第7話:進路選択

「あらら、先んじられましたね」

「ウル学園長直々、とはね。あの演出にはさすがに太刀打ちできない、かな。うちの学校で貸与型だと普通の騎士じゃ十年返済にかかっちゃうし。まあ、メガラニカ騎士団に入団なら同じくチャラだが。その手はあまりとりたくないよねえ」

「どちらにしろ無理やり同じ条件にしても、英雄ウル学園長が直接ってのは、格別っすよねえ。ま、俺はジュリアちゃんがうちを選んでくれることを願うばかりです」

「そっちはたぶん、大丈夫だと思いたいね」

 暗躍しようとしたメガラニカは一本取られた形となり、喜び合う三人を見て「まあ仕方ない」と肩をすくめる。いい素材かもしれないが、大成するかは育ててみないと分からないのもまた育成。育成には色んな要素が絡み合うのだ。

 彼はうちに合わなかった、とりあえず彼らはそう思うことにした。

 それはそれとして――

「ただ、うちと違ってアスガルドにおける枠って言うのはフル・スカラの枠じゃなく、貸与型、一般の編入試験なども全部ひっくるめた編入枠のはず。すでに上限の二枠を使っているはずなんだが、はてさてウル学園長はどんな裏技を使ったのやら」

「そもそもアスガルドで貸与型って入学した後、家が傾いた学生用みたいな話しか聞かないんすよね。どうにもきな臭いなぁ」

「何かあるかもしれない、で入学させるほど御三家の腰は軽くない。特にアスガルドはそれが顕著なはず。普通じゃあない。まあ、いずれ分かる日も来るだろう」

 何か意図があるかもしれない、それが長年スカウティングに携わってきた男の勘、であった。それが何かまではわかりかねるところではあるが。

「ちなみに、どうやら御三家とは違う、うちみたいな尻軽、ウル学園長見て悔しそうに散開していきましたね。同じ穴の狢、嗚呼、私立の弱さよ」

「予選の時点で唾つけてた私立は少なくなかったんだろう。上を説得するための実績に欠けたがゆえ、フル・スカラを与えることは出来なかったが、貸与型であればうちのようにオプション盛り盛りで引っ張ろうとしたところもあったはず」

「その辺、融通が利くのが私立の良いところなんですけどね。今回は英雄ウル学園長の一本釣りの前に全員撃沈、やられたやられた」

「まあ、まっさらな子が御三家、しかもその中でも融通の利かない方のアスガルドっていうのは決して良い選択だとは思わないがね。相当きついと思うよ。正直、地元で手厚そうなイリオスの方が楽かもしれない」

「あー、絵が見えますわ。地獄絵図が」

「私立ならその辺もしっかりケアしてあげられるんだけどなぁ」

「何だかんだと引き摺ってるね」

「ウル学園長が出張ってきたせいで大物を逃がした気がして……悔しいですッ!」

「あはは、これでジュリアちゃんも逃したら俺も泣いちゃいそう」

 メガラニカ勢もまた会場を後にする。

 ここから先は得た者の選択。与えた者は待つしかないのだ。


     ○


 緊張の反動、ホテルの食べ放題にて周りがドン引きするほどの大食いを見せた三人衆は、フレンの部屋に集まって作戦会議を開始する。

「業界には、一家言あります」

 一人で前に立つはフレン・スタディオン。相思相愛のログレス行きを決めたからこそ、彼に関しては何も考える必要がない。対してクルスやジュリアに関してはまだ決めかねていることもあり、こうして彼が助言側に回ったのだ。

 名門の騎士一族、業界に関しての知識は分厚いものがある。

「まず、お手元に各自の資料を用意した。しかと目を通すように」

「何のキャラよ」

 ジュリアのツッコミをスルーして、フレンはクルスの方に視線を向ける。

「リンザール君、君は騎士の学校をどんな基準で選ぶ?」

「え、と、その、何だろ、実績、とかかな?」

「いい答えだ。では、その実績とは具体的には何か? 騎士団に入った人数、割合、それ以外の進路も含め、様々な尺度がある。そこで活用するのがこれ、迷える騎士学校の生徒にお馴染みの就職騎士報、だ!」

