第41話「ギックリ腰」
娘「恐竜とお尻がどう関係があるの?」
父「俺は、50歳でお尻が痛くなってから、親父に習ったことや、本に書かれている事をずっとやっていたが良くならなかった。現状維持が限界で一生このままか、病院に行くかの二択だった。そんな時、恐竜のテレビを見ていて
娘「恐竜の映画?」
父「映画ではない、テレビ番組だ。恐竜が居た時代に、人間はまだいなかった。人間の祖先はネズミに似た動物だったそうだ。四足歩行だよ、尻尾も付いていた」
娘「うん、尻尾ね……」
父「そう、尻尾だよ、尻尾。尻尾って何をするんだ?」
娘「尻尾? 恐竜なら攻撃するんじゃない?」
父「恐竜ならな……俺が閃いたのはネズミの方なんだ」
娘「ネズミね……ネズミにお尻ってあるの?」
父「あれを、お尻と言うのか? 俺が注目したのは、尻尾が肛門の上にあるという事だ!」
娘「尻尾ね……」
父「この、尻尾が肛門を治すカギになるという気がしたが、その時は、まだ、そこまでだった」
娘「なんだ、まだ治し方はわかってないの?病院に行った方が良かったんじゃないの?」
父「その時はな、今はわかるよ。……しかし、病院って怖いだろ……病院に行って入院してくださいとか手術しますとか、最悪、お尻のがんですなんて言われたらどうする?」
娘「でも、やっぱり最後は病院でしょう。自分でどうしょうもなくなったら」
父「そうだよな……俺、このあいだ歯を治したろ」
娘「歯? そういえば歯医者さんに通っていたね」
父「ポップコーンを食べてたら下の奥歯が欠けたんだ。しかたないから歯医者に行って治したんだ。下の歯は上手く治ったんだけど、上の奥歯も悪くなっているって言われて上も治したんだ」
娘「ポップコーンで歯が欠けたの? ずいぶん弱くなってたんだね」
父「ポップコーンの中にも硬いやつがあるじゃないか。機械でも壊れる時は突然だろ、昨日までなんともなかったのに突然壊れるんだ。人間の体も突然壊れるんじゃないか?」
娘「ギックリ腰みたいに?」
父「あれは、まさに魔女の一撃だ!」
娘「ギクッってなるの?」
父「俺は腰痛はなかったんだけど、あれも50歳頃だな……お尻が痛くなったのと関係があるのかもしれないな。いつもは何ともない10キロ程度の物を持ち上げようとしたら背骨が“ギクッ”てなったよ」
娘「骨折する時みたいに本当に音がなった?」
父「たぶん音はしてないだろう、でも、俺の頭の中では、はっきりと音がなった……」
娘「それで、そのまま動けなくなったの?」
父「よく、ギックリ腰になると、そのまま動けないって言うだろ」
娘「違うの?」
父「ギックリ腰って急に腰が痛くなる総称で、実際にはいろんな原因があるみたいなんだ。俺は3回やったが3回とも原因は違った」
娘「そうだね、ギックリ腰の正式名称は『急性腰痛』だからね」
父「俺は年末の片付けで朝に腰がギクッてなったけど、その日は夕方まで片付けをしていたんだ。やばいかなとは思ったが痛くて動けないという程ではないんだ」
娘「そういうものなの? あたしはまだギックリ腰はしたことがないから」
父「その日はたいしたことはなかったが、翌日になると起き上がれなかった。トイレに行くのも這って行ってた」
娘「あ〜〜っ、あったね。ふざけてるのかと思った」
父「年末年始はずっと寝てたろ、あれは動けなかったんだ」
娘「そうだったの、あたしは、ずいぶん怠けていると思っていた……」
父「腰痛でも筋肉の異常は動かなければ痛くないんだ。手や足を骨折してもギブスをすると痛くないだろ」
娘「あたしは骨折したことはないけど、ギブスをすると痛くないって言うわね。不思議ね、骨が折れているのに痛くないなんて」
父「まさに、人体の不思議だな。しかし、腰痛はギブスはできない。コルセットまでだから痛みが続くんだ」
娘「10日くらいは痛いっていうね」
父「動けるようになるのに10日かな? 最初の1週間くらいはトイレに行くのが辛くてな……体を動かさないで寝てれば痛くないが、トイレに行くには体を起こさないとならない。筋肉を動かすと激痛がして辛かった……」
娘「オシメにした方が良かった?」
父「入院して、寝たきりでお世話してもらったら楽だったろうな。可愛い看護婦さんにオシメを交換してもらうのもいいな……」
娘「そのまま寝たきりになられたら困るけどね」
父「寝たきりも半年すると、立てなくなると言うな。体が固まってしまう」
娘「半年の壁ね!」
父「腰痛になって病院に行っても、骨に異常の無いものは湿布と炎症を押さえる薬をもらって終わりだ。結局、自然に治るのを待つわけだ。違う種類のギックリ腰を3回して病院に行ったが、治療法は3回とも湿布と炎症を押さえる薬だった」
娘「それは、しかたないよ。下手にいじると悪化するもの」
父「自然に治るのを待って、治るものはいいが、お尻の痛みは治らないぞ。歯でも虫歯になって痛くなったら治らないだろ」
娘「そういえば、歯医者はどうなったの?」
父「歯か……歯を削って銀歯を入れたんだけど、出来上がった銀歯は少しだけ大きくしてあるようで削って入れるんだけど看護婦さんが削り過ぎて先生が確認すると『これはギリギリだな』なんて言うんだよ」
娘「それ、なんか嫌ね」
父「歯医者の先生、治療しながら独り言を言うんだけど、けっこう変な事を言うんだ」
娘「どんなこと?」
父「これかな? とか、こんなものかな? とかね」
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