第32話「笑ってごまかす」
娘「ナオちゃんさんは、先生に怒られなかったの? 騒いでいたんでしょ」
父「ナオちゃんは、あまり怒られなかったな。騒いでいたけど……でも、小学4年生の時の担任の先生は女の先生だったけど、かなり怒られたらしくて、学校に行かないことが多かったって聞いたな」
娘「怒られて、怒られない方法を見つけたのかな?」
父「どうだろうな、笑ってごまかすんだよ」
娘「なにそれ?」
父「何かあったら、とにかく笑って話しは終わりって。ナオちゃんのお母さんと同じ笑い方だった」
娘「お母さん子だったの?」
父「お父さんはいなかったんだ」
娘「事故とか病気とか?」
父「俺は、小学生の時にナオちゃんから、お父さんは戦争で亡くなったって聞いて、あ〜っ、そうなんだって思っていたけど。今思えば、いったい何戦争なんだ!?」
娘「お父さんの子供の時の戦争……ベトナム戦争かな?」
父「まさか!? お父さんはアメリカ人か?」
娘「背が高かったんでしょ」
父「そうだな、でも、髪も目も黒かったし、家の近所に外人なんていなかったぞ」
娘「じゃぁ、スマホで調べてみようか、ちょっとまってね、『1960年代 戦争』と……あるよいっぱい!」
父「そうなのか!? 戦争してたの?」
娘「ベトナム戦争、西イリア、キューバ、ベネズエラ、アルジェリア、モロッコ、キプロス、インドネシア、マレーシア、コロンビア、ドミニカ、いっぱいあるよ」
父「へ〜〜っ、そうなのか、あながち嘘でもないのか? しかし、外人ではないと思うけどな……」
娘「でも、日本人で身長2メートルは、あまりいないよ」
父「そうだな……いままで、ナオちゃんのお父さんが外人という発想はなかった。だいたい外人がいなかった」
娘「英語が上手かったとか?」
父「英語は中学生からだから……ドリ○ターズで荒○注が『ディス イズ ア ペン』と言うギャグがあったが、おかしかったな! なんであれが面白かったのかがわからないが、とにかく笑った。荒○注の言い方が面白かったのかな?」
娘「それは、伝説的なギャグだよ。当時の小学生が道を歩いている外国人に『ディス イズ ア ペン』と言うのが本当にあったらしいよ」
父「言われた外国人も困っただろうな……俺の小学生の英語はそんなレベルだ。ナオちゃんも同じだったと思うぞ」
娘「実は、『能ある鷹は爪を隠す』じゃないのかな?」
父「そんな特別な才能はなかったと思うぞ……そういえば、そろばん教室で不思議な事があったな……」
娘「なに、なに、また壁に入る人?」
父「俺の小学生の時にユ○・ゲラーって超能力者が流行ったんだ」
娘「知ってる。スプーン曲げでしょ!?」
父「そう、俺もやったよスプーン曲げ、全く曲がらなかった」
娘「それで、そろばん教室でなにがあったの?」
父「ユ○・ゲラーがテレビを通して超能力を送るって番組があったんだ」
娘「なんか聞いたことある」
父「その番組で壊れた時計などをテレビの前に置いて下さいってのがあったんだ」
娘「壊れたのが動くの?」
父「俺も壊れた腕時計でやったが動かなかった。次の日にそろばん教室に行くと、教室の先生が、その番組を見ていて時計をいっぱいテレビの前に置いたんだって」
娘「壊れた時計が直った?」
父「いゃ、壁に掛ける大きな時計が電池が入ってないのに動いていたんだ」
娘「へ〜〜っ、超能力?」
父「当時は超能力だと思っていたけど、実際はどうだかわからないな、別の電池を隠してつなげるのは簡単だからね。でも、そろばん教室の先生は若い女の先生なんだけど、本当に超能力で動いているように言ってたな……」
娘「本当の超能力じゃないの?」
父「どうかな? 当時はUFOも流行っていて、ナオちゃんと一緒にUFOを探した事もあったんだ」
娘「UFO見つかった?」
父「ある日、山を見ていたらいきなり光り出したことがあったんだ。あれは絶対にUFOだと思った」
娘「なに、違うの、車のライトとか?」
父「山の光りを見た人は多かったようで、新聞に自衛隊の照明弾だって書いてあった……」
娘「照明弾……それは光るね……」
父「ナオちゃんと遊んでいて、ナオちゃんが、いきなり角材の上に飛び乗ったことがあったんだ」
娘「うん、それで、角材が崩れた?」
父「いや、角材の下に俺の指があった」
娘「指が潰れた?!」
父「右手の中指が角材と地面の間に挟まれた」
娘「それは、痛そうだ……」
父「痛かったな〜 それで、いまだに、右手の中指の爪は平たいんだ」
まさか、という顔をして冬子は父親の右手の中指の爪を見る。
娘「本当だ、他の爪は丸みがあるのに右手の中指だけが上から押し潰されたように上が平たい」
父「不思議だろ、あれからずっと平たい爪が生えるんだ」
娘「本当、不思議。そんなふうになるんだね。それで、ナオちゃんさんは、謝まったの?」
父「最初は謝ってたけど、あとは笑ってごまかしてた……」
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