。極光を目指す旅人。……貴方はきっと、旅人でしかない」


 穏やかに奏でる彼女のピアノの音のような言葉が、詩的に、そして冷淡に、淡い暖色の橙色の瞳と共にこちらの内面を見咎めてくる。


「だって――……であって、ではないのよね。貴方は」

「……」

「その優しさは相手を近くで見ていないから? だから貴方は真剣に受け止めない……ただ誰にでも優しい。私のような女にもそう。……貴方にとって結局、他人は全部同じ場所。そんなに、隣には居たくないのかしら?」


 睫毛が長い伏せられがちな物憂げな橙色の瞳が、しかし、じっとこちらを見詰めていた。

 何かの怒りを感じる。

 その正体は判らない。ただ、マーシュ・ペルシネットは怒っていた。怒っていると、何故だかそう思えた。理由は全く判らないが。

 難解な――抽象的で、観念的で、ある種は詩的で――つまりはあまりにも難解な言葉に思えた。

 思案し、


「……俺は、隣にいるよりも、外にいるのが番犬の役割として相応しいと思っている」

「そ。別に、貴方が番犬である必要なんてどこにもないと言っても――……いいえ、あるわね。貴方の中にはある。だからこそ、貴方は、思索者シンカーなんだもの」


 不機嫌そうに、草と花の絵が描かれたカップがソーサラーに置かれた。

 彼女は頬杖をついて物憂げな吐息を漏らし、


「……犬らしく、首輪でも付けてやろうかしら」

「もう間に合っている。俺は自分自身でそうしているので問題はない」

「……………はぁ」

「……それに今は、少し、その言葉は聞きたくない」


 かつて胸ポケットに入れられた名刺――その名前を、結局、生きている間は覚えられなかった海上遊弋都市フロートの少女からの名刺。

 そこに記されていた彼女のパーソナルサイバースペースには、何のログもメッセージも残っていなかった。

 劇的なものは、何もない。

 生者にも、ハンス・グリム・グッドフェローに送る言葉も何もない。死は致命的であっても、劇的ではない。あの燃える都市で曝け出された本音が彼女の全てであり、それ以上でも以下でもなかったのだろう。


(……)


 気付くことはできなかったのか。止めることはできなかったのか。

 それさえできたなら少なくとも――彼女の死は防げずとも、あの、燃え落ちる都市で命を奪われた市民の命は救えたのではないか。

 またしても――……。

 またしても、何もできなかった。知れるだけの、止められるだけのところに居ながらも自分は何一つ及ばず、多くの人を死なせた。救えない――救いがたい殺人者だ。


「……だから逆に、よ」


 そんな思考に、マーシュの細い指が割り込んだ。

 こちらのワイシャツの首元に割り込むように伸ばされた指先が、銀めいたチェーンのドックタグを掴み上げていた。

 さながら犬の鎖のように――……彼女はそれを引き寄せながら目を細めた。


「嫉妬深いのよ、女って。剥き出しの肌にある古傷は愛せても、新しい傷は愛せないわ」

「……何かの比喩だろうか?」

「いいえ、皮肉よ。紳士さんジェントル

「……君の言葉は、難しい」

「その分考えるでしょう? もう少しでも……。……思索者シンカーという割に、貴方は酷く矛盾的よ」

「……自称したことはないのだが」


 そう呼んできたのは、マーシュの方だ。

 あとはかつてそう呼ばれた気もしたが――……その少女は、結局その顔も見ることもなかった。その真意についてはもう知れないだろう。


「その眉間の皺で、呼ぶなと言う方が無理な話なの。苦悩をこれ見よがしに見せ付けて……。……でも、考えすぎると錆び付くわ。思索者シンカー

「難しいな……君の言葉は」

「……貴方が錆び付くなら、私としては望むところだけれど。刃のように鋭くなったところで、それは人と人との鎖を切り落とすだけよ」

「……」


 マーシュと交流するようになって、ときに異性相手には余計に悩むようになった。

 皆の言葉が彼女のように難解ではないが――こちらに軽く言葉をかけながらも、ひょっとしてその内面は、彼女の言葉のように複雑なのではないかと疑ってしまう。

 判りやすく仕事上の、業務に関わる伝達や通達などでなければ真意が測れない。……この間の海上遊弋都市フロートの一件を思えば、それはなおさらだ。

 今、咎められているというのは何となく分かった。

 マーシュに何度もそうされていると、自分が他人からはそうも小言を言いたくなってしまうような人間――という印象を持たれてしまっている、というのも分かる。

 ただ、それでも彼女が未だに交流を続けてくれている理由は分からないが。


(かつて彼女を助けた――……と言っても、別に大したことではない。いや、或いはそう口にしたことが彼女の怒りを買ったか。確かに、他人に内心の物をとやかく言われるのは気に触るだろう。……彼女は、義理堅い人間なのだろうな)


