日本人の宗教から、自殺問題を考える

大天使 翔

日本人の宗教から、自殺問題を考える

 我々日本人は、一般的に無宗教、無神論の民族だという風に言われる。




 しかし、本当にそうなのだろうか?




 確かに、日本人はクリスマスを祝えば初詣にも行くし、葬式にはお坊さんが来る。




 そして、日本人はそれらの宗教がどんな教えであるかを知らない。




「周りの皆がやっているから」




「クリぼっち嫌だ」




「お雑煮ウマい」




 などの理由で、慣習的にやっているだけであろう。




 友達と神様の話はしないし、そんなこと話たらヤバい奴だと思われる。


 そういう風潮は、オウム真理教が起こした地下鉄サリン事件が尾を引いているとも言えるだろう。




 宗教なんて、日本人である私には関係のない話だと思っているかもしれない。




 しかし、私はここで、ほとんどの宗教に見られる特徴から、日本人の信仰心を暴いてみたいと思う。




 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教には、神が存在する。




 今生は神に仕えるためにあるのであり、人々は聖典に書かれた律法を遵守して生きる。




 バラモン教の系譜を引く仏教では創造神の概念はないが、輪廻転生からの解脱を会得するための戒律が存在する。




 儒教では、孝徳が重んじられ、親と子の秩序を乱してはいけないと教えられる。




 そして、教義に反する者は異端とされ、同教の者から迫害、抹殺されるのだ。




 ここでは、日本独特の宗教を「日本教」と呼ぶことにしよう。




 日本教の教義はこうだ。




「良い大学に行き、良い会社に入り、結婚して、家族を持って、マイホームを買い、老後は悠々自適に過ごして家族に看取られながら病死すべし」




「働かざる者、食うべからず」




 レールから少しでも外れた者は嘲笑われ、落伍者として、陰鬱な人生を歩む。




 働かない者は異端の烙印を押され、厳しい批判の嵐に晒される。




 創始者のいない、見えない「空気」に隷属することが、日本教の特徴だとも言えるだろう。




 この特徴は先程例として上げた宗教と合致する。




 つまり、私たちは立派な「日本教の信者」なのである。




「だから何だ」と言われるかもしれないが、ちょっと待ってほしい。




 日本教を信仰することによって、浮かび上がってくる不都合な事実があるのだ。




 それは、この日本教の教義から外れることによって、年間2万人ほどの自殺者が発生しているということである。




 学校なんか行かなくていいのに、虐められたから自殺する。




 辞めればいいのに、ブラック企業で過労死する




 彼ら彼女らは、日本教の教義から逸脱した結果、自ら死を選んだ。




 死んだところで、日本教には来世がない。




 ただメディアなどで




「若い命が、惜しくも失われてしまいました」




 など、レールに乗っかって長生きすることを良しとする価値観のもと、哀れみの言葉が告げられるだけである。




 自殺者2万人という数は、あの地下鉄サリン事件で失われた命よりもはるかに多い。




 無論、ここで強調したいのは、命の数ではない。


 私たちが気づかずに信仰しているもののせいで、ひっそりと人命が失われてしまっているという厳然とした事実だ。




 この理不尽な教義は、日本という国と一体化してしまっている。


 ゆえに、教義に沿えない者は逃げ場がなく、やがて死ぬことでしか救われなくなる。




 もちろんこれを、システムとして許容の範囲内だと見ることもできるだろう。




 しかし、このシステムに対しては、筆者は否定的である。


 この日本教を信じたところで、日本が没落しているという言説は止まないし、幸せになれるとも思えない。




 この社会問題に対する解決策は、筆者の中では兆しがある。それは、イスラム教に改宗するというものだが、まだ自分の考えとして煮詰まっているわけではない。




 よってここでは、ささやかな解決策を提示しよう。




 この文章を読んでくれた読者が、教義からこぼれてしまった人に対して、優しさをかける。




 そして、働かなくていいんだよと言ってあげる。


 


 もしくは、私たちが見えない根拠のない思い込みに捕らわれているという認識を普段から持ちつつ、そこから脱しようともがいてみる。




 そうすることによって、読者が本当にやりたいことをやってくれれば、筆者にとっては望外の喜びである。

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日本人の宗教から、自殺問題を考える 大天使 翔 @KURAPIKA

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