マスターと使い魔

トマトも柄

第1話 マスターと使い魔

「ヒーーヒッヒッヒッ! 美味しい料理を作ろうね〜」

 黒装束の服で身を纏い、大きな鍋を必死にかき混ぜている。

 グツグツと鍋が煮えるのを確認してから、

「良し! 丁度いい感じね!」

 鍋から離れてフードを取る。

 綺麗な女の子がフードから現れて、大声で呼ぶ。

「みんなー! ご飯よー!」

 そうすると小さなウサギの使い魔達がやってくる。

 わーいと皿を持ちながら健気にやってみんなで鍋の前に並んでいる。

「はーい! 順番守ってよ〜! ちゃんと全員分配るからね〜。 全員いるか確認して」

 女の子の横にいる使い魔はこくりと頷き、全員いるかの確認を行う。

 女の子の横にいる使い魔はリーダーの目印である帽子をしっかり被りながら使い魔全員いるかの確認を行う。

 そして、帽子を被った使い魔は女の子の元へ行き、全員いるって事を伝える。

「良し! じゃあ全員にご飯配るね! 今日はシチューよ〜!」

 使い魔にシチューを配って行き、全員に行き渡ってから全員でテーブルを囲んで食べ始めた。

「かー! 食事中だったか。 出直そうか?」

 女の子が窓を見ると、黒くて三本足の鳥が立っている。

「ちゃんと窓の戸締りもしとかないと危ないぞー! どこに何があるか分からんのだから」

八咫烏やたがらすだからって窓から来なくても良いのに。 どうしたの? ヤタちゃん」

「いつもの手紙だよ。 持ってきたぞ」

 それで八咫烏が手紙を渡そうとすると、窓の下から使い魔が皿を持ってシチューも食べてと言いたいのかそばに寄ってくる。

「かわいいな〜! 少しだけ頂こうかな。 丁度小腹が空いてたのよ!」

 使い魔が喜んでいるのか、ぐるぐる回っている。

 八咫烏は窓から降りて使い魔のそばに近寄る。

 そしたら使い魔がちょこんとシチューを置いてくれた。

 八咫烏が嘴をシチューに付けて美味い美味いと食べている。

「ふう。 食った食った! 使い魔もありがとうな」

 使い魔にお礼を言って、八咫烏は窓に再び登り、

「じゃあそろそろ行くよ」

「もう少しゆっくりしてもいいんじゃない? 向こうの話もどうなってるか聞きたいし」

「ん? 聞きたいって?」

 すると女の子が吹き出し、必死に笑いを堪えている。

「相変わらずギャグには反応するんだな……」

 ツボに入ったのかずっと女の子は笑いを堪えている。

「じゃあもう行くぞ。 手紙は渡したからな」

 そう言って八咫烏は大空に向かって羽ばたいて行った。

 女の子は笑いながら見送り、笑いが収まってから使い魔達とシチューを食べた。


 そして、翌日になり女の子と使い魔が朝食を済ませて、使い魔達に話す。

「昨日の手紙によると、召喚士の力量確認するので家族が後日来るって書いていたわ」

 使い魔達が怯えながら女の子を見ている。

「名目上そう言ってるだけで、実際は遊びに来るってだけだからね? そんな怖がらなくても良いのよ」

 使い魔達は顔を上げて疑いの眼差しを見せて女の子を見る。

「そんな心配しなくても良いからね? 本当だからね?」

 そして、怯えてる使い魔達をよそに出かける準備をしている。

「とと! ちゃんとよそ行き用の格好にしないとね!」

 そう言って、よそ行き用に髪が白髪になる。

「こっちにしとくとベテランっぽく見えるからね! 歴戦の召喚士に見えるはずだ! 後はちゃんと森を抜けて街に向かうだけだな!」

 女の子は使い魔達に向き直し、

「じゃあみんな留守番しといてね。 色々買ってきたりとか準備してくるから。 ちゃんと良い子にして待っててね」

 女の子は使い魔達の頭を撫でながら外に出ていく。

 使い魔達はみんな女の子を見送っていた。

 そして完全に女の子が見えなくなっていたのを確認してから使い魔達が行動を開始する。

 使い魔達がまず部屋の掃除を始めて、机などを綺麗にしていく。

 掃き掃除と拭き掃除を行い、終わったら食材の回収に向かう。

 外の畑に向かい、野菜をどんどん回収していく。

 そして使い魔達は橋を渡って水を回収しに行く。

 水をいっぱい持てるようにとちっちゃな樽でみんなが運んでいく。