 普段から眺めているからか、なんとなくその人となりについても知るところだ。

 高貴な生まれと言うだけあって、彼女は表面上の態度はどうあれ、実に礼儀を知っている女性だった。少なくとも、こちら以外に対して接するときは随分とそうであるふうに見受けられた。

 単なる錯覚とは……思いたくないのが本音だ。礼を知るのと、知らぬのでは大きな違いがある。こちらからの好感という意味でも、だ。

 そんな少女は、


「……傷付けることはあっても、傷付いちゃ駄目よ。ねえ、グリム」


 金属が掠れた識別票ドックタグを指で絡め取った彼女は、憂鬱気な橙色の瞳で――静かな口調で告げる。


「たとえ貴方がこの世界を滅ぼすとしても、貴方は、傷付かずに生き続けて。義務でもなければ権利でもなく、ただ貴方はそうするの。ただ貴方であるというだけで」

「……昔、そう言われた覚えがある。だと」

「そ。別の女の話なんて、いいご身分ね、色男。……恥をかかせるのが得意で得意で仕方ない紳士さんジェントル?」

「……」

「……まあいいわ。それで貴方が生きているなら。こうしてお茶の誘いを喜ぶべきかしら? 陰鬱とした死神との茶会――……なにかの戯曲みたいね」

「そうか。何か、創作活動の助けになるだろうか?」

「……今のは皮肉。もう少し、考える習慣をつけて。でなきゃ不公平よ」

「不公平……?」


 なにが。

 むつかしい。

 わかんない。


「まあ、いいわ。死神――……」

「……」

「ええ、と呼ばれるなら――それはもう、不死者と同義でしょう? 貴方は多くの死にあっても、貴方を保っていられる。その正気を。貴方という男を失わない。私には、それだけでも祝福に思えるけど?」


 慰められているのだろうか。それとも、励まされているのだろうか。

 続きを待ったが、ドックタグから手を離したマーシュはそれ以上何も言わずにまたティーカップに口を付けていた。


「……」


 不死者。

 その言葉が今、自分に連想させるものは一つだ。

 

 シンデレラ・グレイマン――――。


 全ての攻撃が必殺となるヘイゼル・ホーリーホックをして、仕留めきれなかった民間人。

 かつて守ると約束し、そしてその約束も果たせず、頼りない自分を見限り【ハシバミの枝ヘーゼルアスト】に加わってしまった脱走兵。

 かつて知った、この世界の主人公である少女。


 ――〈細かな話は割愛しますが……〉〈貴方様の部下、シンデレラ・グレイマンは生きているかもしれません〉〈……ともすると、〉。


 かつてマグダレナから告げられた言葉がリフレインする。

 だが、こちらの望まない形などあるものか。

 ただ生きていたのを言祝ぎたい。どんな形にせよ、何にせよ、彼女がこちらの作る道を歩くだけの死者の一人にならなかったというのはそれだけであまりにも喜ばしいものだ。

 そこに貴賤はない。上下はない。

 ただ生きてくれているそのことだけが、あまりにも奇跡と呼んでいいことなのだから。


(……君が生きていてくれたそれだけで、嬉しい。もし、戦場で相対してしまったとしても、俺は――)


 落ち着けるように、懐から煙草を取り出し火を付けた。

 紫煙が、広場の昼の空気に溶けていく。テーブルの向かいのマーシュは何も言わずに髪を弄っている。

 もしシンデレラとの邂逅があるならば、メイジーとのそれのように、戦闘や致命的な状況にならないことを祈る他なかった。

 だが、彼女なら……。

 人の命を尊ぶ彼女とならば、あのような争いにはならないだろう。彼女も自分も、優先すべきは武力を持たない市民の生存こそが第一であると考える――その筈だから。


 シンデレラ・グレイマンとハンス・グリム・グッドフェローに、争う理由がある筈もない。


 己か彼女が変わりでもしない限り、その方程式が崩れることなどある訳もない。そう――信じたかった。

 紫煙が、空中浮游都市ステーションの大気に溶けていく。

 なるたけ彼女の方に流れないように顔を背けて煙を吐き出している、その時だった。


「忙しそうね、グリム。……私は失礼するわ」

「いや、休暇なんだが……」

「悩むことにいっぱい……私はお邪魔、でしょう? コーヒーが冷めるくらいに考え込む、忙しい忙しい貴方の手を煩わせる気はないわ」


 吐息と共にマーシュが肩を竦めた。

 紙幣を一枚テーブルに置いて、椅子から腰をあげようと――……その支払いを手で差し止め、首を振った。


「君を邪魔に思ったことなど、一度もない」

「……その割に、随分と悩み続けているようですけど?」

「すまないが、それは俺の性質だ。反省してもすぐには直せない……だが、確かに失礼だった。人がいるのに目の前で考え込む……俺の悪い癖だ。すまない」

「……で?」

「俺に、君を怒らせるつもりは――……いや、君に不快な思いをさせたくないんだ。俺がそうしたくないと思っている。詫びさせてくれ、マーシュ」

「そ。……口説き文句だけは一人前の紳士さんジェントル


 できる限り、他人を不快にさせたくない。

 それを口説き文句と呼ばれてしまえば、仕方なく受け取るほかはないだろう。

 椅子から立ち上がりかけたマーシュは、今度は白いテーブルに腰を乗せるようにこちらへと手を伸ばしてきた。

 またドッグタグを触られた。何ともこそばゆい。落ち着かない心地だ。


「それで……休暇の最終日だけど、どうするつもりなの? グリム」

「君を送っていく。これから仕事だろう?」

「そ。……いっそ休ませてやるとでも言えたなら合格だけど。御立派な社会人ね。辟易するぐらい。確かにそちらの輪には入ってるわ。……ねえ、ヘルメットは二つあるの?」

「いや、ないが。手押しにするのもいいトレーニングになるから問題ない」

「…………………………はぁ」


 盛大な溜め息とともに、彼女は銀色の認識票から手を外した。

 じとりと、その橙色の半眼が流し目を送ってくる。


「つまり貴方は自分が、女を長々と歩かせた上で、自分はその鉄の塊を引いて歩く不調法者と言いたい訳かしら?」

「……すまない。よく考えなくてもとても失礼な申し出だった。ただバイクにヘルメットもなく二人で乗るのも危なく、君を危険な目に合わせるのは避けたく、こんな昼の街並みでは味気ないものになるかと思ったのだが――……」

「そ。別に、謝ってくれ、なんて言ってはないわ。……それに、確かめられただけ良しとしてあげる」


 何を、だろうか。

 また怒らせてしまったと思ったのだが……いつの間にか、それとなく何かを尋問されていたのだろうか。

 だとしたらすごい手腕である。感心する他ない。


「……大概、私も低燃費な女ね。誰かさんが感染ったのかしら?」

「すまない。……いや、その、本当にすまない」

「……今のは咎めてないの。本当に貴方、見る目がないのね」

「いや、交流する相手を見る目はある、とは自負している」

「…………………………はぁ」


 額を抑えたマーシュが、何か言いたげにこちらを見る。

 憂いがちな表情の少女の、困り顔。

 小雨の降る曇り空を眺めているようにアンニュイな美的を持つそれが、また、吐息を漏らした。


「……私、こんな調子の女よ」

「ああ」

「だから――……感謝してるの、グリム。私、話し相手ってそう多くはないから」

「俺もそうだ。君には感謝しかない、マーシュ・ペルシネット」


 これには覚えがあるのだ、と。

 これまで出会った相手にそうしたように、立ち上がり握手をしようとすれば――


「…………………………はぁ」


 なんで?