「しゅ、就職騎士報?」

 フレンが何処からともなく取り出した分厚い冊子を見て、クルスは少したじろいだ。そもそも先ほどから明らかにフレンの様子がおかしいのだ。

 目標達成の喜び、世話焼き、説明したがりのトリプル悪魔融合を果たした今の彼は、言ってしまえばかなりハイになっていた。あとで悔いる程度には。

「そう。ここには世界中の騎士学生から有料無料、とにかく情報を集めに集め、世界中の生の実績が、声が詰まっている。学校関係者は蛇蝎の如く嫌い、この出版社は大体の学校で出禁を喰らっているが、それでも情報は集い、我々学生にとって強い味方となってくれる。さあ、まずフル・スカラを取った学校の情報を見て行こう」

「……イリオスと、あとは、ん、んん⁉」

 パラパラと冊子をめくると、そこには驚愕の内容が記載されていた。

「イリオスで去年、五人、おととしは四人、五年前に至っては、三人だけ? え、他のところはもっと少ない。ど、どういうこと?」

「そう。それが現実! 騎士学校が増え、逆に騎士団自体は縮小傾向となれば、そう成るのは必然。ちなみに御三家でさえ――」

「……昨年十八人、おととし二十人、十五人、十人の年もある⁉ え、レムリアやログレスも、多少良いとはいえ、割合的には似たような」

「ざっくり半分強、悪い年は半分を切ってしまうこともある。ひと学年三十人から、多いところで四十人、メガラニカとかでも五十人……御三家、準御三家、全体の上位一割とされる名門の学生でも、半分は騎士になれない現実がある!」

「な、なんだってー⁉」

 衝撃の真実を前にクルスの顔が凄いことになる。

「もちろん、団に入れず騎士に成れなかったとはいえ、騎士学校の卒業者は皆、教養と礼節を身に着けているから、高給取りの執事や警備員などの潰しは利く。路頭に迷うことはまあ、ないんじゃないかな。何だかんだで」

「な、なるほどぉ」

「その現実を理解した上で、実績面での学校選びのポイントは主に二つ、直系の団へどれだけの枠があるか、とそうではない団に対してどれだけのブランド力を持つか、だ。この二点を精査する必要が、ある!」

「直系の、団?」

 フレンが待ってましたとばかりに口を開こうとすると――

「私立も国立も、基本的には騎士学校の上には騎士団があるの。大体は学校の運営にも関わっているしね。直系の団ってのはそう言うこと。イリオス王立騎士学校ならイリオスの国家が運営する騎士団の枠があるの。去年の五人中、三人四人はイリオスの団に入っているはずよ。このランクだとそれが大半だし」

「な、なるほどなぁ」

 暇を持て余したジュリアが全部説明してしまった。フレンはちょっぴり拗ねる。

「枠の数は重要よ。イリオスは騎士報見る限り、たぶん毎年三つか四つ、その椅子を三十人で争うわけ。これはまあ標準よりちょっと少ないくらい。で、あたしが保留にしているメガラニカは、毎年二十人以上の学生を自分のとこで取っているの」

「うわ、本当だ。学年の人数も多いけど、騎士になった数もぶっちぎりだ」

「資金力のある宗教組織が母体だからね。金はあるし人もいる。騎士になるだけなら、ここ以上の学校はないんじゃない? 世の中金よ、金」

「ふわぁ」

 田舎者のクルスは社会の荒波、その片鱗を前に呆然としてしまった。何処でも良いから行きたい、その考えの甘さを痛感する。

「ごほん、でも、自前の枠だけが大事なわけじゃない。皆そこが第一志望だし、競争は熾烈だ。そこから零れ落ちてしまうこともあるだろう。そこで大事なのが学校のブランド力、自前の団以外でどれだけ名前の通りがいいか、採用されるか、そこがある意味騎士学校の地力と言っても良いだろう」

