第39話「神経」


父「冬子は感覚が無くなるというのが分かるか?」


娘「話しには聞くけど実際にはわからないわ、お父さんは分かるの?」

父「俺はわかるんだよ……昔、ひじが外れたことがあって、その時、肘から先の感覚が無くなった」


娘「関節が外れても感覚がなくなるの?」


父「俺は無くなった。もちろん腕はあるよ、取れたわけじゃないから、でも肘から先がまるで無くなったように感覚が無くなったんだ。指も動かせなかった」

娘「そういうものなの? 関節が外れて神経が伸びたからかな、それとも神経が折れ曲がったの?」

父「そのへんはよく分からないが、肘の関節を入れてもらったら、すぐに感覚が戻ったんだ。不思議なもんだ」


娘「関節がちゃんとしてないと、神経もちゃんと働けないのかな?」

父「接触が悪くなるのかな? 昔のテレビは画面が見えなくなったら叩いたら直ったんだ」


娘「かなり前の話しだね。白黒テレビじゃないの?」


父「俺が子供のころは白黒テレビだった……神経って、まだよく分かってないんじゃないのかな? 昔の中国でも神経については考えなかったらしいぞ」

娘「まさか! ツボや経絡を細かく研究しているのに!?」

父「そこが不思議なんだよ。実際にある神経は気にしないで、目に見えないツボや経絡を研究したんだ」

娘「発想が西洋医学とは違うみたいね」


父「西洋医学の神経や脳のつながりは良く調べたものだと思うくらい細かい。よほど解剖したんだろうな」

娘「戦争中にけっこう実験されたっていう噂はあるわよ」

父「それは、するだろうな。普段はできなくても、大量に怪我人が出れば実験的な治療も何でもありだろう。ある国では経絡の実験までしたらしいぞ」

娘「経絡は昔から実験されていたんじゃないの?」


父「経絡というのは生きてる人間にはあるが、亡くなると経絡も無くなるらしい。だから経絡の実験をするには生きた人間を使わなければならないんだ」

娘「と、いうことは生きた人間に電気や針を刺して確認したということ?」


父「たぶん……西洋では○体に電気を流してピクピクと動くのを見世物としてやっていたらしい」

娘「それは中世の話しでしょ? 死んでいるカエルの筋肉に電気を流すとピクピク動くやつと同じよ。今やったら大問題だね」


父「そうだな、あれは中世か……当時は大流行したようで、それを見て書かれた小説が『フランケン○ュタイン』らしい」

娘「なるほど、電気で動き出すのね。フランケン○ュタインは雷だけど、あたし、あの映画が凄く怖かったわ。リメイク版だと思うけど、いまでも怖いな……」


父「俺は子供の時に少年雑誌に吸血鬼ドラ○ュラの指名手配のカラーページがあって、ドラ○ュラは本当にいるんだと信じ込んだ時期があったな〜」

娘「お父さんはドラ○ュラが怖かったの?」

父「少年雑誌に、まるで本当にいるようにカラー写真が載っていて、小学3年生の時だったかな、そりゃ〜〜信じるよ」


娘「昔の雑誌は、これはフィクションですとかは書いてなかったの?」

父「なかったんじゃないかな? そんなの。昔は漫画家の住所も載っていたんだぞ」

娘「個人情報もなにもないのね」

父「情報もあまりない無い時代だからな、そういえば駄菓子屋で口にはめる、たしか、『ドラ○ュラの歯』というのがあって、プラスチック製なんだがマウスピースのように歯にはめるんだが、大きなキバがついているんだ」


娘「そんなので遊んでいたの?」

父「団地に住んでいる同級生と遊んでいんだけど、団地に住んでいた女の子が、ドラ○ュラの歯を付けた俺の歯を見て目を丸くして驚いていたのを覚えているよ」

娘「たぶん、その女の子トラウマになってるんじゃない」


父「中学生くらいになれば気付くだろう……」



娘「戦争中は、捕虜を使って医学的な実験をしても問題にならないのかな?」

父「戦争が終わってから問題になったらしい、ド○ツでかなり凄い実験がされたらしくて、そういう実験で医学が進歩するのかもしれないな……日本では馬の血液を人間に輸血できないかと研究されたりしていたようだ」

娘「へ〜っ、馬の血液。現代は豚の腎臓を移植できないかとやっているけど、昔の研究ももしかしたら良いのが有るかもね?」


父「戦争で医学も科学も発達したのだろう。西洋医学の手術や薬は凄いが、普段の体のケアは東洋医学が優れている。明治以前は達人がいっぱいいたらしいが伝承が途絶えてもったいないはなしだ」


娘「昔の日本では神経は研究されていたの?」


父「どうだろうな、そういうのは読んだ事はないな……お尻も出口に傷があると凄く痛いが、中の方に出来るものは神経がないので痛くはないらしい。神経があるかないかで痛みが全然違うようだ」


娘「それは、よく聞く。本当不思議よね、内臓や脳に大きな腫瘍があっても痛みはあまりないって言う話」


父「お尻は、凄く精密に出来ていて、その分神経が多いから傷ができると痛みも凄い。俺も、あの痛みから抜け出せて本当に良かった!」


娘「もう、完全に治ったの?」


父「いや、今は痛みは無いが、完全ではない。毎日トイレットペーパーでチェックは必要だ。お尻はうっ血しないように日頃から揉んだり押したりが必要だ。俺は下着を取り替える時は、なるべく、お尻を揉むのを習慣にしているぞ」


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