最終話 梅雨からきいへ
「梅雨ちゃん」って優しく呼んでくれる、きいちゃんの声がすき。いつもは甘えんぼうなのに、私を抱きしめるときだけ「梅雨」って呼び捨てにして「きいくん」になる瞬間も。すべての多面性が魅力的。
なんにも考えていないような態度をとるのに、本当はいつだって周りをよくみていて、たくさんのことに気付いてくれる。
きいちゃんの小さくて軽くて柔らかい身体を抱き締めていると、愛らしくてたまらなくなるの。もっと一緒にいられたらいいのにな。
今日も、すごく楽しかった。
水族館、連れ回しちゃってごめんね。飽きたら正直に言ってね。毎回付き合ってくれるからつい甘えちゃうけど、次はきいちゃんの好きなところへもっといこうね。
またアクセサリーも買いに行こう。きいちゃんの色選びが私は好きだよ。キウイみたいな瑞々しい色の可愛いピアスは宝物。
ころころと変わっていくきいちゃんの豊かな表情は、どれもこれも残しておきたいものばかり。今度は被写体になってくれないかな。きっと私にしかわからない吐息と表情があると思う。
きいちゃんはいつ寝てるんだろう。いつもすぐに連絡が返ってくるから、ちゃんと眠れてるかなってときどき心配になる。先に寝落ちしてばかりでごめんね。次は一緒にお昼寝しよう。
「キスは甘い味がする」って、きいちゃんはよくそういってくれるけど、リップはつけてないからなんでそう感じるのかはわからない。でもその味を確かめるみたいに、唇をぺろりとする仕草にいつもドキッとさせられる。
今日は空気が澄んでいて心地良い。つい空を見上げたままぼうっとしてしまう。はやく帰らないと心配かけて怒られてしまいそうだ。
それじゃ、またね。
きいちゃん、大好きだよ。
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