(難しい。……故意に俺を悩ませようとしているのではないか、と思えるほど。いや――……それは失礼か)


 嫌がらせ以外でそうする理由はなく、そして、彼女が無意味に嫌がらせをする少女には見えなかった。

 暫く考えるも、答えは浮かばない。

 だが思えば――あの戦いの最中のメイジーもまた、こちらへ語りかけるようで自己完結するような喋り方をしていた。

 そう思えば、珍しくないのかもしれない。

 そう結論付け――ようとし――……だが言われた通りもう少し深く考えてみよう、ということで後回しにする。彼女が演奏を務める高級クラブも、開店までそう遠くはない。急ぎだろう。


「……マーシュ、仕事のあとの予定は?」

「一人寂しく、エスコートもなしで家に帰るだけだけど?」

「そうか。それなら、その間にヘルメットをもう一つ買って来よう。迎えに行く。夜景ならば多少は、今日付き合ってくれた君を退屈させない程度の――……」


 礼になるだろう――と言いかけたそのときに、スマートデバイスへと通知が入った。

 指紋認証を済ませ、画面を眺める。

 そこには端的なメッセージがあり――……思わず、口からそれがこぼれた。


「マーシュ」

「……また、仕事?」


 いや――と首を振り、


「俺に、娘がいたらしい。……どう付き合ったらいいと思う?」

「娘に向き合いなさい。デリカシーのなさの、いい見本になるわ」


 なんで?



 ◇ ◆ ◇



 さて、一言に衛星軌道都市サテライトと括ってしまっているが――実のところ、衛星軌道都市サテライトにも三種類ある。

 ……厳密に言えばより種類は多いが、大別してしまえば三種類である。

 一つが、月面を中心にした都市。

 有している鉱物資源は、鉄・アルミニウム・チタン・ケイ素・マグネシウム・カルシウム他……。

 チタンやアルミニウムの精製の過程で生み出される酸素が、欠かせぬ大気の構成成分として衛星軌道都市サテライト間での流通の主体となる。故に、月面都市というのは基本的にこの三種類の中では安定した繁栄を誇っていた。

 世界連邦から由来して資本主義が成り立つその内にあって、特に宇宙での資産家であり故に権力者である彼らは、密かに月星人ルナティッカーという蔑称で――或いは羨称で呼ばれている。


 もう一つが、地球や月・B7Rという大地あるものの周囲を漂う本当の意味で衛星的な都市。


 二つの巨大な衛星によって複雑な引力が支配する地球圏の軌道上において、これらの都市の建造というのには天文学的に途方もない精密な計算を必要とした。

 例え、複雑なシミュレーターがあったとしても、建築や運搬というものが困難であったのだ。

 それ故に、数は少なく――また新たに多く作られることもない。

 当初はその危険性故に居住を厭われていたそれらの都市であったが、衛星軌道都市サテライト圏内での流通や地上三圏などとの商業的な取り引きの仲介人として、生計を立てることになれば――そこは欠かすことのできないとして繁栄を見せることになる。


 酸素や水の限られた宇宙空間では、流通というのは余計に深刻な生命線だ。

 すぐにその仲介人として頭角を表したこれら宙間都市は、その居住空間の少なさもあって、逆説的に選ばれた者としての地位を確立する。

 漂流野郎ドリフターズ――それが彼らへの蔑称だ。

 危険の中で自ら土地を耕すこともせず、ただ右から左に物を流すだけで富を懐に入れる者。そんな反感さえあった。

 逆に彼らにしてみれば、月にしろB7Rにしろ地球にしろ、大地という壊れることなき確かな場所に住まう人間たちに対する怒りめいたものさえもあったとは、記すべきだろう。


 そして最後に、資源衛星B7Rに暮らす者。


 彼らは重金属汚染のリスクを負い、真空の宇宙で採掘を行う最も負担の大きい民――というわけではない。

 B7Rという根拠地があるが故に、その居住空間に関して制限はなく、それらの設立の為に商取引が加速し経済が活性化する。

 また採掘に関しても、特に月面や生息圏の限られた地球では採掘が難しくなってしまったレアメタルやガンジリウムなど――……それらの採掘の主体である場所は、必然、最も勢いと活気に溢れていた。


