第14話「トイレットペーパー」
娘「トイレットペーパーの使い方をもっと詳しく教えて」
父「トイレットペーパーは、ダブルよりシングルの方が力加減が分かりやすい」
娘「シングルの方がいいの?」
父「紙の厚みを調整しやすいんだ。ダブルだと押す時に厚くなって感覚が分かりづらいだろ?」
娘「あぁ、なんとなく分かるわ……」
父「それから、やっぱり柔らかいものだな、硬いものだと痛くなる」
娘「そうね、硬いのもあるね」
父「スーパーなんかのトイレに入ると安いトイレットペーパーを使っている店のは硬いぞ、よく揉んでから拭かないとな」
娘「あ〜〜っ、あのスーパーかな? 遠い所のスーパーは、ひっぱると紙が切れるんだよね」
父「それは、デカいトイレットペーパーだろ、あれは硬くはないが、俺も引っ張るのに一苦労したよ、紙が薄いからすぐ切れてしまうんだ。いっぱい使えないように引っ張るのが大変なように作ってあるんじゃないのか?」
娘「お父さん、一時期、“自分専用”ってトイレットペーパーを使っていたじゃない」
父「あれは高いんだ、ひどくお尻が痛かった時、拭くのが辛くて一番高いトイレットペーパーを買ったんだ」
娘「そうだったの、あたしも少し使ったけど、凄く柔らかかったよ。お母さんもこっそり使って『柔らかいね』って話してたんだ」
父「やっぱり使ってたのか、なんか減り方が早いと思ってたんだ」
娘「ごめんね~ 柔らかくて気持ちいいんだもん」
父「あれは値段もいいからな……しかし、柔らかいと言っても、やっぱり紙なんで摩擦があるから、トイレットペーパーの上から押す時間は1分ぐらいにしないと痛くなってしまうぞ」
娘「たった1分?」
父「そう、その1分が大切なんだ。もっと押したい時は下着の上から押したほうがいい」
娘「下着の上からなら1分以上押しても大丈夫なの?」
父「たぶん大丈夫だと思う。俺はトイレの中で押す時は、便座に方足を乗せて胸を膝につける姿勢で押すんだが下着の上から押しても大丈夫だった。もっとも3~5分くらいだったけどな」
娘「便座に足を乗せてたの?」
父「……もう、時効だ。お母さんには言うなよ」
娘「地獄ラーメンに餃子も付けてもらおうかな?」
父「分かった。餃子も付けるから。こんどな……」
娘「ウォ○ュレットはダメなの?」
父「ウォ○ュレットは傷がある時は痛くて使えない。だいたい、お尻が痛い時にウォ○ュレットは辛すぎる。紙で吹くのも泣きながら拭いていたのに……」
娘「そんなに痛いの?」
父「痛いよ! 痔は
娘「昔の人は、なにで拭いていたの?」
父「昔?……金持ちは紙を使っていたんじゃないかな? 金の無い人は葉っぱとか木のヘラで拭いていたらしいね」
娘「だいぶ前の話し?」
父「平安時代とか? 遺跡から木のヘラがいっぱい出ているらしい」
娘「おじいさんは新聞紙を使っていたって言ってたよ」
父「新聞紙の時代もけっこう長いんじゃないかな? 戦争の前後はそうみたいだね。まぁ、木のヘラよりはだいぶいいだろうけど、やっぱり硬いだろうな……」
娘「お父さんは新聞紙じゃなかったの?」
父「俺か、俺の子供の頃は『茶ちり』というトイレ用の紙だった」
娘「それは柔らかいの?」
父「どうかな、忘れてしまった。子供の頃はお尻が痛いなんてなかったからな、トイレットペーパーと同じくらいの柔らかさだったかもしれない。今でも売ってるからね」
娘「お父さんの子供の頃は、まだ水洗トイレじゃなかったんだ」
父「水洗トイレもあったよ。小学生の時に同級生の家に遊びに行ったら、水洗トイレでトイレットペーパーが付いていたんだ。ストーブも灯油のストーブで、ビックリしたね! 2階建てのアパートだったけど凄い金持ちに見えたよ」
娘「今なら普通じゃない?」
父「当時は、小学校のトイレは水洗じゃないし、ストーブも石炭だった」
娘「石炭ストーブってわからないけど、なんか良さそうだね」
父「俺が小学生の時は家庭でも石炭ストーブが普通だった。手間がかかるけど石炭の火力は灯油より強くて温かいんだ。当時はみんな家に煙突があったよ」
娘「サンタクロースも来た?」
父「俺の所にサンタクロースが来たことは無い! 親父には、そういう習慣は無かったから、プレゼントをもらう同級生が羨ましかった」
娘「おじいさん、和風だったもんね。カツ丼も飯の上におかずを乗せるのは下品だって、わざわざカツを皿に入れてたもんね。あたしが、そのうちクリスマスにプレゼントしてあげるよ……」
父「本当か?」
娘「高級トイレットペーパー!」
父「……もっと稼いでくれ」
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