第2話

はっはっは!デーブ!


オタクー!


きめえんだよー!


その顔が、いやです・・・。怖い・・・。


---

「・・・。」

私は・・・。何かしてあげないと・・・。


彼と・・・。ミツルギさんと宿にきて・・・。

たしか、お互い疲れて寝てしまったんだと思う。

この宿は安いので、ベッドが悪いし、小さい。


ミツルギさんは私にベッドを与えて、床で寝ている。

湿ったところで、寝ているので、きっと悪夢にうなされているんだと思う。

額から汗をかき、あんなにたくましい体とお顔なのに、苦痛の顔で歪んでいる。


---


ん?

あれ?

なんかいい目覚めでござる。こんなに気持ちいい目覚め久しぶりでござる。


朝日・・・。ちゅんちゅん・・・。

朝チュンでござるか・・・。


ん?暖かいでござる。


腹の上に何か乗ってるござる。


あ・・・。まずいシェリルの掛け布団が落ちたでござるか・・・?

いかん。あんな体では風邪をひいてしま・・・。


「すぅ・・・すぅ・・・。」

・・・。


あれ、シェリルが腹の上で寝ているでござる。


なんか、心が安らぐような。甘い香りがするでござる。


あぁ、多分・・・。この指輪とシェリルの力・・・。

まさか・・・。転生してこんなに多幸感を味わえるとは・・・。


これが指輪の効果・・・。離れられなくなる・・・。

そして、今気がついたでござるが、結界みたいなものがはってあるでござるな。


安全地帯というか、快適空間(コンフォートゾーン。略してコンフォでいいでござるか)ができてるのでござるな。


こんな多幸感・・・。これが恋人・・・。愛してる人と眠る感覚なのか。


「ぁ・・・。」

「む、目覚めたでござるか」

「お互い気持ちは同じようじゃな。お主も悪夢ばっかり見るタイプだったでござるか」

「この指輪の効果でござるよ。」


拙者は、少女と掌を合わせる。


「世界中冒険しようと思ったけど、どうやら、引きこもりが一番幸せなんでござるな。」

「・・・。」

「何?まずは二人のお家でござるか・・・。それもそうじゃな。」

「ええと、昨日何を離したんだっけ・・・。」

---

確か昨日は・・・。



----

「・・・。」

「んん、とりあえず安宿にきたが、飯はまぁまぁでござるな。」

「お主はやっぱりあんまり食べられないのじゃな。拙者と逆でござる。」

「・・・。」

「ん?拙者がいた世界でござるか?」

「あんまりいい思い出はないでござるが・・・」


走る車、空飛ぶ飛行機、高い建物、パソコン

「・・・。」

「そうじゃな。だいぶこの世界と違うでござる。ここは中世くらいなので、うーん。500年以上前でござるかな。ただ、もしかしたら荒廃した世界の未来かも知れぬ。ゲームのような感覚でござる。ただ、まだ世界がどうなってるかわからぬ。少し旅もしないとわからぬかもなぁ。」


「・・・。」

「ん?ほう・・・。やっぱり未来というわけではないでござるな。馬車が高級品・・・。剣と盾と弓で、銃はなしでござるか・・・。」


「・・・。」


「ふむ・・・。地下鉄もないでござるか・・・。」

「・・・。」


「何?昔話で、地下帝国・・・?ふむ・・・。」

「・・・。」

「いや、フィクションでさえ、面白いのでござるよ。」

「・・・。」

「うーん・・・。やっぱりちょっと気になるでござるな・・・。地下か・・・。」

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少女は声が小さい 加藤旭 @akira69

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