第3話
「笑われるかも知れませんが、私はそれでも幸せでした……」
「え? ごめん……聞こえなかった。何か言いましたか?」
「いえ、いいんですよ。私は遠くへ行きますが、一目でも会いたかったな」
ぼくは急に居酒屋全体が仄暖かくなるのを肌で感じた。
夕方で陽が沈んでいると言うのに淡い光がカウンター席を照らす。
そう、彼女を中心に。
ああ、この人は死んでいるんだなとぼくは思った。
もう、この世にはいない。
そう、名前は佐藤 恵。
ぼくの最初で最後の愛人だった人だ。
最後の別れの時に、ぼくと娘のために、二人でクマのぬいぐるみを買おうと言ってたっけ。
「さあ、一緒にいきましょう。娘に会いに……」
ギフト 主道 学 @etoo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
心の癌/主道 学
★20 エッセイ・ノンフィクション 連載中 108話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます