末代までの恥

夏伐

優しさ

 俺の彼女は霊感があるらしい。


 ときおり不可解な現象が起きる俺の部屋を見てもらう。


 俺が恥をかいて死にたくなると、テーブルの上に和紙に包まれた小刀が現れるのだ。


 それに驚くが、ただ一瞬のことで、目を離すと消えてしまう。


 彼女は俺の部屋を見て、大笑いしはじめた。


 侍がいるという。


 彼は優しさから、俺が羞恥心でいっぱいになると刀を構えて小刀を手の届く所におくという。


「切腹しろってことかよ……」


「今なら"まだ"末代だからって」


 彼女は腹を抱えて何もない空間を指さした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

末代までの恥 夏伐 @brs83875an

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