第24話 ビビアの目指す知識チート
「ふふふセーニャさん、相変わらず野菜の剥き方が独創的で…もう少し一般人に寄せて頂いても構いませんよ?」
「まぁごめんなさいビビーさん、わたくしただ今鋭意修練中でしてよ。お体と…失礼。同じようにお心も小さくされてはいけませんわ。わたくし達修道女なのですから。」
「…まぁ~!何やら体の一部を見られて言われた気がしますけれど、私は心も体も成長中ですので!もう成長が終わりきった方は今後が見込めなくて残念ですねぇセーニャさん!」
「うふふもう充分すぎるほど持つものは持っておりますから気にしておりませんわ
ビビーさん」
「ふふふふふ…!」
「うふふふふ…!」
「…アンタら私のつけた愛称がそんなに嫌かい…」
わざわざお互いの当てこすり用に使わないでくれ給えよ。
あの輝かしい?明け方会議はその後も繰り返されたが、話題の中心はやはり組紐についてだった。
意外だったのは、最初乗り気でなかったビビアまで乗り気になっていること。
何か思うところがあるらしく、時々何やら書き溜めたものを眺めて唸っていることもある。
気づけば最初の会議から二週間たち。
季節は秋も半ばに差し掛かっていた。
「今日はわたしから話してもいいかしら」
珍しくビビアから口火を切った。
この二週間、話題の中心は組紐だった。
最初に比べれば意欲があるとはいえ、やはりこの話題だと受験希望者セリアナと情報提供者わたしの会話が多い。
ビビアはどちらかと言うと聞き手か、たまに質問をするくらいだった。
「いいよ~たまにはビビーから話してよ」
「良くってよ。いつもわたくしからでは申し訳ないわ。どうぞビビーさん」
「ビビーって本当にやめなさいよ…まぁいいわ」
ふんっと不機嫌そうに鼻を鳴らしてビビアが続ける。
「お姫さまは教育者として緑の組紐が欲しいみたいだけど、わたしは違うの」
「まぁそうでしょうね」
「ビビーさんが先生になられたら子どもも捻くれそうですわ」
「アンタがいうか…!で、私が何したいかっていうと…知識チートよ!!」
「「知識チート?」」
ふん!とない胸を張って何を言うかと思えば…
いや無いわけじゃないんだけどささやかって言うかなんていうか…
「「無理でしょう」」
「なんでよ」
「え~…なんでって。そもそも出来るようなチート知識ないじゃん。産業革命とか水道開発とか出来んよ」
「わたくしも同じくですわ…だんだん思い出してきた記憶によるとわたくしどうも学生だったみたいですし。あまり参考になるような知識はなくてよ。趣味もゲームでしたから化粧品開発なども無理ね」
ていうかあそこら辺ぽんぽん開発できるのが凄いと思うのです。
ただ前世まえの記憶をほんのり思い出すと、色んな趣味の人がいたのは確かで…
無趣味だったであろう自分を恥入るばかりである。
「あ、でもビビー看護師さんだったんだったけ?薬学的なチートが出来るとか?」
「出来るわけないじゃない。こっちとあっちじゃ薬品も違うのに」
デスヨネー。
この世界、明らかに前の世界と同じものもあればまったく違うものもある。
野菜なんかは前の世界と同じだったり似てたりするけど…金属とかはよく分からないものも結構ある。
結果前の知識だけでは対応できないのだ。特に薬品とか人の命関わるしな!
「じゃあやっぱ知識チートなんて無理じゃん」
「そういう特殊知識だったら無理よね、わたしだってそれなら諦めるわよ」
?
「どういうこと?」
「ふふふ、それはね」
ビビアは何だか楽しくなってきたらしい。
ノリノリである。
「鍵はこのお姫さまがもってたのよ!!!」
ズビシィッ!と音が出そうなほど姿勢よくビビアがセリアナを指さす。
寝台に座ってて格好つかないけど。
さされたセリアナはきょとん、としているけど。
まぁとりあえずな。
「人を指ささない」
ごき!
「ひぎゃ!」
ビビアは自然に人を煽るからいけんよ。
ヒロインに異世界転生してたらしいけどそんなん知らんしとりあえずカマクラ作っとく マスクドライダー超人♂ @tomy09
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ヒロインに異世界転生してたらしいけどそんなん知らんしとりあえずカマクラ作っとくの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます