クラッシーヴィエネールギアマジキュア
砂漠の使徒
第1話 チョコで悩むネコちゃん一人
「はあー……」
ため息をつく少女が一人。
彼女の頭には猫耳、おしりには尻尾がついている。
ここは、とある学園。
個性豊かな人間が集まる場所。
今回私砂漠の使徒が密着するのは、シャロールという女の子。
人の数だけ悩みがある。
彼女には一体どんな悩みがあるのだろうか。
話は数日前に遡る。
「ねぇねぇ、バレンタインって知ってる?」
白っぽい青髪をツインテールにしている女の子が話しかけてくる。
彼女の名はシエラ。
「バレンタイン?」
一方こちらの赤髪の女の子は星月アヅキ。
瞳の中の星が輝いた。
「聞いたことないなー」
そして、彼女がシャロール。
青い髪を肩までで短くそろえている。
そして、特徴的なのはそこから生える猫耳。
かわいい。
おっと、いけない。
撮影者の本音がもれてしまった。
「なんかね、好きな人にチョコをあげるんだって!」
「す、すすす!」
「好きな人!?」
見るからに動揺している二人。
シャロールのしっぽが左右に行ったり来たり。
「二人は好きな人いるのー?」
「……」
アヅキちゃんはうつむいて、黙っている。
「じゃあー、シャロールちゃんは?」
「えー、私はー」
上を向いて、目が泳ぎまくってる。
「あ、でもさ、私見たよ!」
「見たって?」
「シャロールちゃんが佐藤君と歩いてるところ!」
「んにゃ!?」
驚きのあまり、猫のような声だ。
「え、シャロールちゃんってもう……付き合ってるの?」
なかなか踏み込むアヅキちゃん。
「え、付き……!?」
「そんなんじゃないよー!」
そんなんではないらしい。
私も気になる。
「じゃあ、なんで一緒だったの?」
「いや、あれはね、あの、宿題がわからないっていうから教えてたの!」
「それなら教室でいいよね?」
「でも、佐藤が『それは居残りしてるみたいでいやだ』ってわがまま言ってね」
「……」
「おうちで教えてあげることになったの」
「ええ!?」
「それって、家に上がったの?」
「……男の人の」
「もー! 変な勘違いしないで!」
「私と佐藤は幼なじみだからよくあることなの!」
「そっかー」
「好きな人じゃないんだね」
「う……ん」
ふふふ、私は見逃さなかったぞ。
今、少し間があったことを。
そう、これが彼女の悩みなのだ。
「チョコ……」
今彼女の頭の中では、チョコレートがぐるぐる回っているのだろう。
そして、もう一つ。
「佐藤……」
やはり彼女の思い人は。
「違うもん!!!」
……びっくりした。
私の心の声が聞こえているのかと思った。
「なにが違うんだい?」
おや、あの白衣の男性は。
「いや、あの、独り言です……」
恥ずかしさから、そそくさと逃げようとするシャロール。
「待った!」
その腕をふいにつかまれる。
「ちょっと付き合ってくれない?」
「ええ!?」
衝撃の展開だ。
しかし、カメラのバッテリー切れ。
待て、次回。
クラッシーヴィエネールギアマジキュア 砂漠の使徒 @461kuma
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