 だからこそ新星人ノヴァーリスと彼らは、自身を称した。この衰退に向かう地球圏で、最も先進的で勇猛である開拓者だと、自称していた。



 ◇ ◆ ◇



 そして、足を踏み入れた衛星軌道都市サテライトで――月面都市で。

 地球の影に太陽が入ったそこは、今は夜だった。

 いや、或いはこの都市では大半が夜と言うべきか。月面都市とは名付けられているが、月の南極――シャクルトン・クレーターに位置するこの場所にはほぼ太陽光が届かない。

 月の裏側も日照するというのはありふれた常識だろうが、その地形が故に月には太陽の恩恵にも預かれない場所があるのだ。それ故に居住には向かず――――だからこそ資源採掘から後回しにされていたそれらは、今は逆説的に活気づいていた。


 そんな常夜の街の、不夜城。

 眩いネオンとホログラム広告が安っぽく、そして、裏通りの暗闇は深刻に闇深い街並み。

 どの街にもいる口入屋の一人。ニット帽の男性は、


「娘? ……随分と、似てねえ親子だな」


 こちらと背後の保護コートの少女を眺めて、そう言った。

 値踏みするような目線。

 裏社会にあって、だからこそ一定の秩序は必要だと言外に示すような男のその仕草に、


「……姪」

「あ?」

「わたしは、姪。……親子の方が、同情されるって、言われたから……」


 ぽつぽつと、大気に薄れそうな声で少女は呟いた。

 マーシュとは違う意味で気怠げな半眼。猫目の入った金緑石クリソベリルを思わせる若草色の瞳。

 それきり、彼女はまたこちらの影に隠れた。コートの裾を摘むように。


「ハハハッ、そいつは随分な策じゃねえかよ、叔父さん! 親父を偽るのはよくねえな! そりゃあ、娘さんも立腹するだろうよ! 身内にバラされるとはあんたは何とも大した策士だね!」

「……姉に似たらしい。昔からそうだった。こちらが考えたことを何の気なしに台無しにする――……」

「姉弟っていうのはそういうもんさ。俺もそうだったんだからよ。……わかるぜ。古今東西、弟は姉に勝てねえのさ。真空のように絶対だ」


 僅かに打ち解けたように色白い頬を崩した男は、後ろ腰に伸ばしていた手を戻して肩を竦めた。


「それで、兄弟? あんたはなんだってこんなところに?」

「その父親を求めて、だ。あの戦いの影響でな。……かつてはアーモリー・トルーパーの競技者を努めていた、と聞く。軍にいたなら駆動者リンカーか……。その後は――……外からでは、探せないからな」

「なるほどな、よくわかったぜ。のお兄さん」


 頷く男は、しかし、その丸顔をネオンに彩らせながらも不敵に微笑む。


「ここじゃ、傭兵なんて言葉は使わない。保護高地都市ハイランド海上遊弋都市フロートじゃどうかは知らんが、そういう言葉を使うのはいつだって余所者さ」

「だろうな。保護高地都市ハイランドの連中によって武装の制限がされている。……民間軍事会社どころか、アーモリー・トルーパーの使用ですらな。荷降ろしに苦労する」

「へえ、ご存知かい? なら、なんだってまた――」

「貴殿が、気付くかどうかと思ってな。……流石に抜け目がないらしい。聞いていた通りだ」


 そう言えば、彼は少し目を見開き――それから得意げに笑った。

 上機嫌になったのが明らかに見て取れた。人は面と向かって褒められるよりも、自分のいない場所で褒められていることに――より快感を感じる。

 部下との人間関係に備え、読み漁った本にもそう記してあった。その基本は、古事記にすらも書かれているだろう。

 これでまず笑いを与え、その心のドアにパーソナリティに関わる共感の爪先を入れた。そこに来てのこうしたので、もう、概ね好印象を与えることには成功しただろう。

 マグダレナから与えられた情報を鑑み、居もしない姉をでっち上げて彼の人間関係を突いて共感を生んだ。それは有用に働いたようだ。


「ま、わざわざこの街に来たがるってことは当然調べてるだろうな。……じゃああんたは、トルーパーの」

「ああ。戦時中、従軍していた。……多少だが、操縦にも自信がある。正直なところ、この娘の父を探すというのもあるが――……」

「食い詰めモンかよ。ま、珍しくねえ。……だがな、多少、なんて面構えじゃあっという間に死ぬだけだぜ? トップ層はものが違うんだ……安全は保証されてねえ。お上品なスポーツとは、大違いなんだからな」

