【 その後 】
『ザァーーーーッ……』
雨は止まない。
冷たい雨が、私の長い髪を濡らす。
でも、この長かった悲しい恋は終わった……。
彼が終わらせてくれた。
あんなにも小さかった海斗くん。
今は、こんなにも
その大きな体で、私の冷たくなった体を包み込み、温かく抱きしめてくれている。
「ずっと、憧れてた……。いつも、やさしい美沙先生に……。病弱だった僕を美沙先生は、いつも保健室のベッドで見守ってくれた……。嬉しかった……。だから、これからは、僕が美沙先生を守りたい……」
私は目にいっぱい涙を浮かべ、小さな声で彼に「ありがとう」と言った。
「先生、また一緒にカレーを作りませんか?」
急に彼はそんなことを言い出す。
「えっ? カレーを?」
「うん。今日は、昔みたいに少し甘いカレーにしてみたいな」
そう言いながら、彼は私に微笑みかけた。
私も林間学校で海斗くんたちと作った、あの懐かしい甘いカレーが食べたくなった。
「じゃあ、今日は、甘口で行こっか。うふふっ」
私にも、いつしか笑顔が戻る。
すると、いつの間にか、雨はあがっていた。
「雨、止んだね」
私が少し顔を上に向けると、彼も一緒に夜空を見上げた。
「うん、止まない雨はないから。いつかは晴れるから」
その言葉に少し体を離し、彼と向き合う。
彼の綺麗な瞳が、僅かな光に揺れて見える。
少しだけ近づいた気がする……。
でも、なぜか私は急に恥ずかしくなり、照れくさそうに少し下を見た。
すると、私の冷たかった唇が温かくなる。
…………。
唇に残る彼の温もり……。
その彼の唇は、少しだけ、震えているように感じた。
今、彼が、私の新しい恋の始め方を、
教えてくれた……。
~この恋の終わらせ方、教えて下さい~
END
この恋の終わらせ方、教えて下さい 星野 未来@miraii♪ @Hoshino_Miraii
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