第一ゲーム
顔合わせが終わってそれぞれ解散し、部屋に向かった。
広い部屋だった。
ダブルベットに、ソファーに、テレビに、iPadに、日用品等の一式も全て揃っていた。
洋服等、何か必要なものがあったらiPadで注文すると、その日中に届くらしい。
そして何より、グランドピアノが置いてあった。
ホテルの部屋にグランドピアノがあるなんて信じられない。
凄く嬉しかった。
Rihitoさんに言われた通り、iPadで今日の予定を確認した。
一件、第一ゲームが入っていた。
内容は書かれておらず、時間(20時~)と場所(ホテルの一室)、そして脱落者人数(1人)。
今は13時半。
まだ時間はたっぷりある。
もしかしたら、他の参加者はこの時間にゲームがあるのかもしれないけれども。
脱落者人数が書いてあるのが怖い。
でも考えないようにした。
私は、持ってきた楽譜を開いて一心不乱に練習した。
20時。
ホテルの一室をノックした。
「どうぞ、お入りください。」
Rihitoさんの声がして、「失礼いたします。」と言いながら入ると、Rihitoさんの他に、2人の女性が座っていた。いずれも黒い布で顔を隠していた。
席を勧められ、座ると、
「では、第一ゲーム面接を始めます。」
Rihitoさんがそう言った。
意外だった。
演奏の審査ばかりなのかと思っていたから。
Q「まず、簡単に自己紹介をして下さい。」
A「柴田琴音です。16歳、高校1年生です。音楽高校に通っています。よろしくお願いいたします。」
Q「ピアノ歴は何年ですか」
A「13年です。3歳からピアノを習っています。」
Q「コンクール実績等の経歴はありますか」
A「小学生の時に2回、全国コンクールで優勝しています。また地元のコンサートには数回出場させて貰っています。」
Q「CSGに参加した理由を出来るだけ詳しく教えてください。」
A「お金を貰って、ピアノを続けるためです。私の家は母子家庭でお金がないため、ピアノを続けるのが難しくなりました。」
Q「顔合わせの感想を教えてください。」
A「意外と幅広い年齢層が集まっていて、少し驚きました。演奏が上手そうな参加者もいましたし、これからのプログラムを聞いていないので、怖いところはありますが、通過できるように頑張りたいと、改めて気持ちを引き締めることが出来ました。」
Q「もしあなたがピアニストになるとしたら、どんなピアニストになりたいですか。」
A「これからの日々を楽しむことが出来るきっかけの演奏が出来るピアニストになりたいです。」
Q「将来の夢を教えてください。」
A「ピアノに関われて且つ安定している職業に就きたいです。また、ピアノを続けていたいです。」
Q「最後に自己アピールをお願いします。」
A「私の長所は表現力の豊かさと冷静さの両方を兼ね備えていることだと思います。冷静さは、技術面を磨くときにどうしたらよいか分析するときに役に立ちます。両方を兼ね備えていることで、高度なテクニックで表現すること、演奏の幅も広がり、より人の心に伝わる演奏をすることが出来ると思います。これからも長所を伸ばしていくことで、素敵な演奏が出来るようになりたいと思っています。」
Q「ありがとうございました。これで面接は終了です。」
A「ありがとうございました。」
音楽高校の受験で聞かれたことばかりで、意外とすんなり答えられた。
これが、サバイバル?
何を評価して、脱落者を決めるのだろう。
私には分からなかった。
CSG ~Choice Survival Game~ 美央菜 @music-miyu
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