 強引に話者を取りに行ったフレン。結構拗ねていた模様。

「騎士に成る、これを最大の目標とするなら、就職実績を重視した選び方をする方が良い。ただ、もちろん数字で見えない部分もあるけどね」

「そうなの?」

「当たり前でしょ。イリオスに通う三十人とアスガルドに通う三十人、同じレベルの学生だと思う?」

「あっ」

「そういうこと。上位校は数字の上では多く見えても、競う相手も優秀になっていく。逆に中堅、下位の学校は学生の質が低いから、自分の実力にそれなりの自信があるなら、あえて下の学校に行くのも手だ。枠を取るためにね」

「実際、上位の学校から逆に下位に行く連中は大体それ狙い。あと、年によって当然学生のレベルも変わるしさ。運の要素も強いわね」

「絶対はない。でも、ある程度の目安は数字でわかる。あとはクルスがどう考えるか、だ。クルスの場合は給付型と貸与型ってとこも考えないといけない。確かに騎士はそれなりに高給取りだし、借金を抱えても何とでもなる。けど、騎士に成れなかった場合、それは大きな枷になるはずだ」

「まあ、高いよね。特に私立は。あたしの知り合いでもいたもん。親が事業に失敗して、それなりに成績優秀だったけど学校辞めさせられた子」

「そ、っか」

 クルスは真剣に考える。自分には二人のように支えてくれる人はいない。彼らにとってスカラは絶対ではないけれど、自分にとっては絶対に必要なのだ。そして、アスガルドを選べば返す方法も考えなきゃいけない。

 正直、気持ちの上では英雄ウル学園長直々の招待に胸躍り、アスガルドを選びたいと言う気持ちは大きかった。だが、話を聞いていてわかったのだ。

 そういう気持ちだけで決めて良いものではないのだと。

「じゃ、クルスが考えている間にジュリアの決めちゃおうか」

「もののついでじゃん」

「もう決めているんだろ、君のことだし」

「まあ、ある程度はね」

 ジュリアが広げたのは王立マグ・メル学院とメガラニカ私立騎士学院の資料であった。どちらも大会の協賛でホテルにパンフレットが用意されていたのを、フレンがきっちり回収してきたのだ。

「他は?」

「元々、レムリアじゃなかったらメガラニカにしようかなってのは決めてたの。でも、マグ・メルも良さそうじゃない? だから悩んでる」

「なるほどね」

 魔導によって立体的に映し出されたミニチュアの学校俯瞰図など、パンフレットからして力が入っている。御三家を追い越せ追い抜けとばかりにこういったところにもお金をかけているのだ。そういう意味でもこの二つは素人目に良さそうである。

「でも、ぶっちゃけ施設なら」

「まあ、メガラニカよね。共和都市ユニオンのすぐそばという好立地なのに、土地が広い。そして施設もキレイ。制服は普通。でも、トイレなんて」

「魔導洗浄機能付、か」

「なに? その魔導洗浄機能って」

 クルスの問いに対し、

「普通は大きい方をした時、何かでお尻を拭くだろ?」

「うん。木の棒で擦るね」

「そうそう、木の棒、で?」

「は? あんた何言ってんの?」

「え、いやだって、トイレでしょ? 大きい方をしたら木の棒でさ。あ、フレンとかは隣の村みたいに紐を使ってるんでしょ。そこは分かれるよねー」

「いや、分かれねーよ。紙使うし」

 ジュリア、真顔。フレンも何故か頭を抱えている。

「紙? 肥やしにするのに? 混ざっちゃうよ」

「ま、まさかあんたの村って、その、トイレは水洗ですら、ないの?」

「すい、せん?」

「……あんた、今までこのホテルでどうやってトイレしてたのよ」

「いやぁ、緊張していたらここ数日大きい方が全然出なくてさ。でも凄いよね、小さい方をする所なんて勝手に水が流れるんだよ! びっくりした」

「それが水洗よ、田舎者」

 洗浄機能がどうこうの世界ではなかった。トイレに関してはこの男、百年前と変わらぬ環境で生活していたのだ。信じられないカルチャーショックに、ジュリアもフレンも言葉を失っていた。結構、ガチめに。

