(09)これからも続く最後に
反省すべき失敗は山ほどやった。
「保護者」ではなく血縁でもなく、それでも家族として出来うることはやったし、考えつく限りの試行錯誤もやってきた、と思いたい。
でも結果として、姪の状況が改善されることは、ほぼ無い。
義実家の「無理解」と「無知による放任」が続く限り、姪にとっての最善はグループホームなど自立支援してくれる施設で一人暮らしをし、実家からの干渉を極力減らすことだと、医師も勧めている。
しかし、人の性として子は親元へ帰りたがる。親から自立して厳しい一人暮らし、など健常者でも半数以上はやりたがらないだろう。まして「統合失調症」のせいで思考力の大半が削がれ、「親から離れる」という決断も意味もよくわからなくなっている姪に、「親にわかってもらうにはどうしたらいい」と泣きながら問われる。
「わかってもらう」のは「無理」だと、「わかってもらえない」ジレンマ。
姪の様子は、川の岸辺で「なんで対岸へ渡る橋がない」と泣いている子供だ。
方法は幾つもあるが、ここから川を渡るしかないと泣くばかり。橋を架ける労力も財力もなく、泳いでも対岸へ着くころには下流へ大きく流される。
どうしたらいいと泣き、他の「幾つかある方法」をとる事もできない。
ここにいても、食糧はなく、夜をしのぐ毛布もないのに。
そして無事に対岸へ渡りついて、子供の労をねぎらい喜んでくれる者はいない。
姪は「統合失調症」と診断された。
病気にならなかったら、せめて姪の境遇にもう少し早く気づけたら、義実家とまさか意図も言葉も通じないとは、まさか「そんなはずない」と無駄な努力をしなければ。
すべては都合のいい「if物語」だ。
姪は病気となり、無駄な十数年を過ごした。
それだけが結果。
それでも、問いたい。
「保護者」でない、血縁でもない、そんな「私」が、いったい何ができるのか。
誰か、教えてください。
「理解しない」を理解する 千早丸 @nazo-c01
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