あなたに恋しちゃいました♪
ハル
第1話 あなたに恋しちゃいました♪
とある喫茶店。
私は恋人の、秣山 勇輝(まつやま ゆうき)。33歳と、向かい合って座っていた。
「お前、恋人として付き合っていってると何か違うんだよな〜」
「えっ?」
「確かに最初の方は良かったけど、お前……多分、付き合うなら年下が合ってると思う」
「年下!?無理、無理!私、年下受け付けないから!」
「いや、一回、付き合ってみるべきだと思う。お前しっかりしてるから、俺みたいな年齢近い奴よりも年下が良いって!」
「いや…年下って苦手だし…ていうか勇輝が私の恋愛に、とよかく言う必要ないよね?」
「まあ、そうだけど、とにかく苦手だとしても、付き合ってみなきゃ分からない事あるし。マジで、一回付き合ってみな。俺、これ以上、お前とはやっていけないから。それに、気になる人いるし」
「…何それ…。…そう…なんだ…分かったわよ!別れてやるわよ!」
本当は、すがる思いで引き止めたかった。
だけど、私達は別れた。
彼と付き合って約4年。
結婚の話も出始めていた。
だけど、彼氏が何処か乗り気ではないと感じてはいた。
恋愛って?
結婚って?
私、中西 春南(なかにし はるな)。30歳。
結婚を視野に入れても良い年齢となる中、今更、新しい恋なんて難しい年齢でもある。
出逢いもあるわけじゃなく、出会い系アプリなんて怖くて出来るわけがない。
まさか、この年で、独り身になるなんて……
「………………」
私は、喫茶店を後に、帰り始め、カップルと思われるテーブルの前を通り掛かった、その時だ。
「ごめん…」
「別に良いけどさ…薄々、気付いてたし」
「えっ?」
バサッ
「……!!」
テーブルの上にバラ巻くように置かれた写真。
私の視界にも入った。
女性が、目の前にいる男性とは違う男性と仲良く写っている写真だった。
「年下だからって甘く見過ぎなんじゃない?」
「…………………」
「俺がたくさん愛情注いでたのに日に日に反応薄くなってたし、おかしいと思わない方が変だよ。つー事で、別れてやるから、彼氏と仲良く!ここの代金、罰として出してくれるよね♪じゃあ、そういう事で」
私は、そういう話が背後から聞こえる中、レジへと向かう。
《す、凄い所に遭遇してしまった…》
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
と、彼女と思われる人が、男の人を、引き止めた。
「何?話は、もう終わったじゃん!」
「お願い…もうしないから!」
「無理!」
そう言うと男の人は足早に去り始める。
「瑛斗(あきと)!」
呼び止められ、足を止めるも振り返る事なく
「浮気されて、裏切られてんのに、もうしないから!って約束信じると思う?俺は無理だから!」
振り返り、そう言い放ち男の人は去って行った。
「瑛斗…」
2人は別れた。
《凄い修羅場に遭遇…》
私は、彼のやり方に驚くも、年下のイメージが更に変わった。
その日、独り身になった私は、ストレス発散じゃないけど、一人カラオケに行く事にした。
唄って飲んで、とにかく一人で騒ぐ。
しばらくして―――――
帰らなきゃいけない
そう思うも
まだ帰りたくないと思うのは
人恋しいから?
私は渋々、カラオケ屋さんを出る。
「…帰りたく…ないな…」
ポツリと呟く私。
その時だ。
「ねえ、お姉さん」
「一人?」
声のする方に目を向けると、二人の男の人がいた。
「遊びに行かない?」
「えっ?」
「良い所、知ってるよ。お金なら全部出すから」
帰りたくないと思っているも、こういう輩は体目当てだ。
お金出すよ?とか言って、結局、出す羽目になるのが目に見えてる。
ていうか人間って信じられない。
怖い生き物だ。
「結構です!他当たって下さい!」
その時だ。
グイッと別の方から肩を抱き寄せられた。
「彼女に何か用?俺の連れに声かけるなんて、お目が高いね?でも、彼女、俺の連れだから。他当たりなよ。お兄さん達。ほらっ!シッ!シッ!」
「いやいや、明らかに一緒にいなかったじゃん!」
「連れって嘘でしょう?」
「姉弟でしょう?」
「えっ?違うよ。年の差カップルもありでしょ?年上のお姉さん良いよ♪つーかさ…お兄さん達の目的って所詮、身体とお金でしょう?」
「違うし!」
「ふーん…とにかく、彼女は俺の連れだから!」
「チッ!行くぞ!」
彼等は渋々、去って行った。