「……そうか。肝に命じよう」


 それから、男から大まかな説明がなされる。

 まずはその素質を測った後に、ミタマエ・エンタープライズ・スペース――人材派遣業の大手ミタマエ・エンタープライズの宇宙グループ――の系列の最下部会社に、採掘・建築作業員として登録する。

 これで、万一の際の摘発に対する申し分が立つ。

 その上で、作業員の一人として土木機械に乗り込む――という名目で、人型重機械アーモリー・トルーパーのパイロットとして“建築現場”に派遣されるのだ。

 アーセナル・コマンドの遠い大元でもある人型重機械は、モッド・トルーパーの素体となることも相俟って、今ではアーモリー・トルーパーと呼ばれていた。


「なるほど。……ただ、大丈夫なのか? 連中は反乱に備えて、アーモリー・トルーパーの制限さえもしているが」

「だから、人材派遣会社なんだよ。会社の規模で保有数の制限はされるが、地場の会社と違って場所に縛られてる訳じゃねえ。トータルの数が所定ならいいんだ」

「なるほどな。……流石は未来の四大超巨大企業体ビッグフォーサマか。そんなところだけは、便利だ」

「ああ、精々使ってやらねえとな。経済圏の寄生虫どもが」


 企業体への怨嗟を吐き捨てるように言った男が、それから肩を崩した。

 ただ、その目の光だけは鋭いままだ。


「言っておくが、多少あの戦争で駆動者リンカーを努めたからって――だから自分はできるんだ、なんて安い気持ちでいるんじゃねえぜ? お前は替えがきく部品だが、機体だってタダじゃねえんだ。死んでもいいが、無駄に壊すなよ」

「武器よりも安い剣闘士グラディエーターか」

「あん? 剣闘グラディ――……訳のわからねえことを言ってねえで、とっとと名前を言え。そしてお前に求められてるのは、高尚なお名前じゃなくて腕前だってのも判っておけ!」

「ああ。……あまり自信があるとは言えないが、精一杯努めよう」


 そして、僅かに考える。

 偽名――ハンス・グリム・グッドフェローではない、自分の名前。

 あまりに多く人の名前を覚えることにはなったが、輝かしい彼らのその名を使うことは憚れる。

 そうなったならば――……。

 使えるのは、


「……――オーグリー」


 一度、言葉を区切り。


「オーグリー・ロウドッグスだ」


 身分を隠した王女というほど高貴な生まれではないが、その女優をもじったようなものは何とも皮肉的で相応しいだろう。

 そして、確認できている。

 グラディエーターすらも知らぬならば、おそらく、違和感も感じないだろう。


秩序の犬ロウドッグ……? 低地の犬ロウドッグか? おかしな奴だな」

「皮肉的だろう? 落ちぶれ者には、似合いの名前だ」

「偽名か? 本名か? コールサインか?」

「好きに捉えてくれ。新兵特有のおかしなあだ名でなければ、俺はなんだって構わない」


 そう言えば、口入屋の男はまた笑った。

 これで好印象を与えることは叶っただろうか。好きではないが、できなくはないというのが本音だ。

 部下や同僚、或いは市民から――どうしたら死の瞬間に誇られる男になるかと、考えていた日々もあるのだから。

 そして、開店前のバーに降りていく男の背を眺めつつ、


「……これで良かったか、ラモーナ」


 背後の少女へと小声で囁く。

 ライラック・ラモーナ・ラビット――――【狩人連盟ハンターリメインズ】が有する駆動者リンカーであり、今回の潜入任務の相方だ。

 そんな透明色の、強く外界から防衛された厚手の白き保護コートを纏った透明色の少女は、


「ん。……えらい、ね。おーぐりー」


 ぽんぽん、とこちらの背中を叩いた。

 朴訥とした喋り方。その頑丈コートの白フードに付けられたウサギの耳の装飾を思えば、彼女はまさしく震える子ウサギだろう。

 だが――カチャリと、腰から外される銃口の感触。


「もし駄目だったら――……大佐ぱぱの邪魔をすることになったら、死んでたけど……ね」


 殺意と好意が同一している柔らかな笑み。

 その先行きには、不安を感じずにはいられなかった。

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