第9話
男が言った。
「おや、助っ人が来ているぞ、二人」
「二人とも、俺らが殺した奴じゃねえか」
父と祖父が言った。
「確かにお前らに殺されたが、今度はそうはいかないぞ」
「今度は俺たちが、おまえらを叩きのめしてやる」
木梨が男たちに言った。
「おい、どうしてこんなことをするんだ。ひい爺さんのことは俺たちとは関係ないぞ。産まれる前の話だ」
二人はお互いの顔を見た後、笑いながら言った。
「産まれる前の話だあ。そんなの知ったこっちゃないね。おまえのひい爺さんに俺らはひどい目に合ったんだ」
「胸を患って寝たきりになり、長く苦しみながら死んだんだぜ」
「だから一族みんな、呪ってやろうと思った」
「社長を殺した後も、孫子の代までたたってやると決めたんだ」
「孫子どころか、少なくとも七代はたたってやるけどな」
「だから子供が産まれるまで待ってやったんだ」
「子供が産まれる前に殺したら、呪う子孫がいなくなってしまうからな」
そして高らかに笑った。
父と祖父が言った。
「残念だったな。こっちは三人いるんだぞ。どういうことか、わからないのかい」
「おまえら二人じゃ、勝ち目ないってことだ」
二人が笑うのを止めた。
そして低く言った。
「俺らはみんなの代表なんだ」
「社長にひどい目にあったのは、二人だけじゃないぜ」
すると二人の後ろに現れた。
同じ作業服を着た男が。
その数は、十人はいた。
木梨は路上で倒れているところを発見された。
もがき、苦しみ、わめき、叫んでいた。
病院に行ったが原因は不明。
総合病院に大学病院まで行ったが、医者には何もわからず、どうすることもできなかった。
木梨はずっと見るに堪えないほど苦しみ続け、五日後に全身の穴という穴から血を流し、息を引き取った。
終
因果継承 ツヨシ @kunkunkonkon
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