@allfree821

第1話

僕の身体はからっぽだ

僕の中の大事なものがどこかに行ってしまったから

足跡を辿った ようやく見つけた

冷たくて、砂漠のような場所に、ポツンと寂しそうに座り込んでいる

そんな所にいたら危ないよ。

僕のそんな声は届かない

そこはもう君のいる場所じゃない。戻っておいで。

その子は首を横に振った

こっちにいれば、もう君がそんな悲しい顔をする事もないんだよ。

その子はようやく僕に答えた

嫌だ。ここにいたら綺麗な花が満開に咲くかもしれないから。

僕は叫んだ

そんなわけないだろ。もうそこにいたって花なんて咲かない。戻ってこい。


わかってるよそんなこと。ちゃんとわかってるんだよ。

その子は、泣いた

壊れてしまいそうに泣いた

僕も泣いた 崩れ落ちて泣いた

その子の涙は僕の涙だから


僕は言った

わかったよ。そこに居ていいよ。気の済むまで居ていいよ。でも、戻りたくなったら戻っておいで。君が帰る場所はちゃんとあるから。

少し物足りないかもしれないけど、あったかくて、君を絶対一人にしない。そんな場所を僕が作っておくから。


その子は寂しそうに笑ってうなずいた

僕はその子に名前をつけた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

@allfree821

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