「舌打ちしてったし!痛い所突かれた!みたいな感じ?ねえ、お姉さん」
「そ、そうですね…」
ドキッ
何故か胸が大きく跳ねる。
だって目の前には、
かわいい系男子 = ワンコ系イケメンが私の前にいたのだから――――
でも…何処かで…
私は記憶を辿る。
「あっ!」
「何?」
今日の一日を振り返ると、記憶が新しい光景が記憶に蘇る。
「写真…」
「写真…?」
「彼女に写真バラまいてた!」
「えっ?…あっ、あ〜…まさかの目撃者だったんだ!」
「偶々…私もそこにいて…帰り間際に…遭遇したから」
「そうなんだ。ところで、お姉さんは彼氏いるの?」
「えっ?…あ〜…彼氏…いるじゃなくて…いた…が正しい…かな…?」
「…いた…過去形?」
「今日、フラれたから。ていうか、そんな事どうでも良いでしょう!?あなたには関係ない話なんだから!それじゃ、助かりました。ありがとうござぃ…」
帰り始める私の手をグイッと掴み引き止めた。
「えっ?」
「このまま帰っちゃって良いの?」
「えっ!?」
「本当は、まだ帰りたくないんじゃない?カラオケ屋さんで荒れてた感じ?」
「それは…」
グイッと引き寄せたかと思うと、両頬を両手で包み込むように触れる。
ドキン…
胸の奥が跳ねたかと思うとドキドキと加速していく。
「俺もフラれたし、フラレた者同士、楽しまない?俺、お姉さんを楽しませる自信あるよ」
そして、小指を差し出し、私の手を掴むと小指同士を絡めた。
ドキン
「何もしないって約束!大事でしょう?」
「それは…」
私達は、指切りをし出掛ける事にした。
彼の名前は上杉 瑛斗(うえすぎ あきと)22歳。
まさかの年下!?
見た目が若いとは思ったけど……
私達は、楽しんだ。
そして、彼とは本当に何もなく別れた。
ちょっと淋しいような気もするけど、成り行きの関係とかって後味悪い。
それに約束したのもあるから。
だからって約束していないならなんて、そういう事はしたくない。
多分、お互い一人の大人として、しっかりしていたんだと私は思った。
それから一ヶ月が過ぎ。
友達の誘いに合コンに強制参加させられた。
みんな色々な事情ありの集まりだ。
バツイチだったり、お互いの恋人の浮気だったりして傷心の集まりだ。
合コンは盛り上がる中、各々、楽しんでいる。
私も会話するも連絡先は交換しようという気になれなかった。
その後も合コンは盛り上がり、そして、お開きとなった。
その日の帰り。
「瑛斗っ!待って!」
「離せよ!もう俺の前に二度と現われんな!年下だからって馬鹿にすんのも大概にしろよっ!ずっと我慢してたけど…いっつも子供(ガキ)扱いして一人の男として見られてない気がしてたし…結局、他に男がいたって事だよな…別れてやるから!彼氏と仲良く!」
男の人は走り去った。
私は、その光景に目が止まる。
「瑛斗っ!」
「…………………」
《瑛斗…?何か記憶にあるような…》
「……!!」
《ま、まさかね…》
私は気にしつつも、去り始めるも歩道橋で遭遇してしまう。
ドキン…
胸の奥が小さくノックする。
「また……会ったね…お姉さん…」
私に気付き振り向くも、何処か淋しげな表情に胸がギュウっと締め付けられる。
まるで迷い犬のような捨てられた仔犬のような彼の表情や姿に……
「…………………」
空からは突然、雨が降り出す。
私は足が彼の元に向かうと彼を抱きしめた。
すると、彼は押し離したかと思うと、すぐに唇を重ねてきた。
「………………」
そして、唇が離れると至近距離で
「…ごめん…」
そう言うと去り始める。
私は迷う事なく彼の手を掴み引き止めた。
「…春南…さん…?」
「瑛斗君の傍に…いたら…駄目…?」
「…………………」
「…ごめん…」
私は謝るとスッと掴んだ手を離す。
「か、帰るね!」
私は彼の横を横切る。
グイッと引き止められたかと思うと抱きしめられた。
ドキッ
胸が大きく跳ねた。
「…春南…それ…どういう意味か…分かってる?」
「…それは…」
抱きしめた体を離すと両頬を優しく包み込むように触れる。
ドキン…
胸が小さくノックする。
そんな中、瞳の奥からのぞく視線に私の胸がドキドキ加速する。
「今日の俺、何もしないって約束…守れないかもしれない…それでも…春南は、俺と一緒にいるの?」
「でも…瑛斗の事…放っておけないよ…」
そう言う私に再びキスをすると深いキスをされた。
「分かった…じゃあ…俺の傍にいなよ…その代わり覚悟しておいて…春南」