 クルスは二人から色々聞き、戦慄する。この百年で世界中爆発的に様々なモノが発展、進化を遂げた。その最たるものが、そう、トイレである。

 クルスの村は古式ゆかしい汲み取り式、畑にも利用する。しかし、現在都市部での主流は下水道を用いた水洗式であり、いなかっぺからするとすでに革新的なのであった。しかし、メガラニカはその上、洗浄機能まで付いていると言う。

 お尻を拭く必要すらない。これを人類の革新と言わずしてなんとする。

「べん、ざ?」

「……クルスは、たぶんどの学校に行っても幸せだと思うよ。トイレに関しては」

 仕方ないのだ、ド田舎出身だもの。

「トイレもそうだけど私立だし、あるんでしょ、オプション」

「……まあねえ」

 フレンの言葉にジュリアは苦笑いを浮かべ、頷いた。

 その理由は――

「授業料、生活費、寮費などは全額支給。制服、教科書なども支給。まあこの辺りは普通かな。こっからがメガラニカって感じ。娯楽費が毎月、一万リア支給、騎士剣のメンテナンス(年四回)及び買い替え(在学中一度)補助有り。通期補講、夏季の特別補講なども無料で参加可。夏季留学費学校負担――」

 ジュリアは以前貰った資料を読み上げる。

「で、極めつけのオプションは――」

「――メガラニカ騎士団への入団資格、かぁ。とんでもないよね、これ」

 クルスはジュリアのオプション内容に卒倒しそうになる。

 騎士になるために学ぶ、つまるところ学校とは通過点でしかない。どれだけの名門校を経ても騎士になれない者、というのは前述の通り存在する。各騎士団には当然定員もあり、平和の時代ゆえ年々全体的に枠も縮小傾向にあるのも説明済み。

 そんな中、目の前に確定切符があるのだ。

「メガラニカ騎士団が大所帯って言っても、当然毎年とんでもない数の学生が落ちているわけだ。それが確定、学校としてはこれ以上ないオプションだよ」

「別に実力で騎士に成るし、あたし的にはそんな惹かれないけどね」

「言うなぁ」

 逆に言えば、これだけしても国立を選ぶ者がいる、と言うことなのだろう。国立至上主義、それは学校以上に騎士団にも見られることであり、優秀な学生はやはり国立を目指す。メガラニカの学生もまた例外ではないはず。

 実際にメガラニカ私立騎士学院もパンフレットで国立騎士団への就職実績も記載している。自前の騎士団よりも目立つ形で。

 しかし、本音は流出する人材を囲いたいはずなのだ。

「すごいなぁ、メガラニカ」

「騎士団まで優秀な人材を囲い込むための、恩の押し売りとも言えるけど」

「……怖い」

 恩を着せ、メガラニカに囲いたい。そう考えると評価されていると同時に、これだけのオプション群が彼女を囲う檻にも見えてくる。

「マグ・メルも名門だし、制服も可愛い。設備もメガラニカには劣るけど、国立の中じゃレムリアの次に綺麗だし好み、なんだけど――」

 ジュリアの貌が、獰猛に歪む。

「でも、私はメガラニカにする。評価してもらったことは横に置いといて、負けっぱなしはありえない。テラはぶっ潰す」

 ジュリアは笑みを浮かべながらぶちキレていた。もうこれ以上なくメガラニカの策略は彼女に対し有効であったのだ。主席をぶつけ、倒し、逆襲させるためにメガラニカ行きを決めさせる。彼女は誰よりも負けん気が強かった。テラに敗れた時点で、彼女の進路は決まっていたのだ。逆襲のために。

