fin

〈ハルト視点〉









ヒナのアパートへと着くと煌が立っていて

俺を見て驚いた顔をした後

直ぐに見開いた目が閉じられ「ヤッパリ」と

呟いたから何かを知っているんだと思い

煌の両肩を掴んで「ヒナは?」と

肩を揺らしながら問いかけた






アキラ「・・・・お姉さんの部屋…203号室?」






何で知ってるんだと思い煌の目を見ると

煌は俺から顔をそらし「アレ…」と言った…




煌の向けている顔の方を見ると

ヒナが使っていたポストに赤いシールが貼られていて

近づいて行くと、空き物件の為投函禁止と書かれていた…






ハルト「・・・空き…物件…?」





アキラ「・・・・最近見かけないと思ったけど…」






俺は階段を駆け上がって行き

ヒナの部屋の前に行くとドアポストにも

赤いシールが貼られていた…





ハルト「ヒナ……違う…違うよね…」






手に握ったままのスマホを見ると画面は暗いままで

数十分前に電話が切られているヒナに

この声が届くわけがない…





きっとダメだろうと思いながらもヒナに

発信をすると電源を切っているガイダンスが流れ

ゆっくりと膝をついてドアの前に座り

「ヤダよ…」と泣きながら何度も発信した






アキラ「・・・・・・」






煌は何も言わずに横に腰を降ろして

俺の背中を撫で続けた…





泣いて走りながらも

どこかでまだ大丈夫だと思っていた…

ここに来ればヒナがいて…

会って、目を見てちゃんと話せば

まだやり直せれるんじゃないかと思っていたから…





だって、今日…俺の前で見せてくれた

アナタの笑顔は昔のままで…

前の様に俺に甘えてくれたから…





( アナタも、俺を好きなんだと感じたから… )






だから、前みたいに…

「なによ」といつもの様に俺を叩いてきて

「可愛くないウサギね」とムクれる顔を見せて…

「はーちゃん!」と俺の隣りで笑ってくれるんだと…

そう思っていた…






瞬きをする度にアナタの姿が見えて

涙が頬へと流れていく…






「・・・ハル……素敵な大人になって…ね…」






俺はアナタの隣りでそうなりたかったのに…

去年の今頃もバス停のベンチで泣いていたけど

こんなに息を乱しながら泣いたりはしていなかった…




去年よりもアナタを想う気持ちが…

強くなっているからこそ

余計に涙は止まってはくれなかった…






アナタは間違いなく…


俺の特別な〝 彼女ひと〟だったから…










♡第二章FIN♡








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私のラビット君2 みゅー @myu0226

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