ある日、金太郎に転生した。

無限飛行

第1話

「ガウガウ《あれ金太郎、どうした》?」

「うむ、わからん。何故、俺はマサカリ担いで熊に乗っている?」


「ガウガウ《金太郎だからじゃん》」

「そうか、金太郎だからか。ん?」


「ガウガウ《どうした、金太郎》?」

「…さっき焼き芋を喰った後、バスに乗ったんだが、急に腹が痛くなってな。しばらく我慢していたんだが、我慢しきれなくてな。ついスッキリしたんだ。そしたら、周りにいた女子高生達にサンドにされてな。気づいたら金太郎に転生してたらしい」


「ガウガウ《そっか、大変だったな》」

「うむ、浮気してな。妻との離婚協議に向かう途中だったんだが、いわゆる敵前逃亡になった様だ。死んでしまったが、ある意味、ラッキーだったな」


「ガウガウ《死んでラッキーって》??」

「実は、妻のヘソクリを使い込んでいてな。バレるのは時間の問題だった」


「ガウガウ《なんか金太郎、いやな奴かも》?」

「まあ、こうして文字通り、第二の人生歩めるんだ。神様に感謝だな」


「ガウガウ《神様、後悔中》?」

「ところで、これからどこにいくんだ?」


「ガウガウ《忘れたのか、友達に会いにいくんだろ》?」

「友達、誰だ?」


「ガウガウ《浦島太郎だろ》?」

「ほう、あの浦島太郎か」


「ガウガウ《なんか、プレゼントがあるから来てくれって》」

「…………」


「ガウガウ《デッカイ箱、用意して待ってるって》」

「今日は、止めておけ。今後、奴は敵だ」


「ガウガウ《あんなに喜んでいたのに》?」

「二度と会わん。それより、腹がへったな」


「ガウガウ《きび団子なら貰えるよ》」

「きび団子?まあ、いいじゃないか。だれに貰うんだ?」


「ガウガウ《キジどんだよ》」

「キジ、桃太郎の仲間のか?」


「ガウガウ《会った事ないのに、よく知ってるね》?」

「まあな」


「ガウガウ《でも、ちょっと違うよ》」

「ん?何が違うんだ?」


「ガウガウ《仲間じゃなくて、肉壁って言ってたよ》」

「…………」


「ガウガウ《卵を温めなきゃいけないのに、桃太郎の命令に身体が従っちゃうって言ってたよ》」

「どういう事だ?」


「ガウガウ《きび団子食べたら、桃太郎の命令に逆らえないんだって》」

「…………」


「ガウガウ《それで桃太郎から、肉壁が足らないから、きび団子を使って肉壁を増やせって言われて、配ってるって言ってたよ》」

「キジには、二度と会うな。きび団子は捨てろ!」


「ガウガウ《駄目だよ、桃太郎の命令は絶対なんだ。金太郎も食べてもらわないと》」

「な、んだと?お前、まさか」


「ガウガウ 《食べたよ、たった今》」

パコンッ、ゲッ、コロン、チャンポン


「 ガウガウ《痛、金太郎、何するのさ。きび団子を吐き出しちゃった》!」

「きび団子は捨てろ。桃太郎には、二度と会うな。ん?、チャンポン??」


「ガウガウ《きび団子、そこの池に落ちちゃったよ?!》」

「いやな予感がする。早く、ここから立ち去ろう」


「ガウガウ《池から、美人のお姉さんが現れて、スワヒリ語でなんか言ってる》」

「やはりな、スワヒリ語?」


「ガウガウ《きび団子を落としたのは、どなたって、言ってるよ》」

「分かるのか?」


「ガウガウ《32ヵ国語、分かるよ》」

「お前、熊の癖に博識だな?」


「ガウガウ 《東京外国語大卒だよ》」

「………突っ込みたいが、止めておこう」


「ガウガウ 《次の3つのきび団子の内、貴方が落としたきび団子はどれですか?って言ってるよ》」

「読めた展開だが、一応、聞いてやろう」


「ガウガウ 《洗脳きび団子、ウンコ味のきび団子、きび団子味のウンコ、毒りんご》」

「なんで4択、どれも要らん!最後の二つは、きび団子ですらない。しかも、番組が違う!」


「ガウガウ 《どれか、選らばないと帰さないって言ってるよ》」

「く、なら、ウンコ味のきび団子を貰うと言え!」


「ガウガウ 《ここは、きび団子味のウンコでは?》」

「ふ、俺は騙されない。きび団子味のウンコは、何処までいってもウンコなのだ」


「ガウガウ 《成る程、流石、金太郎なんだな》」

「当然だ」


「ガウガウ《美人のお姉さんが、金太郎が可愛いので全部上げるって言ってるよ》」

「いらんわ!」


「ガウガウ《貰わないと皿をかぞえるって言ってるよ、うらめしや、だって》」

「怖?!、く、仕方ない。貰いたいが、入れ物がないんだが?」


「ガウガウ《皿に乗せてフリスビー的に渡すって》」

「止めろ?!危ない、色んな意味で!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ガウガウ《結局、手渡しだったんだな》」

「くそ、皿を持った時、うっかりウンコが親指に!」


「ガウガウ《おいらの毛皮で拭かないでほしいんだな》」

「……」


「ガウガウ 《どうしたんだな?》」

「その毒りんごを使えば、皆を桃太郎から解放出来るかもしれん」


「ガウガウ 《本当か。そりゃ皆、喜ぶんだな。どうやるんだな?》」

「洗脳された振りをして、桃太郎にファンからの贈り物として渡す」


「ガウガウ《そりゃ、名案だな。なら、これを食べるんだな》」、ガポッ

「う、ぐ、き、貴様、何をする!」


「ガウガウ《洗脳されないと、近寄れないだな》」

「馬鹿!振りだ。振り!って、何ともないんだが、何を喰わせた?」


「ガウガウ《きび団子、味》」

「デロデロデローッ」


「ガウガウ《金太郎、毛皮に吐かないでほしいんだな》」

「き、貴様、何を、ガポッ??」


「ガウガウ《残さず食べないと、板さんに悪いんだな》」

「今度は、何を喰わせた?」


「ガウガウ《ウンコ味?》」

「デロデロデローッ」


「ガウガウ《また、毛皮に吐かないでほしいんだな》」

「き、貴様、わざとか?」


「ガウガウ《何の事?》」

「く、天然か。なら、お前はこれを喰え!」


「ガウガウ《ガポッ、洗脳されました》」

「ふ、よし、その毒りんごを持って、桃太郎に渡し、ファンからのプレゼントだと言え」


「ガウガウ《ファン?》」

「セーラー服を着たファンだと言え!そうすれば、奴はイチコロだ」


「ガウガウ《どこに?》」

「く、待ってろ。ガサガサ、これでどうだ。セーラー服を着たぞ!」


「ガウガウ《行ってくるんだな》」

「ふう、やっと行ったか。これで上手くいけば、桃太郎が鬼から奪った財宝は俺の」


「ガウガウ《戻ったんだな》」

「早!どうだったんだ?」


「ガウガウ《忘れ物なんだな》」

「忘れ物、ガポッ、?!」


「ガウガウ《板さんに悪いから全部、食べるんだな》」

「………」


「ガウガウ《金太郎?寝たんだな?》」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ガウガウ《あれ金太郎、どうした》?」

「うむ、わからん。何故、俺はマサカリ担いで熊に乗っている?」

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ある日、金太郎に転生した。 無限飛行 @mugenhikou

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