第7話 友との再会


ギーズから再び徒歩で歩くこと2日間

ボワーナ共和国の国境を通してもらい、ようやくボワーナ共和国に入ることができたころ

「ようやく着いたんですね」

左腕を上にあげ、右腕で支えながら体を伸ばしながらウラジミールが言ってきた。

「こっからもう少し歩けば、首都に着く。このまま何事もなくいけば、明日の朝には着きそうだ」

今は、曇った空から光が若干光が溢れるほど、照らしている。

「にしても、グレーマンさんは寝ないんですか?」

この歩いている道中、グレーマンは一睡もしていない。

「3日に一回は寝ないと集中できんが、まだ2日目だから平気だ」

ギーズの街にいた時よりも、若干疲れてるように見えるが、まだまだ元気そうにしている。

「ただ、今は雲行きが心配だ」

昨日や一昨日と打って変わって、この日の空は黒い雲で覆われている。

「旅には傘があればよかったんだが、生憎今は持ってないんだよな....」

肩を落とし、目線が下がるグレーマン。

「どこかで雨宿りできる場所なんてありますかね?」

辺りを見渡すが、だだっ広い一面の草原と、そこに一本の整備された道くらいしかない。

「この道中から、1番近い村まで2時間はかかるが、そんなに持つとは思えないな」

足元を見ながら、あごひげをいじり、考える。

「そういえば......ここから少し北に行った場所に今は使われていない廃村がある」

再び、前を向く。

「こっからどのくらいかかりますか?」

「そうだな....こっからなら10分くらいで着きそうだ。そこで雨をしのごう」

2人は、舗装された道から少し離れていった。

しばらく歩いていると、頭に冷たい感触がきた。

「まずいな...少し急がないと間に合わないかもしれないな...」

周りからは雨が降る音が徐々に聞こえてきていた。

「走れるか?」

グレーマンが、並走しているウラジミールに聞く。

「走れますよ。右腕の骨にヒビが入ったくらいで、走れない訳ないじゃないですか」

軽く笑いながら返す。

「それじゃあ、走るか」

雨が降り始めた中、2人は急いで走り始めた。


<そのまま走ること8分>

グレーマンが言っていた廃村に着いた。

廃村は、腐食された木の柵に守られており、ある程度木造の建物は原型を留めてはいるが、それらは雨宿りの期待性はない。

「どの建物がいいかな...」

この雨を凌げる家を探す

「あれなんかどうですか?」

ウラジミールが指さしたのは、一際目立つ苔が生えてはいるが、まだ頑丈そうな石造のものだった。

「あれがいいな」

雨は本格的に降り始めて、2人共、腕を申し訳程度に防いでいた。

「ふ〜...ギリギリ間に合ったな」

「ほぼ濡れちゃいましたけどね」

2人して、手や足首に付いた雫を落とす。

「おや、誰かと思えば参謀総長じゃないですか」

入り口の右側から声が聞こえた。

振り向くと、そこには緑色のケープコートを着たミドル世代の見た目をしており、目は緑色の人が立っていた。

「久しいな。いつ振りだろうな」

グレーマンが男性に歩み寄る。

「退任式以来ですかね?」

軽やかで、クールな感じの声に、グレーマンとは少し下の立場にいそうな喋り方をする。

「それで、その子は?」

目線をウラジミールに向ける。

「あぁ、ちょっと仕事でな。今は神風教会に用事があって、この子を連れて行っているところだ」

すると、男性は腕を組んで不思議そうに言った。

「仕事...?」

「あぁ、なんかうちの今の参謀総長が振ってきたんだ」

「そう言うことですか。なにやら、今はそちらは忙しいようですからね」

「今の軍部は総動員して、雑務をこなしているんだってよ」

「グレーマンさん。その人は?」

グレーマンが落ち合っている中、ウラジミールが声をかけてきた。

「ん?俺のことか?俺はヴォルフって言う。よろしくな」

ヴォルフは、グレーマンとの話に戻る。

「それで、グレーマン。その子は一体なんなんだ?」

ウラジミールに目線を合わせながら人差し指で問いかけた。

「この子が、さっき言っていた仕事の内容だ」

「その子が?どうして?なんかやらかしたんですか?」

「なんにもやらかしていない。俺でさえ、迷子なのかどうなのか、さっぱりのなか、あいつに頼まれてな」

手のひらを肩と同じくらいの高さで上に向け、肩を上げた。

「人手不足にも程があるでしょうに....」

と、ヴォルフがもみあげをいじりながら呆れた顔をして言った。

そんな中、2人が落ち合っていると、段々と外が暗くなってきてしまった。

「話していると、時間が経つのは早いなぁ」

大きなため息を着き、感慨に少し浸っていた。

「....さて、今夜はここで休むか」

背中に背負っていたバックパックをおろし、中から野宿用の道具を出す。

「それ、いつのです?20年以上前のものですよ?」

「用意できたものがこれくらいしかなかったんだ」

少し錆び付いてはいるが、まだ使えるランタンに、火を起こすための小型の魔法道具など、昨日も使った古いキャンプ道具のようなものしかなかった。

「それで、お前もここで夜を越すのか?」

荷物を出しながらヴォルフに尋ねた。

「そのつもりですね。朝になったら止みそうなので。あ、自分のはありますからお気になさらず」

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この世界でもう一回の旅【没】 @sou_sau_ao1371

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