第13話「コリの取り方」
父「
娘「コリって、トリガーポイントみたいに固まりになってるやつ?」
父「そう、コリコリしているやつ」
娘「うん、おじいさんに習った」
❃
【三日月
コリ∶硬い固まりで押さえると痛い物。
(うっ血していると痛みがあります。痛みの無い固まりはしこりの可能性があり、これは別物です。)
固まりの痛い所と痛く無い境い目を指で押さえます(5〜10秒)。
指で押さえることでうっ血している古い血が流れ、新しい酸素と栄養のある血液が入ります。これを1日に朝と晩にやると、だんだんと固まりが小さくなり押しても痛くなくなっていきます。
❃
父「あのやり方って、お尻にも使えるんだ」
娘「えっ、そうなの!? 気が付かなかった」
父「江戸時代は直接指で突いていただろうけど、現代には柔らかいトイレットペーパーがあるじゃないか」
娘「それは、トイレットペーパーの上から押すってことね」
父「そう、1回目はしっかりと拭くよ。でも、2回目と3回目は押さえるんだ。押さえて、その後で拭く。ただし、時間は30秒から1分程度で、それ以上やると紙の摩擦で悪化する」
娘「肛門を押すのね」
父「そう、もちろん。押し方は親父のやり方で、何度かいぼ痔になって痛かったけど、1週間くらいで治ったよ」
娘「お父さん、それはお風呂の中でやってたんじゃないの?」
父「そう、そうなんだ。実はトイレットペーパーの使い方に気付いたのは、つい最近なんだ」
娘「なんだ、お父さんもわからなかったんじゃない」
父「何十年もトイレットペーパーを使っていても気づかないもんだな、ボーっと生きてると、小さな女の子に怒られそうだ……」
娘「ボーっと○きてるんじゃねーよって?」
父「本当、ボーっと生きてたな……」
娘「みんな気が付かないんじゃない? トイレットペーパーで押さえるなんて聞いたことないもん」
父「これから流行るんじゃないか? インドネシアやタイの人は水で拭くって言ってたけど、指で拭く時に、指で押すって発想はなかったんだろうか?」
娘「気が付いた人はいるんじゃない?」
父「俺もいたと思う。ただ人には言わなかったか、自分の痔が良くなって、それで終わりだったんじゃないかな?」
娘「あんまり人に言うものではないんじゃない? 男の人は言うの?」
父「言う人は、けっこう言うよ。言わない人は言わない」
娘「それは、そうだろうね……」
父「痔の手術をして、人に話す人もいるし、出てきたとか言ってる人もいたよ」
娘「出てきた? 漏らしたってこと?」
父「いゃ、そうじゃなくて中から出てくるらしいんだ」
娘「ちょっとわからないけど、それは病院だね」
父「そうだね、でも、その人も病院に行ってるけど良くならないって言ってた」
娘「悪くなる前にお尻を押す習慣があれば、そんなに悪くなる事はないの?」
父「たぶんね……昔から、お尻を押すって技はあったと思うけど、やっぱり直接押すって事には抵抗があっただろうから、痔を患った人は押すかもしれないけど、痔になったことのない人は押さなかったと思う」
娘「お風呂の中で押すってのは昔からあったの?」
父「あぁ、それはあった。でも、昔は毎日お風呂に入る習慣はないし、お風呂のある家は金持ちだけだね。ただ、軽いものはお風呂の中でもできるけど、ひどくなった時はなぜかお風呂の中ではできなかった……」
娘「そういうものなの?」
父「ひどくなったらお風呂の中でも痛くて押せなかった」
娘「そんなにひどかったの? トイレットペーパーは適当に押してもいいの?」
父「とくに痛みがなければ適当に押しても揉んでもいいよ。傷や痛みが強い人は慎重にやらないとかえって悪化させてしまうけどね」
娘「どのくらいで押せばいいの?」
父「力加減は教える事ができないんだ、自分で丁度いい力加減だと思うより少し弱いくらいがいいだろう。強すぎても弱すぎてもダメで、人によって違うだろうし、日によっても違う。よく、うどんをこねる人が毎日水加減は違うっていうじゃない。あんな感じじゃないかな?」
娘「うどんはこねたことないけどね……」
父「例えだけどね、うなぎ屋さんが『焼きは一生』って言ってるじゃない」
娘「なんとなくはわかるよ」
父「お尻の押し方は一生かな?」
娘「やり方によっては悪くなったりするの?」
父「傷がある場合は押しすぎると悪化するね、それと爪が伸びてるとダメだね。ちゃんと切らないと指で押せない。あと、大切なのが、押した後にちゃんと痔の薬を塗ったほうがいいよ。押す事で炎症が起きるからね」
娘「薬は市販のやつ?」
父「できれば、ちゃんと病院に行って薬をもらってきたほうがいいと思うよ」
娘「お父さんは病院にいったの?」
父「俺は、お尻の病院は行ったことはないんだ」
娘「なんで行かないの?」
父「病院ってさ、診察しないと薬はもらえないだろ。ドラッグストアみたいに、これくださいって言ってもらえるんなら行くけどね」
娘「診察してもらったらいいじゃない」
父「いゃ、それは、男でも抵抗があるんだ……」
娘「がんだったら、今ごろいなかったかもよ」
父「一応、余りにひどくなったら行こうとは思っていた……」
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