ドキン…
優しい眼差しの奥からのぞく視線からは想像出来ないような異性として年下とは思えない程、男の色気を思わせるような表情に私の胸がざわついた。
私達は、とある場所に移動した。
彼・瑛斗の部屋だ。
シンプルかつ大人っぽいシックな部屋。
とてもオシャレな部屋に本来なら落ち着かないはずが、スッと私の心に馴染んで入ってくる。
「…………………」
「春南、先にシャワー浴びてきなよ」
「えっ!?あっ!いや…私は後で…」
「良いから!黙って言う事を聞く!」
そう言うと私をシャワールームに連れて行くと、私のオデコにキスをする。
ドキン
胸が大きく跳ねる。
「洋服出しておくから」
私はシャワーを浴びる事にした。
しばらくして交代し瑛斗がシャワールームへと向かった。
テーブルの上には温かい飲み物が置いてある。
改めて部屋を見渡すと、やっぱりオシャレな部屋だ。
「本当に…22歳…?大人っぽい…年上女性の趣味に合わせているのかな?」
シャワールームから戻ってくる瑛斗。
ちょっと濡れた感のある髪にドキドキする私がいる。
《ヤバイ…》
私の隣に腰をおろす瑛斗。
ドキッとするそんな私に瑛斗は私に凭れかかった。
再びドキッとする私。
《ちょ、ちょっと待って!!》
《マジヤバイんだけど…》
年下を受け付けない私が戸惑っている。
初対面の時とは違う瑛斗の行動や態度。
「春南?」
「な、何?」
「緊張してる?」
「いや…えっと…」
視線がぶつかる。
ドキッ
私は、目をそらす。
グイッと片頬に触れると振り向かせ、キスをした。
フワリと抱きかかえ、お姫様抱っこをするとベッドに乗せ、優しい重みを感じる中、キスをすると深いキスをすると抱きしめる。
「…瑛斗…?」
「…春南を…傷付けたくないから…」
そう言うと私から離れ、私を抱きしめるようにすると、瞳を閉じる。
「このまま眠って良い?春南も眠くなったら寝ていいから俺の傍にいて」
「…うん…」
瑛斗はスーッと寝息をたて眠り始めた。
そんな私は落ち着かない。
だけど、いつの間にか眠っていた。
――― 朝 ―――
私は目を覚ます。
隣には瑛斗がスヤスヤ眠っている。
《可愛い》
本人を目の前に思ったけど、それを聞いたら彼は嫌がるだろうけど素直な気持ちだ。
私はベッドから出始める。
グイッと引き止められた。
「……瑛斗…?…ごめん起こしちゃった?」
瑛斗は起き上がるとキスをした。
「ありがとう」
「えっ?」
そして、ベッドから降りる瑛斗。
「春南、デートしよう♪」
「えっ?デートっ!?」
瑛斗は振り返ると笑顔を見せる。
ドキン
無邪気な可愛い笑顔に胸が大きく跳ねた。
「送るから着替えて出掛けよう」
「う、うん…」
私は、瑛斗に送って貰い、出掛ける事にした。
「そういえば、春南、昨日、オシャレしてなかった?」
「えっ?あー、合コン」
「合コン!?俺いながら?」
「あのねー、私達は付き合っている恋人同士じゃないから!」
冗談を言う瑛斗。
クスクス笑う瑛斗に私の胸の奥がキュンとなる。
昨日の今日だ。
まさか出掛ける事になるとは思ってもみなかった。
年下の運転で先の詠めない瑛斗の行動や態度。
無邪気な姿や時々見せる彼の大人びた男の表情に私の胸はざわつく。
私は、元彼の年下と付き合ってみたら?その言葉が脳裏に過る。
「ねえ、瑛斗って…今まで年上と付き合っている事が多いの?」
「えっ?俺?まあ…年下とか同級生(タメ)は合わないかな?付き合ってみたけど物足りない感じ?どうやら年上のお姉さん楽しませる事が俺には合ってるみたい」
「そうなんだ」
「春南は?どういう人と付き合ってたの?前に聞いたけど詳しい事は聞かなかったから」
「一人の人と付き合う期間が長いから。年上とか同級生とか…年下とはちょっと…なくて」
「へぇー。それは頼りないとか?」
「えっ?それは…どうかな?あるかもしれないし、ないかもしれないし…」
「付き合ってみたら?どう?俺とお試しコースで」
「お、お試しコースって…駄目だよ!そんな簡単に…第一、昨日、あんな事あったばかりでしょう?」
「うん。だから、俺の心を埋めて♪」
「あのねーっ!そんな事言うものじゃないから!」
「じゃあ…俺が春南の心埋めてみようかな?」
ドキッ
胸が大きく跳ねた。
年下とは思えない言動。
そして瞳の奥からのぞく真剣で迷いのない大人の男を感じさせる眼差しに私の胸がざわつく。
今までにない状況に戸惑う。
