遡 今日子さんは義妹
僕――
同じ歳の同じ学校。
隣のクラス。
十七歳になるところ。
髪色は栗毛色を少し薄くしたような光によっては金色。
目鼻だちはくっきりスッキリ。
おそらく容姿端麗の部類。
口癖は愛してるか大好きか結婚して。
今、彼女は僕のお腹に
その彼女の長い栗色の髪が僕の顔を
つまり――彼女の顔が10センチくらい近くにある。
くっきりした彼女の二重の下にある瞳が僕を捉えている。
僕が彼女の視線から目をそらすと強引に真正面を向かせられる。
それを言葉もなく繰り返されている。
僕は今、両の手。
両の足を紐状の
そう断言出来るのは手首足首が締め付けられているから。
その
そうすると、彼女の茶色がかった瞳の中にいる僕も苦悶の表情を映し出している。
と、同時に彼女の表情筋が緩み微笑を浮かべる。
更にはその度に彼女の髪が揺れ、シャンプーなのか石鹸の香りが僕を襲う。
僕は声をだそうとも抵抗を試みる。
すると、
「しーっ……」
と、彼女は右手の人差し指を僕の唇へ触れてくる。
僕の身体は極度の緊張で吹き出した冷や汗と脂汗でベットシーツまでびちょ濡れの状態である。
それを先程同様に『何度も何度も』これを繰り返される。
酸欠状態が続き心臓も壊れそうな程の鼓動を続けている。
それでも何かしらの言葉を出そうとする。
すると……。
――ピピッ
日付が変わったことを知らせる音がした。
その瞬間――彼女の唇から現れる薄い紅色の生き物が僕の口腔内へと侵入してきた。
それはゆっくりと僕を
そして、
その生き物は僕の中で暴れるように僕に絡みついてくる。
形容し難い粘性の強い唾液が絡み合う音だけが部屋に響いている。
僕は頭が真っ白で思考もままならなくなった。
「今日子さん……」
「ん……」
一時間。
それとももっと長い時間なのか。
僕は何も考えることが出来ない。
ただただお互いの口中でじゃれ合い――暴れる獣を感じている。
この時。
彼女の誕生日になった零時。
今までの僕の記憶に関する悩みや葛藤など無かったかのように。
僕は堕ちてしまったのだと感じた。
「お兄ちゃん、私三回繰り返してきたの」
「?」
「なんでかこの前の日以降――毎回愛美ちゃんに奪われたんだ。お兄ちゃんを」
「ん?」
「いいの。もう。誕生日のプランを私に任せたお兄ちゃんが悪いんだよ?」
「? とりあえず――縛ってるの解いてほしいです」
「だーめ。ふふ」
「トイレはどうすれば?」
「むぅ。雰囲気ぶち壊しだね――お兄ちゃん」
(大丈夫だよお兄ちゃん。全て何もかも私に委ねて)
と、彼女は
しかし、なんでこんな事になったのだろうか。
目が覚めたらこの状況だった。
その前のこともあやふやで――お風呂? にいた気がするんだけれど。
まさかとは思うけれど、また本の力なのだろうか。
「なのかな。ていうかお兄ちゃん――私続きがしたい」
「……」
「あのゲームのせいで我慢できない」
ゲーム。
結婚イベントか。
それとも……。
「そう――お兄ちゃんとセックスがしたい。今」
「さすがに……」
「大丈夫だよ。ピルは飲んであるから」
その言葉と同時に彼女は自身の布を脱ぎさっていく。
いつもなら目のやり場に困り戸惑うのだろう。
けれど、その彼女に身に付けられている深紅の下着に手をかける彼女の指から目が離せずにいる。
僕は油断していた。
先程の行為で彼女が満足したと思い込んでいた。
だけれど決して満足などは無く――決壊したダムのように欲がとめどなく溢れ出ているのだと。
それは僕も等しく同じだった。
いくら人付き合いが無いとはいえ結局のところは男なのだ。
血の繋がりが無いとわかったからなのか。
それとも、彼女が言うように元からこうだったのか。
僕はいまだに縛られたままの状態だ。
顔と口くらいしか自由がきかない。
彼女は。
彼女は朝までただひたすらに。
何度も何度も自らの動きで果て。
何度も繰り返し求めてきた。
それだけでは収まらないのが彼女の欲だった。
この夜を彼女は、いや彼女の日記本は三回に渡ってループさせてしまった。
朝になればまた零時に戻りまた朝を迎える。
それが彼女の口からでた三回という拘りなのか。
たまたまだったのか。
彼女が口にした彼女の名前の事などは直ぐに頭から抜け落ちていた。
当然二日目には僕が唯一自由がきく顔と口。
その箇所での行為ですら彼女は何度も果てていた。
その度に彼女はお湯を用意し僕の身体を拭いていく。
それでも彼女に満足という言葉も表情も無かった。
いつ彼女は。
何のきっかけで。
抑えがきかなくなったのか。
結局夜を三度繰り返しても結局わからなかった。
彼女の言うようにゲームだったのか。
それとも元から抑え続けた反動なのか。
高校生だからブレーキが緩いからなのか。
三回だか何だか言ってた気がするけれど思い出せない。
彼女はただ貪欲に
快楽という欲に飲まれた女子高校生の
この二十時間程を繰り返しての貪りの合間。
その間の食事や他の処理も全て彼女の言っていた『委ねて』と言う通り、やはり全てが彼女による奉仕だった。
階下にいたであろう母は大丈夫だったのだろうか、と。
繰り返しから解放され――少しだけ冷静になった朝に何となく僕は呟いていた。
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