学園を舞台にした現代ファンタジー作品は数多くありますが、その中でも群を抜いて素晴らしい作品です。
神がいなくなった世界。そこに現れた元神の少女、とある少年(主人公)はその少女の手を取り、人を殺して食う魔獣たちと戦う。こう書けば、よくあるボーイミーツガールものか、と思いがちですが、そんなことはありません。もちろん、その要素もありますよ。
舞台設定、その中で生き生きと動くキャラクターたち、そしてバトル等々、必要な要素が全て組み込まれ、有機的に繋がっています。
文章も平易で非常に読みやすく、ストレスを感じることなく、次へ、次へとページをめくってしまいます。
また、緩急をつけるための最大要素、バトルの比率が多めなので、飽きさせないという工夫も見られます。
何よりも避けて通れない死があります。魔獣を前に多くの学生が亡くなっていきます。キャラたちの葛藤、成長、また葛藤、さらに成長と、スポ根的ではありますが、そのあたりの描写もしっかりしています。
間違いなく必読の作品です。強くお薦めします!
世界観の構築がお見事だ。
きっと普段から妄想と想像を繰り返し、幾度となく思索し、思案し、文を書き連ねてきたのだろう。
オリジナリティに富んだ作者様の世界が、溢れんばかりに文面から、読者である私に届いてきた。これを良作と呼ばんとなんとする。
たしかに、文章の粗やもっと突き詰められる部分もあるにはあるが、それを差し引いても有り余る、王道且つ独自の物語は、同程度の評価を受けている作品群の中でも抜きん出て光る才能がある。
人のため自分のため、奔走する主人公の思い。
一から形作られたファンタジックな世界、そしてすらりとその説明を挿入してくる技術。
キャラクターにもしっかりと確立された“像”を練り、具体的なキャラとして自立している。
未だくすぶっていると憂う作者様、さらには世界観の構築が曖昧になってしまう方に進めたいほど高い構築力である。