「で、クルスはどうする?」

「……ダサいけどさ、二人が俺の立場なら、どうする?」

 クルスの縋るような眼を見て、二人は考え込む。共に戦った戦友のために、真摯に、我が身のことと思い、彼らは考えてくれた。

 その上で――

「僕ならアスガルドだ」

「あたしはイリオス、アスガルド以外ならここが一番無難でしょ」

 二人の意見は、割れる。

「意外だね」

「そう? 地元ってのは結構団入りの際有利だし、ゲリンゼルって田舎から来たって言う特異性も理解されやすいでしょ。他国に比べたら」

「うん、まあ、確かにそうだね。間違いなく地元びいきはある。同じ実力、成績の学生が並んでいれば、騎士団はほぼ地元の学生を取るだろう。団をやめた後のことを考えても、地元に残って国家に還元してくれる可能性が高いから、ね」

「その上、クルスには座学って明確な穴があるでしょ? あたしが言えることじゃないけどさ。イリオスなら大事にしてくれる可能性が高いし、言い方は悪いけどイリオスのレベルなら、たぶん何とかなると思う。でも、アスガルドは厳しい。あまりその辺り融通の利くイメージないし、あたしがクルスならイリオスで安定を取る」

 ジュリアらしくはない。だからこそ、親身になって考えてくれたことがわかる。彼女ならばそうしないけれど、他人にはその道を進める。

 それがきっと安全で、安定しているから。

「その辺りを加味した上で、僕はアスガルドを推すよ。卒業さえ辿り着ければ、騎士に成れずともアスガルド卒と言う経歴が手に入る。御三家のブランドは未だ健在、僕はクルスならきっと、卒業できると思う。実技だけなら、たぶん現状でもイイ線行ってるからね。なら、挑戦すべきだ。より高みに」

 フレンはクルスの力を見込み、あえていばらの道を推した。これもまた彼なりの思いやりなのだろう。妥協せず、ログレスへの道を掴み取った彼なりの。

 騎士に成るなら――

「……自分で考えてみるよ」

「ああ。一晩、じっくり考えるといい」

「あたしは制服見る度に心揺れるのよね」

「決めたならパンフ閉じなよ」

「でも、こういうの見るの楽しくない? しかも今のあたし、選ぶ立場だし」

「「あははは」」

 明日には別々の道へ向かう三人。ほんの少し、道が重なっただけであるが、彼らは互いのことを友人だと思っていた。共に別の場所で騎士を目指す同志。

 次に会う時は――

「どの道であろうと、いつかまた三人で肩を並べられることを祈るよ」

「精々あたしの足手まといにならないように、二人共頑張りなさいな」

「あはは、うん、頑張るよ。二人に負けないように」

 より騎士に近づいていよう。いや、騎士に成っていよう。

 覚悟と決意を、彼らは騎士剣に込め、掲げ、重ねる。

 いつかまた、道が重なることを祈りて。


     ○


 クルスは一人、部屋で考え込んでいた。最初に、自分に騎士への道を示してくれたのはイリオスである。涙が出るほど嬉しかった。認めてくれた、騎士に成っていいのだと、目指していいのだと、他者から認められた気がしたから。

 だが、頭の中で数字が踊る。

 騎士への険しい道。そこへ手を伸ばす時に、果たして安易な道だけで辿り着けるだろうか。何故かクルスの脳裏には、ゲリンゼルの麦畑が浮かんでいた。屹立する黄金の穂波、ああなるまでに麦は何度も踏まれ、立ち上がり、また踏まれ、立ち上がり、その度に強く、高く天を目指すのだ。

 それに――

『私のはアスガルド流の礼法だが、ね』

 運命もまた、追い風となる。

 腰の剣が運命を、道を、指し示してくれた気がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る