Epi121 最終話 ハーレムじゃねえ

 葉月と繋がった。

 今後結婚となったら向後姓を名乗るそうだ。

 ただし、まだ四年は先の話だ。俺次第では俺が曽我部を名乗るかもしれん。


「勉強してるんだ」

「してるさ」

「あたしのため? それとも中条?」

「両方。背負ったものがあるから」


 今の俺はどっちも幸せにしたい、そんな贅沢極まりなく無謀な希望を持ってる。

 普通に考えれば一人を幸せにする、それでも精一杯だろう。それでもやるしかないわけで。


「直輝さん。あまり無理はしないでくださいね」

「無理は若いからこそできると思う」

「それでもです。息抜きも必要ですから、その時は遠慮なく」

「花奈さん。いただきます!」


 まあ、つい花奈さんには甘えてしまうし、それを受け入れてくれる。

 やっぱ姉さん女房ってのはいいなあ。辛くなった時の癒しがあるし。


「向後君。今日から私の秘書として働いてもらう」

「はい」

「あまり堅っ苦しくする必要は無い。もっと若者らしく気さくに接してくれ」

「その、加減がわかりかねるので」


 知ったこっちゃないと。ジジイ相手に尊敬できれば、自然に態度に出るだろと。尊敬できなきゃ葉月レベルの接し方で充分だとか。対外的な顔と身内に接する顔。上手に使い分ければ煩いことは言わないと。

 ただし、秘書としての仕事は完璧を求めるそうだ。


「そこは厳しく行く」

「承知いたしました」

「堅いんだよ向後君。ここは、頑張ります、でいいとこなんだがなあ」

「いえ、さすがにそれは」


 葉月が俺を散々堅いと称していたのがよくわかるとか。


「若者らしく、ってのはだな、商売をする上で若者の思考を理解するにも重要、そう考えてる。だからこそ、向後君にも若者ならではの視点を提供して欲しい。ゆえにだ、言葉遣いも含め、らしさ、をぶつけて欲しいってことだ」


 慣れないうちは難しいかもしれないが、自分の身内だと思って接すればいいと。


「こんなお茶目な爺さんも早々居ないぞ」


 自分で言うか。この爺さん。

 葉月が大学に通ってる間は爺さんのお伴。秘書としての仕事がスタートした。


「向後さん。改めて教育係を仰せつかった諸岡です。秘書としての振る舞い。徹底的に叩き込みますので」


 諸岡さんの新たな仕事。それは俺の教育係。

 それと。


「奥方様と中条の夜のお勤めには、相応のテクニックが必要でございます」


 いや、マジでそれは遠慮したいと思った。

 だが、問答無用で仕込まれる俺が居る。まず驚いたのは諸岡さんのテク。葉月はもちろん、花奈さんも遠く及ばないほどに漏れまくる。年齢で忌避しそうだったのに、化粧ひとつで魅力が増す恐るべし化粧テク。

 そして、実際に諸岡さんで磨きを掛けろと。

 諸岡さんを抱くとは思わなかった。


「向後さん。口も手もお留守ですよ」

「あ、はい」

「腰だけ動かせばいいというものではありません」

「はい」


 めちゃ柔い双丘と触ってわかる、緩い雰囲気の全身。それでも鍛えているのか、しっかりした部分もあって、これはこれで、じゃねえっての!

 でもしっかりテクニックを伝授されてる。

 俺のストライクゾーンは広がるばかりだ。


「向後さん。あの、たまには」

「私にもメイド長直伝のテクニックを」


 青沼さんに倉岡だ。こいつら、誘惑の度合いが増してる。

 青沼さんに至っては、新たなおもちゃを渡され、試せと懇願してくるし。結局、用意されたおもちゃでお試し、と称し愉しむことに。


「兄ちゃん」


 一番の問題児がついに参戦してきた。


「あのな、兄妹でってのは無いんだよ」

「でも」


 この屋敷に再度訪れた初日。

 妹の足元を見たら、どこかで見た光景が再現されてるし。


「なんだそれは」


 言われて足元を見て「止まらないんだよ」じゃねえっての。

 まさかの大洪水。兄に欲情する妹ってなんだっての。倉岡はポタポタ程度だったのに、妹は最早滝だ。流れ出て止まらないと抜かす。


「兄ちゃん。一回でいい」

「無理だっての」


 潤んだ瞳で俺を見つめ、宛がわれた部屋の中。

 妹に襲われる俺が居た。


「兄ちゃん! 我慢できない」

「要らんっての」

「兄ちゃんと繋がりたい」

「無茶言うな」


 抗えなかった。まっぱになり、俺に覆い被さり服を剥いでいく、ケダモノと化した妹にしっかり食われた。

 まさか、近親相姦に至るとは。妹がしっかり女になって、つい反応したのも拙かったな。


「二度は無い」

「一度も二度も同じだと思うけど」

「無い」

「あ、次も期待できそうだね」


 葉月。お前の仕込んだ妹は見事に変態になったぞ。そうやって仲間を増やすんだな。

 でも、美沙樹。悶える姿は意外と可愛らしかったぞ。じゃねえ。俺も変態だ。


 進学先がそれぞれ異なり、接点が減ったと思った美桜ちゃんと、香央梨のふたり。

 時々屋敷に遊びに来る。葉月が居ても居なくても。


「向後さん。いえ、直輝さんと呼ばせてください」

「直輝たん。大学生になったんです。好きなだけ抱けますよ」


 ふたりにも迫られる。

 二発の砲弾をこれでもかと揺らし迫る香央梨。これは堪らん。だが我慢だ。

 控えめに迫る美桜ちゃん。その控えめさ加減が、男心をくすぐるんだよ。なんか流されそうになる。


「直輝さん。あの、少しだけでいいのです。私にも愛をください」

「いや、あのね」

「直輝さんの、ち、こ、には愛情が詰まってると伺いました」

「葉月だな? そんなアホなこと言ったのは」


 愛らしさと清楚な雰囲気を壊さず、そっと迫る美桜ちゃんには抗えなかった。

 腕の中で幸せそうな笑顔を見せるんだもんなあ。ずるいぞ。

 砲弾の持ち主はやっぱ力技だ。


「どうです? 葉月たんとは、また違った感触です」


 いや、確かに違うんだけど。

 枝垂れた際のボリューム感は、葉月をもしのぐ。すげえ。

 理性の箍は簡単に外れるものでしかなかった。


「直輝。ハーレムじゃん」

「望んでない」

「でも、一気に経験してひと皮剥けたでしょ。チ〇コの皮はとっくに剥けてたけど」

「アホか」


 週に四日は葉月と一緒に居る。

 以前より愛しさが増して来てる。それと以前ほどに変態が出て来ない。


「少しまともになったのか?」

「違うよ。直輝に気に入ってもらえるように、自分を変えてるから」


 全ては俺のためだけの努力。経営者になるべく勉強するのも。ここまで愛されてるとは。

 それは傍目で見ていても誰にも伝わるようだ。


「本気だから」

「理解したよ」

「じゃあ、ずっと一緒」

「そうだな」


 でだ、さっきまでの葉月はどこ行った?


「直輝! 全部吸い尽す。出し尽くして飲み尽くすからね!」


 変態は治らんか。


     ―― おしまい ――


 これで「女子高生の執事」はエンドとなります。

 評価や応援をして頂いた方にも感謝を。

 最後までお付き合い頂きありがとうごさいました。

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女子高生のお嬢様付き執事として就職した俺だが、なぜか異常に愛されてる 鎔ゆう @Birman

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