雲孫娘は100歳になりたい!

五月笑良(ごがつえら)

プロローグ

 庭一面に小さくて、黄色い花が咲いている。

 名前は忘れてしまったけれど、ずっとずーっと大昔におじいさまが植えて、とっても大切にしているお花たち。

 のりたまごふりかけみたいって言ったら、おじいさまが食べちゃダメだよって笑ってたの。


 おじいさまは庭が見えるテラスが好き。わたしは半袖から伸びた腕をめいっぱい広げて、庭を眺めるおじいさまに抱き着いた。おじいさまがやさしく頭を撫でてくれる。大好き。



──私の可愛い子よ。健やかに生きなさい。


──おじいさま、すこやかってなぁに?


──健康でいなさい。私はね、チカコ。

  お前が100歳になることを願っているんだよ。


──100?100っていっぱいってこと?


──そうだね。いっぱい長生きしなさい。


──わかったわ、おじいさま!チカコにまかせて!

 わたしぜったい100しゃいになってみせるから!


──ああ、任せたよ。



 おじいさまが<私>を撫でる。





──お前がこの魔法を解いておくれ。





 そこで懐かしい夢は醒めたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雲孫娘は100歳になりたい! 五月笑良(ごがつえら) @nakanishiera69

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