第39話 よしよしされたり

purinmania:あやまってきました


おつぼねぷりん:話せました? 伝わりました? どんな感じでしたか? 許してもらえました?


 おつぼねぷりんは、まだ起きていた。


purinmania:許さない、って言われました


おつぼねぷりん:うーん、すぐにはだめか


おつぼねぷりん:でも、誤解だっていうのは伝わりました?


purinmania:わからないけど、言いました。っていうか、ヤバかった。告りそうになりました


おつぼねぷりん:なに、可愛いって言ったら告りたくなっちゃったんですか


purinmania:流れで。ごまかしたけど。すごく難しいミッションだった


おつぼねぷりん:頑張りましたね。本当に頑張りましたね。よしよし


purinmania:おつぼねぷりんさんによしよしされた(笑)言えてよかった。ありがとうございます


おつぼねぷりん:きっと、許してくれますよ


purinmania:うーん。どうですかね。許さないとは言われたし。でもとりあえず、まだ縁切らないではいてくれるみたい


おつぼねぷりん:それは、よかった。いっぱい話しかけましょう


purinmania:話しかけるんですか?


おつぼねぷりん:フォローの為に言ったんじゃなくて、本当に好きなんだよって……告るまでしなくてもね? 友達として本当に好きなんだよって、伝わるように。しばらくは自分から、話しかけるようにしましょうね。私は、高校の頃、そういうのできなかったから


purinmania:そうなんですか


おつぼねぷりん:プリンマニアさんって、すごく素直ですよね。私はなかなか


purinmania:でも、今日、たぶん、気持ち悪い感じだったと思います


おつぼねぷりん:気持ち悪くないですよ


purinmania:顔も赤くなってただろうし、不審だったし、彼女から見たら


おつぼねぷりん:気持ち悪くないですよ。彼女から見てどうかは、彼女しかわからないけど、プリンマニアさんが気持ち悪い人だとは、私は思わないです


purinmania:おつぼねぷりんさんも、あの様子を見たらそう思ったかもしれませんよ?


おつぼねぷりん:好きな子に気持ち悪がられるのと、好きな子が自分を否定して苦しい思いしてるのと、どっちがいい? って聞いたとき、即レスしましたよね、プリンマニアさん


purinmania:それは、だって、考えるまでもないし


おつぼねぷりん:彼女が苦しいのが嫌って。傷つけたままにするの絶対嫌って、即レスしましたよね。そんなプリンマニアさんが、気持ち悪い人間であるわけがないです


 おつぼねぷりんの言葉が、お前はどうするんだと、心臓の弱い所に容赦なく入り込んできたおつぼねぷりんの言葉が、今度は胸の間に、暖かな火をともす。


purinmania:即レスは、おつぼねぷりんさんが、聞いてきてくれたから


おつぼねぷりん:彼女がわかってくれなくても、私がわかります。プリンマニアさんの愛情が気持ち悪いものなわけないです。彼女がわかってるのと、私がわかってるのじゃ、価値が違うかもしれないけど。数字で考えて貰えませんか


purinmania:数字って?


おつぼねぷりん:今のプリンマニアさんを、絶対に気持ち悪いと思わない人間の数が、少なくとも、一、です


 文章を書く人というのは、こんなにも、人のために言葉を紡ぐことを、ためらわないものなのか。おつぼねぷりんさんだからなのか。


おつぼねぷりん:私の小説のフォロワーが、いちになったとき、プリンマニアさんの事ですけど……なんて違うんだろうと思いました。とくに読み専さんがフォロワーとして居てくれることが、とても嬉しかった。書いてる人は、コンテストとかの絡みで、本当に小説が好きじゃなくても星つけてきたりしますからね。だから読み専さんのハートは本当に嬉しかった。フォロワーいちとゼロは雲泥の差です。私の書いたものを、何か、どこか一部分だけでも、共感してくれた、文体でも好みのシチュエーションでも、なんでも……応援してくれる人が、同じ感覚を持っているかもしれない人が、この世界に一人いてくれた。クソみたいなくだらない理由で書いた話にまで、いいねってしてくれた。どんなに嬉しかったかわかりますか?


 同じ感覚を持っているかもしれない人が、この世界に一人いてくれた……それはまさに、わたしがおつぼねぷりんと繋がりたいと感じていた根本の理由だった。


purinmania:なんといっていいか


おつぼねぷりん:プリンマニアさんの好きな子が、プリンマニアさんを気持ち悪いと言ったら、私が言ってやる。プリンマニアさんが嫌でなければ、リアルで会って本当に言いますよ。あなたが苦しむことより自分を気持ち悪がられることを選んだプリンマニアさんが、私のことも、ネット危ないからって教えてくれたプリンマニアさんが、こんなに真心のある対応をする人が、気持ち悪いわけないだろって。私はプリンマニアさんのフォロワーみたいなものです。数字として一、加えてください。このフォローは外しません


purinmania:わたしがスプーンペロペロしてても?


おつぼねぷりん:してても。っていうか、してるの(笑)


 ――このフォローは外しません。


 強い言葉だった。キザと言えばキザかもしれない。でも、おつぼねぷりんが書く言葉は、わたしにストレートに入ってきた。本気で書いているのがわかったからだ。おつぼねぷりんの言葉は、わたしを支えるように、抱くようにしてわたしを包み込み、身体の中に入り込んで温かく震わせた。


purinmania:ありがとうございます


おつぼねぷりん:ほんと、よしよししてあげたい


purinmania:よしよししたいなんて、言ってもらうの、初めてです(笑)


おつぼねぷりん:プリンマニアさん。頑張りましたもん


purinmania:おつぼねぷりんさんが、色々書いてくれたから


おつぼねぷりん:私は書くだけで、行動できない人間なんです


purinmania:そういう感じはしないなぁ


おつぼねぷりん:私は、自分ができなかったことを、プリンマニアさんに、やれって言ったんです。自分ができなかったくせに


purinmania:できなかった?


おつぼねぷりん:プリンマニアさんに偉そうな事を言っておきながら、自分だったらプリンマニアさんみたいに動けるかわからないです。素敵だと思います


purinmania:褒められすぎて、これはこれで辛くなってきたw わたし、本当に、ただの変の態なんですけど


おつぼねぷりん:その、変の態ってなんなんですか(笑)プリンマニアさんに、聞きたいって思ってました。どうして、私が言えないでいることを、言えちゃうんですか? どうしてそんな風にいられるんですか? 私は、自分の話がしたいというより、プリンマニアさんの事が知りたかったから、会いたいと感じたんです

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