気付けば車は道路脇に停めてある。
そして、キスをされた。
至近距離で見つめられる視線が私の胸を、一気にドキドキ加速していく。
「さあ、しゅっぱーつ!春南、考えといて」
「えっ?」
「俺との事」
「それは…」
「俺、遊びなんかで女の人と付き合おうって気は、一切ないから。年下だからって…思うなら様子見て貰っても構わない」
「…瑛斗…」
「春南が思う年下のイメージ…全て受け入れるから。正直な気持ち話していきながら、ゆっくりと付き合ってみない?俺も、春南以外の女性(ひと)とは会ったり付き合ったりしないから。春南も俺との事考えて欲しい。嫌になったりしたら正直に言って貰って良いから」
私達は、ゆっくりと付き合ってみる事にした。
お互い連絡を取り合い、週末はフレンドデート。
私達の関係はゆっくりと縮み始めていた。
だけど、お互いの想いはハッキリしていない。
でも、ある事がきっかけで私達の関係が大きく変わり自分の想いに気付く瞬間となった。
ある日のデートの日。
仕事終わりの後、待ち合わせをする事にした。
時間厳守とはいかないだろうけど約束をして会う事にしたのだ。
待ち合わせ場所に向かうも、まだ瑛斗の姿はなかった。
私は一先ずメールで連絡をしておいた。
返事はすぐにくれた。
ちょっと仕事で時間が押してる様子。
私は待つ事にした。
「彼女、何してんの?」
3人の男の人が取り囲むようにいた。
「一人?」
「人待ちしてる感じだけど相手来るの?」
「来ます!だから他…」
グイッと肩を抱き寄せられた。
「な、何ですか?」
「相手に連絡して俺達と出掛けようよ」
「嫌です!お断りします!」
その時だ。
「ねえ、お兄さん達。誰の許可取って人の彼女に声かけてんの?」
「瑛斗…」
割って入る瑛斗。
私の手を掴み背後に隠すようにした。
「別に良いじゃん!美人なお姉さんだったからさ〜」
「それは、そうでしょう?俺が選んだ女性(ひと)だから。だから気安く触るの辞めて貰えないかな?」
ドキン…
「別にちょっとくらいは良いだろう?」
「そうそう」
「お兄さん達、他に当たりなよ!」
「別に良いじゃん!」
「この後、楽しい事するんでしょう?」
「へえー…つまりそれって…彼女をそういう目で見ていたって事だよね?」
「ち、違うし!い、行くぞ!」
3人は慌てて逃げるように去った。
「全く!」
グイッと抱きしめられた。
ドキッ
「良かった〜。大丈夫だった?ごめん遅くなって」
「ううん…良いけど仕事だったんだろうし」
両頬を包み込むようにするとキスをされた。
「瑛斗…」
「すっげえ妬いた…」
「えっ!?」
「春南とは待ち合わせしない!」
「えっ?瑛斗?」
「一人でいたら危険過ぎるし、さっきみたいな事ないって保証ないから!」
妬いたとか
待ち合わせしないとか
可愛すぎる。
新たな発見をした気分だ。
ちょっと…いや…かなりイジケ気味の瑛斗が可愛くみえる。
私達は買い物をし、瑛斗の部屋に向かう。
すると、瑛斗の部屋の前に1つの影があった。
「瑛斗っ!」
女の人だ。
「あやか…」
《元カノ?》
胸の奥がズキンと痛む。
「瑛斗…私…」
「春南、良いよ」
「でも…」
「悪いけど、あやか。俺、彼女といるから帰って!勿論、2度と来ないでくれるかな?愛する人、傷付けたくないから」
「…そうだよね…ごめん…」
女の人は帰って行く。
「瑛斗、良いの?」
「じゃあ、逆に聞くけど春南は、それで良いの?元カノが来たから行って来るとか。俺が出掛けたり会ったりするのは良いわけ?」
「嫌だよ!」
「だったら引き止めなよ…遠慮しないで良いから…俺の事…」
私は瑛斗にキスをした。
「行かないで…私…瑛斗が…」
言い終える前にキスで唇を塞いだ。
部屋に入るとドアに押し付け再びキスをされ、何度も唇を交わす。
時々、深いキスをされる。
「…春南…抱いて良い?」
ドキッ
突然の言葉と熱っぽい視線に胸がドキドキ加速する。
「お互いの気持ちが、1つになってると思うのは俺だけ?」
私は瑛斗にキスをすると、首に手を回す。
「春南……覚悟しているって事?」
「良いよ…」
私達は1つになった。
年下なんて…
そう思っていた私の考えを
一気に変えられた。
〜 E N D 〜
あなたに恋しちゃいました♪ ハル @haru4649
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