 水を回収しようとしたところで雨が降ってきた。

 みんな雨に気付いたので急いで家に帰宅しようとする。

 雨足はどんどん強くなって行き、使い魔達も水をこぼさないようにせっせっと急いで戻っている。

 雨足と共に強風が吹いてきた。

 まるで嵐のように荒れ狂い、必死に前に歩いていく。

 使い魔達が橋の前に立ち止まったのだ。

 橋を見ると、橋が大雨と強風によって崩れ落ちていて、通る事が出来なくなったのだ。

 どうしようと困り果てる使い魔達。

 そこに八咫烏が急いで使い魔達のところへやってきた。

「おい! 何やってるんだ!? 早く帰らないと!?」

 八咫烏が慌てて話すが、使い魔達が首を横に振って橋を指差す。

「ん!? 橋が落ちてるじゃないか! 分かった! そこの物陰に隠れて安全にいてくれ!」

 使い魔達は急いで物陰に隠れて雨風を凌いでいる。

 雨風がまだ強い中で、八咫烏は上を確認し、力強く羽ばたく。

 使い魔達は寒さをしのいではいるが、震えは止まらない。

 全員が入れるようにお互いを譲り合いながら濡れないように庇い合っている。

 すると、使い魔達の周りの雨が止んだのである。

 けれど、使い魔達は雨足が収まっていないからまだ雨が降っているって事は分かったのだ。

「みんなー! 大丈夫ー!」

 上の遮った所から声が聞こえる。

 遮った物が使い魔達の前に移動して現れる。

 遮っていたのは龍であった。

 その龍に乗っていた女の子が乗っており、肩には八咫烏がいる。

 女の子は使い魔達を確認してすぐに降り、

「みんな大丈夫だね! じゃあすぐに移動しようか!」

 女の子が使い魔達を龍に乗せていく。

「よし! 行くよ〜!」

 女の子は龍に指示を出し、急いで家に向かう。

 使い魔達は手に入れたちっちゃな樽を落とさないように必死に掴んでいる。

 全員無事に家に着き、龍にお礼を言い、急いで家に入る。

「みんな急いで体を拭こうか」

 女の子は使い魔達にタオルを渡していき、自分の体も拭いていく。

「俺も拭いてくれ〜」

 八咫烏も体を震わせながら、女の子に言う。

 女の子ははいはいと一声言いながら八咫烏も拭いていく。

「そういえば外にいる龍どうするんだ?」

 八咫烏が聞くと、

「外で見張ってくれるって。 後であの子にもご褒美あげないとね。 急に召喚して対応してくれたお礼もあるし」

 そうすると使い魔達が拭き終わって、みんなが女の子にタオルを渡そうと持ってきてくれてる。

「あ! みんな拭き終わったのね。 みんなありがとう」

 使い魔達にタオルを回収した後で頭を撫でていく。

「みんな大変な時にありがとう。 今日は疲れたでしょ。 ご飯今から作るから待っててね」

 女の子の言葉に八咫烏がこっちを見つめている。

「食べる?」

 女の子が聞くと、うんうんと八咫烏が頷く。

「じゃあみんなの分の準備するね。 今日はみんな頑張ったからカレーにするわよ!」

 みんなが喜んで走り回っている。

 窓からは龍が私の分はと言わんばかりの表情で訴えてくる。

「ちゃんと用意するから大丈夫よ」

 龍はニヤっと笑って顔を窓から遠ざけて再び見張りを始めた。


 そこから女の子はカレーを作っていると、雨も止み風も静かになっていた。

「みんな! 今日は外で食べようか! 龍も外で待ってくれているからね。 みんな準備してれる?」

 すると、使い魔はそそくさとそれぞれの道具を持って外へ飛び出すように準備を始めた。

 使い魔達は龍が濡れているので龍を拭いたり、テーブルを準備したりと手入れをしています。

準備が終わった頃に、

「みんなー! 出来たよー! 食べようか〜!」

 女の子はカレーを配っていき、みんなと一緒にカレーを食べていく。

 みんな今日の疲れが吹き飛ぶような笑顔で団らんと過ごしていった……。

 



 


 

 


 



 

 

 

 


 

 


 


 



 






 

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