「  」

泡沫 希生

「  」

鮮明なのは、瞼も貫く輪郭。

目を開けると、雲のようにかき消えた。


「あい」


追いかけ追いかけ、足止めて。

目を閉じて手を伸ばして。触れはしない。

まだできないから。

触れたら消えないと誰が決めた?


どうか、

躊躇いが終わるまで、消えるまで。

待って、待っててそこで。

そちらは鳥のように自由にいればいいから。


そんなこと繰り返して、繰り返して、

影が行ったり来たり巡ったり。





ある時、

日の当たる所に自分がいない。

それに気づいて、

もがいて苦しみ、苦しみわめいて。


そもそもすでに腐ってる、

ずっと前に消費期限は切れた、

何処かから声がした。


全て。馬鹿が見せた幻覚、馬鹿がこいねがった残骸。

気づいたところで、

焦げきった心臓には荷が重い。


「○○」


だから、


追いかけ追いかけ、足止めて。

目を閉じて手を伸ばして。触れはしない。

もう分かってるから。


そんなこと繰り返して、繰り返して、

螺旋の中で笑いましょ、嗤いましょ。

終わらない白昼夢を只々ただただ愉しむために。


嘘にくるまって狂って、

「  」を追いかけ続けてる。





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「  」 泡沫 希生 @uta-hope

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